第37話 デートのやり直し
俺はとりあえず荷物を置いて準備をし、リビングで莉子を待つ。
「姉ちゃん、取り敢えず莉子に着いてくから片付け頼んでもいい?」
「別にいいよ?」
「ありがと」
姉ちゃんは着いてくるつもりは無いようだ。
3日分を一気に洗濯するのは大変なので、服とかの片付けは早めに済ませておきたかった。
姉ちゃんがやってくれるのは助かる。
俺が姉ちゃんと少し話していると、バッチリお洒落した莉子がやってきた。
遊びに行くだけなのに。
「優希兄、行こ」
「おー、行くか。じゃあ、姉ちゃんお願いね」
「ん、2人とも行ってらっしゃい」
どこに行くのかは完全に莉子任せだったので、俺は莉子と横に並んで着いて行く。
遊びに行くと言うと、駅前のゲーセンとかだろうか。いや、カフェとか行くのかもな。お洒落してるし。
「莉子、どこ行くんだ?」
「んー、近くのショッピングモール?」
「何か買いたい物とかあるのか?」
「別にー」
ショッピングモールと言うと、この間髪を切った後に行ったあそこだろう。
買いたい物も無いと言うので、何かイベントでもやっているのだろうか。
☆☆☆
ショッピングモールの前まで来ると、莉子は俺の目を真っ直ぐ見て、
「優希兄、今日は、こないだのデートの続き。私は先に帰っちゃって行けなかったから」
「あぁ…莉子先帰っちゃったもんな」
「そう。だから、今日は私とデートしてもらう。…あと、海行ってた間に何があったのか聞かせてね」
「まぁ…別に、いいけど…」
莉子もデートって言うんだな。
それより、この3日間のことはどこまで言わなければならないのだろうか。
姉ちゃんや那月との事は言うべきなのだろうか…言いたくは無いのだが。恥ずかしいし。
少し不安に思ったが、莉子に呼ばれたので、着いていくことにする。
「莉子、結局何したいんだ?」
「あぁ、カップル限定で割引してる店あるの。だから優希兄が彼氏のフリして?」
「いや、それいいのかよ…」
「別にバレなきゃいいでしょ? だから、ちゃんと彼氏のフリしてね?」
「おう…」
なるほど、そういう事か。
あまり良いことでは無いが、安く入るためなら納得出来る。そうでもなきゃ、莉子がそんな事をするとは思えない。
だが、今日の莉子はいつもに比べて棘がない。だいぶ昔みたいな感じだ。
俺は莉子について行き、目的の店に向かう。
目的の店はカフェで、確かに入口の看板に『カップル割引やってます』と書いてあった。
「じゃあ、入ろっか」
「おう」
莉子は少しいつもの雰囲気と違い、明るい感じになっていた。
俺たちはそのカフェに入った。
「いらっしゃいませ。2名様で宜しいですか?」
「はい。カップル割引あるって書いてあったんですけど、使えますか?」
「はい。大丈夫ですよ。ただ、カップルって事を証明してもらわないと」
証明ねぇ…何かによってはマズイんじゃないか?
莉子は即座に頷き、証明することになった。
内容も聞いてないのに。…いや、莉子は知ってるのかもな。
「では、お互いの好きなところを5個ずつ上げてください」
好きなところね。それなら大丈夫だろ。
「ではまず彼氏さんから。全部とかは無しですよ?」
「はい。じゃあ、可愛いところ。一途なところ。たまに甘えてくるところ。大人っぽいところ。真面目なところ」
「はい、OKです。次、彼女さん……彼女さん?」
俺が隣にいる莉子のことを見ると、真っ赤になってショートしていた。
家族として過ごした中で感じたことを素直に言っただけなのだが、恥ずかしかったのかだろうか。
取り敢えず時間が掛かると迷惑になってしまうので、莉子の肩を揺さぶって現実に戻す。
「大丈夫ですね? では、お願いします」
「う…はい。カッコイイところ。優しいところ。私が何しても怒らないところ。料理が美味しいところ。あと、抜けてるところ」
「はい。お2人とも大丈夫です。それでは、ごゆっくり」
いや、これ結構照れるね。
まぁ、最後の『抜けてるところ』に関しては聞きたいところだが。
俺は抜けてないと思うのだが。
俺たちが席に向かっていると、突然横から声を掛けられた。
「あれ、莉子? その隣の人彼氏?」
聞いてる感じ、学校の友達だろうか。3人でここに来たようである。
莉子は、あまり大きな声で言えないのか、彼女達の方へ行き、何か話しているようである。
まぁ、本当は彼氏じゃないからな。
「ふーん、じゃあその人が…」
「うん、そう。みんなには渡さないからね」
「…? なんの事か分からないけど、別に誰かの手に渡ることは無いぞ? あと、莉子の友達だよな? これからも莉子をよろしく頼む」
「あ、はーい! 大丈夫ですよ、莉子とはめっちゃ仲良いですから!」
「そうか。…じゃあ、行くぞ莉子」
「うん、みんなまた学校でね」
そう言って俺たちはその机を離れた。
莉子は俯いていてどんな表情をしているのか分からないが、別に不機嫌とかではなさそうなので、大丈夫だろう。
「ねぇ、私の手元から離れないって言った?」
「ん? まぁ、お兄ちゃんだからな」
「なんだ…家族としてか…」
「ん? なんか言ったか?」
「何でもない。ほら、早く座って」
何を言ったのかは聞き取れなかったが、座るのを急かされてしまったので聞くタイミングを逃してしまった。
確かに、ずっと立ってるのも迷惑なので、俺たちは奥の方の席に座った。
もう少し続きます。そろそろ莉子がデレるかも?
次話、カフェでの会話です。
誤字脱字、アドバイスなどよろしくお願いします。




