第88話 最期の幼馴染 中編
後書きでご報告でございます! (書籍化とかではないです!)
また、展開や絵里、優希の行動に違和感があったらすみません。「ちょっとないかもな」と思いながら書いてはいるのですが、あまりに変では? と思われたらすいません。
最近、幸せすぎて怖くなる。詩織も、那月も、莉子も、みんなと一緒に変わることの無い平和な日々を過ごせている。
瑠璃が来たり、ピンポンダッシュ? が来たりもあったが、何ら変哲のない、幸せな日々だった。
朝、と言うよりは昼に目を覚まし、体を起こす。隣を見ると、裸の3人が俺に抱きついていた。詩織は、俺にまたがるように正面から抱きついてきていた。
詩織は、実は甘えん坊なんだろうな。姉だからそんな事出来なかったのかもだけど。
起こさないように慎重にベッドから降りて、服を探し始めた。
毎週土曜は大変だ。一度に3人の相手をしなければいけないから。
平日にやらない代わりに、土曜日にだけやるというふうに決めた。4人で暮らしているようなものだから、ルールを決めておかないと、ただの無法地帯になってしまう。
そうなった場合、苦しいのは俺。
「いてて……腰が痛いな」
早速腰痛に襲われたが、幸せの代償のようなものだと思い、俺は湿布を探しに行く。たしか、リビングの棚に入れてあったはず。どうせそのうち全身キツくなる。
Tシャツと半ズボンを履いて、俺はリビングに向かう。
そこで俺は、信じられないものを目にした。
居るはずがないのだ。この家の中に。二度と現れないと思っていた。でも、忘れることが出来ない顔の面影を残した女が、一糸まとわぬ姿でそこには立っていた。
かつては魅力を感じていたはずのその身体も、今はなんの魅力も感じなかった。見たくなかった。
そして、その女の両隣に、少し異臭を放つ頭と……頭のようなものが置かれていた。頭の形になるように形を整えたような何か。これは……あの二人なのか? 異臭と異物に、俺は吐き気を催し口を押える。
気持ち悪い。見たくない。そんな俺の内心をよそに、女はフランクに話し始める。
「やっほー優希。おひさ〜」
「………なに、してるんだ? 殺した……のか?」
「何って……なんだろうね? この頭、切るのに苦労したんだよ〜? 思ったより硬かったからさ〜」
女ーー絵里は、意地の悪い笑みを浮かべながら、俺の目を真っ直ぐに見つめる。
その目の光の無さ、闇の深さに気づき、俺は背筋がゾクッとするのを感じた。
……なんだろう、この不安定さは。不気味なほど穏やかに見えるのに、その後ろに巨大な恐ろしい何かが透けて見える。
「まぁいいや。さっさと終わらせちゃおうかな」
「は? 終わらせるって何をーー」
俺が言い終わらないうちに、絵里はゆらゆらとこちらに近づいてきた。俺は動けなかった。気持ちの悪い汗をかいていた。力が上手く入らなかった。
目の前に、2人を殺した殺人犯がいた。その殺人犯が、俺の目の前に現れた。その緊張感と恐怖で、崩れ落ちそうになった。
だから、止められなかった。
絵里は後ろに隠し持っていたらしい包丁を、前に出して大きく振りかぶった。だから俺は庇うように頭の前に手を出し、目をギュッと瞑った。
殺される。
そう思った瞬間、俺の手に何か硬いものが持たされた。
何だろうと思い、目を開けてそれを胸の前まで持ってきたところで、俺はその正体に気づいた。
包丁だ、絵里が持っていた。
そう思って包丁を見ていると、突然絵里が俺の手を掴み、そしてーー
俺に抱きつくようにしながら、俺が握った包丁を使って自分の胸を突き刺した。
俺が、刺した……?
☆
ーーあぁ、いい顔だ。
苦痛や絶望に顔を歪める顔。これで私が死ねば、自分が殺したと思って一生苦しむに違いない。
最高の気分だ。苦しむ様子を見れないのは残念だけど、これできっと優希を壊せる。ついに壊せるのだ。
心に深い傷を負い、きっとこう思うことだろう。「俺は犯罪者だ」と。優希のことだ。自分を責め続けるに違いない。
そうすれば、周りの女も一緒に苦しむ。優希にゾッコンなんだから、きっと苦しむに違いない。
ただでさえ生首を見たのだ。その時点で、トラウマものだろう。
優希は、倒れた私の横に膝を着くと、苦悶の表情を浮かべながら、私の胸に刺さったままになっている包丁を動かさないように私に触れる。
「くそっ、血が……止まらない……っ」
優希は床にゆっくりと広がっていく血を見て険しい顔をすると、リビングを出ていき、スマホを手に取って戻ってきた。
「救急です! ──はい……」
……何してるの? なんで助けようとするの? 友人って何?
意味のわからない優希の行動に、私は困惑する。救急車を呼ぶ必要があるの? 私の事は大嫌いなはずだろう。そのまま放置しておけば死ぬであろう人をなぜ助ける?
──あぁ、最悪の気分だ。
こんなことなら、助けようとしてくるくらいなら、全員死なない程度に刺せばよかった。その方が、きっと苦痛になったのに。
苦しむ顔の中に少しでも希望が見えるなら、こんなやり方はやらなかった。
助ける前に、自分のした事を悔やんで苦しめよ。私にそれを見せろよ。
後悔とも怒りともいえない感情を胸に抱きながら、私は最期に優希の顔を睨んでこういった。
「……あんたなんか、大っ嫌いだ」
だんだん苦しくなってきて、ドクドクという音が脳内に鳴り響き、やがて私の意識は疑問と憤怒と後悔の渦に飲まれながら闇の中へ消えた。
☆
絵里が意識を失い、できることは無いかとタオルを持ってきて胸に当てる。
吐き気を催しそうなほど凄惨な光景。目を逸らしたくなるが、逸らしてはいけなかった。
心臓を、刺したのか?
でも、それにしては出血も少ない……ような気がする。頼む、浅くあってくれ。死なないでくれ。でないと俺は……
……奴らと同じような、クズで最低の犯罪者になってしまう。殺人犯になってしまう。
俺が刺そうとして刺した訳では無い。でも、俺が持った包丁に絵里が刺さったことは確かなのだ。
一番なりたくないものに、最も嫌悪しているものと同列にしないでくれ……
絵里に生き残って欲しい理由が不純で、そんな自分に吐き気がした。
けたたましいサイレンが近づいてきて彼女たちが起きてくるまで、俺はずっと絵里を手当していた。
読んでくださりありがとうございます!
実際こういうことがあったら、優希が悪いことになるんでしょうか? ならないんじゃないかなぁとは思いますけど……。
前書きにも書いたように、ここで報告をさせていただきます。
以前から高校受験や部活動によって投稿頻度が低くなっていました。お待ちくださりありがとうございます。
今回、無事志望校に合格したのでここで報告させて頂きました。
今後更に忙しくなるかもしれませんが、これからも投稿を続けていきたいと思っています。今後も私、赤井藍をよろしくお願いします!
次話、絵里編ラストです!
面白い、続きが気になると思っていただけたら、いいね、評価、ブックマーク等して頂けると嬉しいです!
次話、最期の幼馴染 後編




