第44話 情報共有
昨日は投稿出来なくてすいません。少し用事があって書くことが出来ませんでした。
鈴谷さんと会った次の日、俺たちは取り敢えず現時点で分かっている情報を共有し、次の行動を考える事となった。
放課後、俺の家に集合して(那月が来て)話し合いを行った。
「よし、全員揃ったな。それじゃあ始めよう」
「まず私からいいかしら?」
最初に言い出したのは姉ちゃん。
「えっと、神坂について1つ分かったことがある」
元幼馴染の神坂について。
神坂というと、肌が荒れやすい為、現在はニキビやらシミやらで元の面影は薄れているはずだ。
「料理部の元部長から聞いた話なんだけど、優希の弁当の代わりに弁当を作れと言ってきたそうよ。
なんでも、3年生で部活ももう無くて暇だろうから、優希が作ったくらいの弁当なら作れるだろうと」
「いや、3年生だって大学受験があるだろうに」
「そう。そんな事は考えてもいないようだったそうよ。
その元部長は断ったそうだけど、断ると悪態をついて去っていったそうよ」
こっちも性根から腐っているようだ。
なんで俺の幼馴染はあんなのばっかりだったんだ。
まぁ、この話は噂を流す時に使えるだろう。
次に、那月が話し出した。
「私もいい? 私は神楽坂について少しだけ」
「次は神楽坂か…」
見事に3人揃って別の元幼馴染について調べていたらしい。
コレでも一応は幼馴染だった為、こうも全員から悪い話を聞くのは気分が良くない。
あと、神楽坂は単純に言えば太ったな。
「簡単に言えば物を盗んだと言うか、持ち帰ったというか」
「持ち帰った……学校の備品でも盗ったのか?」
「あっ、そう。最近運動部の備品が無くなったっていう噂があって、少し見張ってたら神楽坂が来て何か持ってってたの」
「なんでそんな物……」
意味が分からない。アイツらの考えることはもうよく分からないが、これは本当によく分からない。
「さぁ? 理由は分からないけど運動でもしようと思ったんじゃない?」
「普通にランニングとかでいいだろうに…」
「うーん、でも、すぐ戻ってきたらしいから続かなかったのかな?」
「まぁ、何となくは分かった」
恐らく、本当はどうなのかは分からないが、ダイエットをしようとしたがキツイのは嫌だった。
だから何か楽をしようと思い、運動部のトレーニング器具とかを盗んで運動しようと試みた。
でも上手くいかなかったので直ぐに戻した。
簡単に考えるならこれが1番それっぽいのだが、本当にこの行動の理由はよく分からなかった。
最後に俺の番。
俺は昨日あったことを話す。
元幼馴染の鳳の浮気と、その浮気相手の不倫。
その浮気相手の夫と話をして、情報を得たこと。
あと、鳳の調査に関してはもう必要なさそうなこと。
……鈴谷さんが俺に接触したということは、俺がしたいようにして欲しいということだろう。
そうでも無ければ、俺に接触する必要性なんて無いはずだ。
だから、俺は俺のしたいようにやろうと思う。
☆☆☆
話が終わった後、俺たちは少し次の行動に関して話し合い、普通に遊んでいた。
「最近優希が私たちに構ってくれない」
「そうだよ。なんか前より目が死んでるし」
「えっ、あの、ごめん」
そういえば、と思いここ数日の俺の行動を振り返る。
…確かに、全くと言っていいほど2人と話していなかった。
少しコン詰めすぎか。まだ時間はある筈だ。そこまで急いでもどうにもならない。
この後はまだ時間はあると思うし、少し何かしようかな。
「そうね、優希成分が足りないわ。優希、そこに寝転がって」
「えっと、こう?」
「そう、そのまま」
何をしようか考えていると、何故か姉ちゃんにソファに寝転がるように指示された。
俺が指示通り寝転がっていると、姉ちゃんが俺の下半身に跨ってきた。
「…姉ちゃん?」
「詩織先輩っ!」
「別にここで変なことはしないわよ」
だからといって、この体制は良くないんじゃないか?
俺の下半身(股の辺り)に姉ちゃんが馬乗りしている。
服着てなかったら完全にソレだよ。
俺と那月が戸惑っていると、姉ちゃんは俺にガバッと抱きついてきて、スーハーと俺の匂いを嗅いでいるようだ。
いくら一緒に暮らしていると言えど、異性に体臭、というか匂いを嗅がれるのは恥ずかしい。
「姉ちゃん、恥ずかしいよ」
「……」
「離して?」
「……」
「聞いてる?」
「……」
ダメだった。聞く耳を持っていなかった。
俺がどうにも出来ず困り果てていると、那月がこっちに近づいてきた。
「頼む、助けてくれ」
「ズルい、ズルいですよ詩織先輩…」
「那月?」
同じく聞く耳を持たなそうな人がもう1人居た。
何をしに近づいてきたのかと思うと、那月は俺と姉ちゃんをまとめて引っくり返した。
つまり、姉ちゃんが下で、俺が上になったという事だ。
すると姉ちゃんは俺の腰に脚を絡めてきて、俺は完全に動けなくなった。
何してるんだ、那月。
俺が更にどうしようもなくなったため、諦めて姉ちゃんの頭を見ていると、上から何かが覆い被さるような、誰かに乗られた様な感覚がした。
この状況で上に乗れるのは…まさか…。
「詩織先輩だけズルいです。私だって優希くんから充電したいですよ」
上からその那月の声が聞こえてくると、同じく俺に引っ付いた状態でスーハーと匂いを嗅いできた。
下の姉ちゃんが心配だが、意外と平気そうでまだ匂いを嗅いでいるようであった。
1番下だから匂いを嗅ぐのは辛いと思うのだが、変わらないペースでスーハーといった呼吸音が聞こえてきた。
幸せなサンドイッチ状態だが、ずっとこのままでいる訳にもいかない。
が、動けない。
俺がその状態で10分程固まっていると(1週間分という事なのだろうか)、音も無く近づいてきたらしい誰かの溜め息が聞こえた。
「っ、誰かいるのか? 助けてくれ…」
「あなた達ねぇ…せめて私が帰ってきたことくらい気づきなさい」
そう言って聞こえてきた声は、なんと母さんの声だった。
知らない人の声だったからか、那月は正気に戻り俺から急いで離れ、床に正座した。
姉ちゃんはそんなのお構い無しに同じ体勢から動こうとしない。
何とか引き剥がそうと努力したが、何をしても動かなかったので、姉ちゃんを抱えた状態で、俺も那月と同じく正座…は出来ないので、気を付けの姿勢をとる。
「はぁ…詩織はもう、ホントにブラコンなんだから…」
(ブラコンというか、本当に好きな方なんだけどな)
心の中でそう呟いたが、実際に口に出すことはせず黙っている。
「別にあなた達が何をしていようと咎めるつもりは無いけれど、せめて別の場所でやってちょうだい。私や莉子が居るかもしれないから」
「はい」
那月がそう答える。
俺はというと、莉子が来ても変わらないんだろうなぁと思い、返事をすることが出来なかった。
何も聞かないでくれるのは有難いが、これは今日の夜に何か聞かれるに違いない。
そう思い、少し気分が落ち込んだが、取り敢えず今日はもう帰りなさいと那月に言っただけで、その場は何とかなった。
結果的に、夜、俺と姉ちゃんは母さんに呼び出されて小一時間問いただされたのだった。
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次話、噂です。
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