第46話 元幼馴染の提案
元幼馴染の鳳の後に続き、残り2人の元幼馴染の元へ向かう。
「…何の用だ。暇じゃないんだ、早く済ましてくれ」
「早く終わるかはお前の態度次第だよ、優希」
そう言って鳳はニヤッと笑う。
コイツらと同じ空間に居たくはないので、早くして欲しい。
何をしたいのか分からず俺はアイツらをジッと見つめる。
「そう睨むなよ、優希。…言いたいことは1つだ。今謝ればまた元通りにしてやるよ」
「…は?」
「今回の噂、流したのはお前だろ?」
まぁ確かに、噂を流したのは俺だが、だとしても何故俺が謝って、そして何かを元通りにしなければならないのだろうか。
少しキレそうなので、何とか平静を装おうとしているのだが、大丈夫だろうか。
「まず俺はお前らの噂を流していないし、何故俺が謝る必要がある」
「アンタのせいで私たちがこんな風になってるんでしょ?!」
「はぁ…その体のことを言ってるのか? お前らが不摂生だからそうなっただけだろ」
神楽坂の言葉に対し俺がそう言うと、その3人は怒ったような顔になり、鳳は拳を握り締めている。
「…それに、何を元通りにするって言うんだ。お前ら3人が、俺を捨てたんだろ」
「は? だからなんなの? 優希は大人しく私たちの言うこと聞いていればいいのよ!」
…もはや呆れるしかない。
自分たちが悪かったとは微塵も思っていないようだし、どれだけ上から目線で言えば気が済むのだろうか。
今上にいるのは、俺の方だ。
「優希…お前生意気だなぁ? 俺たちに逆らっていいのか?」
「はぁ…」
「優希」と呼ばれるのも気持ち悪い。
俺が溜め息を付くと、遂に我慢できなくなったのか、鳳からパンチが飛んでくる。
避けても良いかと思ったが、避けるのでさえ面倒臭いため、そのままパンチを受ける。
以前ならそれで殴り飛ばされていたのだろうが、鳳のパンチは大して威力が無かった。
俺が殆ど動かなかった事に驚いたのか、鳳がその後も殴り続けてくる。
股間と顔を狙ってきた時だけ弾き返し、飽きたので話を再開する。
「で、逆らったらどうなるっていうんだ?」
「お前なんかっ、教室にっ、居られなく、なるぞっ!」
鳳が息も絶え絶えにそう言う。
「ふーん。今そんなことしたところで、お前らの立場が無くなるだけだろ」
「…あーもう、五月蝿いなぁ! 優希は大人しく私たちに従ってればいいの!」
「そうよ! アンタみたいに暗くてつまんないヤツは私たちみたいな顔がいい人に構って貰えるだけ感謝しなさい!」
と、神楽坂と神坂が言う。
そこで俺は少し考え込む振りをする。気持ちを落ち着けるためだ。
ここで変な行動をとっても、いいことは無い。
気持ちを落ち着け、2人に対して返す。
「俺の今の顔、見覚えあるよな? 神坂。ナンパしてきたもんな。…それに、お前ら鏡って見たことあるか?」
「うっ…」
神坂が痛いところを突かれたのか、少しバツが悪そうな顔をした。
その神坂を、疲れたのか地面にへたり込んでいる鳳と、ベンチから動こうとしない神楽坂が驚いたように見つめる。
その隙に、神坂と神楽坂の写真を撮る。後で消さないとな。
「お前ら、コレが今の自分だぞ? どこが「顔がいい」んだよ」
「そっ、それは! アンタがまた弁当とか作れば良いんでしょ!」
どこまでも他人に頼ろうとして、自分では解決しようとしない。
自分で「アンタの作ったものなんて食べたくもない」って言ったくせに、今更そんな事を言われても困る。
それに、俺はアイツらの分を作る余裕も無いし、作るつもりもない。
「…言いたいことはそれだけか? 俺もう戻るから」
そう言って俺が立ち去ろうとすると、後から腕を掴まれる。
誰かは分からないが、気持ち悪かったのでその手を振り払って、俺はその場を後にし屋上のドアを開ける。
「っ、後悔させてやる!」
「…そうか。どっちが後悔することになるかな」
追いかけるのを諦めたのか、捨て台詞が聞こえてくる。
それに対し、ニヤッと笑って俺はそう返し、屋上のドアを閉めた。
はぁ…写真消さないとな。アイツらの顔なんて見たくもないのに。
そして録音を止めて、少し確認する。
ちゃんと殴ってきている音も、俺に対する暴言も入っていたので、それをしっかり保存して、俺は自分の教室に戻った。
ブックマーク、評価感想よろしくお願いします。
誤字脱字、アドバイスなどよろしくお願いします。




