第百六話 ドリンクステーションの補充準備をしました~別口ご褒美はバナナジュース~
ダッシャーが食後のドリンクの後のデザートで、バナナを食べたそうだったから、ちょっと一工夫しようと意識共鳴に籠った。
バナナを適当に千切って、ヨーグルトと牛乳とさっぱり感UPのレモン汁と氷を1個、ミキサーで「ガーーーー」。とろっとしたら大き目のコップに注いで――。
「何を作っておるのだ?」
「ふふ、アイスは欲しいですかぁ?」
「「「欲しいぃ(ぞぉ)」」」
「ホイップクリームはどうしますかぁ?」
「「「欲しいぃ(ぞぉ)」」」
「ですよねぇ」
アイスとホイップを乗せたら、カットしたバナナをトッピング、パラパラパラとカラーチョコスプレーを振りかけてっと。
「うん、可愛い」
「食べるの」「飲むの」「美味そうだ!」
「はぁい、お待たせ。パフェ風バナナジュースだよ」
~【バナナヨーグルトジュース】~
■材料(1人分)
・バナナ:1本(適当な大きさに千切る)
・プレーンヨーグルト(無糖):大さじ4(約60g)
・牛乳:100ml
・レモン汁:小さじ1/2
・あれば氷:1〜2個
■作り方
1.ミキサー(またはハンドブレンダー)の容器に、材料をすべて入れる。
2.なめらかになるまで15〜30秒ほどミキサーにかけたら完成。
お好みでカットバナナやアイスクリーム、ホイップクリームやコーンフレークをトッピングするとパフェ風ドリンクになりますよ。
「美味いぞぉ」「あまいの」「ミルクなの」
「うん、美味しいね。アイスも食べてね。はい、あ~~ん」
「でも僕たちだけ、デザートまで食べちゃって良かったかな」
「気にする必要はない。我は頑張ったぞ」
「だよね。これは『ご褒美』です!」
さて、時間も無いし、急いでドリンクステーションの補給用の素を用意しよう。
王宮から持って来てもらった水差しは、急いでかき集めてくれたせいか、大小様々で形もバラバラだった。
抱えるほど大きなものから、片手で持てる小さなものまで勢ぞろいだ。
「麦茶は濃縮タイプだからこの小さな水差しで良いな。カフェオレも希釈タイプだからこれでヨシ! 牛乳は紙パックから移し替えておいた方が良いな」
せっせとマインドチャイムの中で飲み物の用意をする。
森のドリンクステーション用の麦茶は、魔導ジャグに3杯分を用意。原液を水差し3本に移し替える。
レモンハーブウォーターは生ハーブを袋に入れて、後はレモン汁とはちみつを混ぜて水差し1本。
ノンアルサングリア用のジュースは中くらいの水差しに入れて、別の水差しに袋を被せたら、その中にフルーツ缶とりんごとバナナをいれてっと。飲み終わったらこのフルーツはお馬さんのおやつだ。
「人間が食べても全然美味しいけど、お馬さんも頑張ってくれてるもんね」
甘酒はそろそろ1杯目が終わるから、凍結洗浄したら濃縮タイプで1杯たっぷり作って、水差しに半分移しておけば、後は水で割ったらすぐ飲める様にしておく。
王宮前の木樽組み立て場用の麦茶も同じ様に水差しに1本。最初のジャグ1杯は作ってアイテムボックスの中に入れておいて、向こうで出せばOKだ。
カフェオレも最初の1杯は作ってアイテムボックスへポン。コーヒーベースは小さな水差しに入れて、牛乳は丁度いい大きさの水差しが無いから小さいので2本。後は水を追加すれば、あまり濃くなくスッキリと飲めるカフェオレの完成だ。
「コーン茶はコーン缶を使う。汁ごと全部、この一番大きな水差しに袋を被せてドボドボ入れて、後は水を入れたらOK。飲み終えたらこれもコーンを取り出して、お馬さんのおやつかな」
用意した水差しをアイテムボックスに仕舞って、意識共鳴を解除する。
すると、気配を察したのか、セオドア王が振り向いた。
「あぁ、アンセル殿、探しましたよ」
「すみません、ちょっと別口で休憩と、水差しに補充用のドリンクを用意してました。……セオドア王も飲まれますか? バナナジュース」
「頂きたいのは山々ですが、皆の手前、自分だけ――と言う訳にも参りません」
「俺は遠慮しないぜ」
「そう言うと思ったので、ルシアンさんには聞いてませんよ」
「相変わらず冷てぇな、アンセル様よ」
「でも、お昼の配膳をお手伝いしてくれたので、今からの一仕事も手伝ってくれたらお出ししますよ」
「あいつらみんな頑張って働いてるんだ。俺だけ遊んでいる訳にもいかねぇし、褒美がなくたって何でもやるぜ!?」
「ここのドリンクステーションの飲み物の補充を、ルシアンさんにお願いしても良いですか?」
「簡単なら良いぜ」
「簡単ですよ」
リボンの色分けでジャグと水差しがセットだと説明をする。
森側は水差し1本とジャグ1杯がセットだから簡単だ。
「飲み終わったらここの魔石を押すと、自動洗浄が走りますからね。洗浄が終わったら、魔道ジャグと同じ色のリボンの水差しの中身を全部入れて、ジャグが満タンになるまでお水を入れてください」
「1本対1杯だな! よし、簡単だ。キース! 一緒に聞いておけよ!!」
「あはは」
心配なのは井戸までの道だけど……。まぁ何とかしてくれるだろう。トレントさんたちが。
「ん? 逆かな?」
「アンセル様よ。何をブツブツ言ってるんだ?」
「井戸までの道を、トレントさんが繋げてくれると良いなって思っただけですよ」
「トレントって――。この森は本当にそうなのか?」
サワサワサワサワサワ、ザワザワザワ――。
森が返事をした様に聞こえた。
「後は、シアンさんの宝物の魔石。これを樽の底板に嵌めて欲しいんです」
「それです。その魔石をお渡ししたくて探していたんですよ」
そう言うシアンさんが大切そうに握りしめていたのは、彼の雰囲気には少し不釣り合いな、使い込まれた小さな皮の袋だった。
深い琥珀色に変わったその皮袋は、端のほうが少し擦り切れていた。シアンさんが執務室の机の奥でどれほど大切に保管し、時折取り出しては眺めていたのかが分かるほど、表面はオイルで綺麗に磨かれており、不思議な気品を放っていた。
「これ、やっぱりとても大切な思い出の品なんじゃないですか? 本当に使ってしまって良いんですか?」
「えぇ! この国の未来を繋ぐ、大切な商品の為です。思い出は他にもたくさんありますし、これからも作れますから」
「そうだな。地下分水宮で迷子になって泣いてた思い出とかな」
ルシアンさんが意地悪を言ってシアンさんをからかう。でも、この時間もきっといい思い出になるんだろうな。
セオドア王はとても優しい、温かいまなざしでみんなを見つめていた。




