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第34話 2日目 夜 ③

夏休み編を早く終わらせないと、結構長くなりそうです。

 姉ちゃんと一緒にリビングで待っていると、瀬川たちがこちらにやってきた。



「あの、さっきはごめ……」


「なんの事?」


「いやその、風呂の…」


「なんの事?!」


「あ、その、何でもないです。すいませんでした」



 そう言って俺は頭を下げた。


 瀬川は笑顔だったが、学校での姉ちゃん並に怖いオーラを出している。


 しかも、俺のことを睨んでいる。


 俺が言えることでは無いけど、その目は怖いです。

 石崎が後ろにいて良かった。



「えーと…風呂行こっか、姉ちゃん…」


「ええ。そうね」



 姉ちゃんはそう言って瀬川をじーっと見ながら風呂へ向かった。


 俺の時とは違って、アイコンタクトで何かを伝え合っていたようだ。


 瀬川もオーラを引っ込めていたし、いつもと変わらない様子だった。



 ☆☆☆



「はぁ……やっちゃったな」



 俺に対する態度と姉ちゃんに対する態度とで、瀬川の態度は180度違った。


 やはり、俺に邪魔されたし、覗かれたことが嫌だったのだろうか。


 完全に俺が悪いので何も言えないが、あまり嫌われるというか、好感度が下がる行動をしたくない。



「ごめんね? 私が無理矢理連れていったから…」


「いや、姉ちゃん。俺も確かに期待した部分もあったと思う」


「…なんか、それはそれで嫌ね」


「む、俺だって高校生の男子だ。多少なりともそういう気持ちはある」


「でも、私と一緒に入ってても大丈夫そうじゃない」


「そりゃあ、家族だからね」


「あら、忘れたの? 私たちは義理の姉弟よ」


「え? あー、そういえば…」



 そう言えばそんな事も言ってたな。色々あったから忘れてた。

 忘れるってのもおかしいな。結構衝撃的なヤツだろ。


 だとすると、俺は血の繋がっていない異性と風呂に入ってるってことだ。


 ……ちょっと待って、これは姉ちゃんを異性として意識しないといけない状況なのでは?




 俺が考え込んでいると、姉ちゃんは俺の方に近づいてきた。



「優希、さっきから私の事放置して…。おりゃっ!」



 すると姉ちゃんは、俺を正面から抱きしめて、俺の顔は姉ちゃんの胸に埋まった。



「むぐー! んー!」


「んあっ、ちょっと優希暴れないの」


「んぅ…ぶくぶく」


「あれ、伸びちゃったかしら」



 姉ちゃん自分で本当の姉弟じゃないって言ってたのに、こういうのはいいのだろうか。


 なんで姉ちゃんは俺にこんな事をするのだろうか。


 疑問に思ったが、聞くことは出来なかった。




 姉ちゃんは俺を引っ張り上げ、俺をバスチェアの上にすわらせた。



「ごめん姉ちゃん。もう大丈夫、ありがと」


「別にいいのよ。…というか、お姉ちゃんを放置しちゃダメでしょ?」


「あはは、姉ちゃんはホント俺にベッタリなんだから……俺が言えたことでもないか」



 俺も、何だかんだ言って、姉ちゃんと一緒にいることを嫌と思ったことは無い。

 反抗期の時だって全然仲良かったしね。



「私は優希がずっと私のそばに居てくれればそれでいいの。優希が誰かに取られたら嫉妬しちゃうわ」


「あはは……俺一生彼女出来ないかも」



 姉ちゃんに嫉妬されたら、その人はどうなるのだろうか。


 …うん。姉ちゃんに認められてない人と付き合うなんて無理そうだし、姉ちゃんは滅多に認めないと思う。



「そんなことないわ。私が彼女になってあげる」


「またまた、冗談を」


「冗談じゃないわ。私たちは血が繋がってないのよ」


「…え? いやでも」


「優希は私じゃ嫌?」



 姉ちゃんは泣きそうな顔になってそう聞いてきた。


 確かに驚いてしまったが、俺は別に嫌という訳では無い。


 ただ、俺にとって姉ちゃんは「姉ちゃん」だった。だから、そんな風には思っていなかったのだ。


 まぁ、冗談だとは思うんだけど。



「姉ちゃん、そういう訳じゃないよ」


「じゃあ!」


「でも、姉ちゃんには他にもっといい人が居るんじゃないかな?」


「……優希、私の気持ちがまだ伝わってないの?」


「えっ?」



 姉ちゃんはそう言うと、俺にまたキスをしてきた。しかも、大人な方のやつ。


 どれだけそうしていただろうか。姉ちゃんは全く俺を放してくれず、俺は何回もキスされ続けた。



 ようやくキスが終わり、俺が力が抜けてポケーっとしていると、姉ちゃんが話し始めた。



「これで分かった? これでも分からないなら、さらにその先までやるわよ」



「その先」というのは、まぁ、そういうことだろう。


 姉ちゃんがあまりにも真剣な声で言うので、それが本気だということは分かった。


 俺は、「分かった」という意味で、姉ちゃんに向かって頷いた(完全に理解した訳じゃないが、ここで初めてはなんとなく嫌だった)。


 恐らく姉ちゃんは、「優希のことが一番大切」と伝えるためにわざとそう言ったのだと思う。本気で言ってはないよな。


 …キスする必要は無いと思うが。




 俺が頷くと、姉ちゃんは俺の視界の外に消えた。


 何してるのか気になったが、俺は力が抜けてしまって動けなかった。


 しばらくすると姉ちゃんが戻ってきた。


 何をしていたのかは知らないが、何かを決意したかのような、そんな顔をしていた。


 俺はと言うと、そろそろ湯冷めしてきて、ちょっと寒い。



「姉ちゃん…寒い。続きは後じゃダメ?」


「むぅ…分かったわ。優希が風邪ひいたら大変だもの」



 俺たちは風呂から出て、リビングを通り外のテラスに向かった。


 瀬川はまだ俺に対してオーラを出していたが、さっきよりも随分マシになっていた。



 ☆☆☆



「んー、やっぱり夏だと夜も暑いな」


「そうね、もうちょっと薄着にすればよかったわ」


「これ以上薄着はちょっと…」



 姉ちゃんはノーブラに白T、下はショートパンツだけだった。流石にパンツは履いているが、これ以上薄着はもう下着みたいなもんじゃないか?


 それに、ノーブラだから、胸のある一部の形が分かってしまう。



「まぁいいじゃない。それで、話の続きね」


「ん」


「優希、私と付き合わない?」


「は?!」



 いや、何でそうなるんだ? さっきのは冗談じゃないのか?



「いや、私が優希のことを異性として好きって伝わったんじゃないの?」


「え? 俺のことが大切だって伝えるためじゃないの?」


「「……」」



 姉ちゃんは真っ赤になってしまった。


 いやー、まさか姉ちゃんが俺の事を異性として好きだったなんてなー……。


 姉ちゃんごめん。なんか勘違いで告白させたみたいな感じになっちゃった。



「優希! 私と付き合うの!? 付き合うわよね!?」


「ちょ、ちょっと」


「ねぇ、お願いよ。付き合うと言って?」


「ね、姉ちゃん」



 姉ちゃんがヤケになって詰め寄ってきた。だが、俺はここで簡単に言うことを聞く訳にはいかない。


 俺だって姉ちゃんの言うことを全部聞く訳では無いのだ。


 …あ、瀬川たちの事覗いちゃった時も、言う事聞かなきゃ良かったのでは?


 俺が下心でやったな。あれ。




 それは置いといて。姉ちゃんと付き合う、か。


 どうなんだろうな。


 別に姉ちゃんのことは嫌いでは無い。むしろ好きだとは思う。

 しかし、それは家族としての好きであって、異性としてでは無い気がする。


 そうだとしても、付き合ってしまえば変わるかもしれないし、付き合うことには問題は無い(両親や妹のことは考えなければ)。


 付き合ってみてもいいかもしれない。お互い相手の事をよく知っているし、相性はいいかもしれない。




 俺が少し考え込んでいると、突然窓が開かれた。


 俺と姉ちゃんがそっちを向くと、そこには那月が立っていた。


 後ろには、申し訳なさそうにしている瀬川がいる。瀬川が呼んだのかな?



「詩織先輩…抜け駆けは無しです」


「え、えぇ。そうね」



 珍しく姉ちゃんが押されている。こんな風な姉ちゃんは久しぶりに見る。



「ねぇ、優希くん。この際だから私も言うね」


「お、おう」



 何を言うんだ? 何を?



「優希くんのことがずっと好きでした! 私と付き合って下さい」


「は?」



「私と」を妙に強調していたが、問題はそこじゃない。


 那月が俺のことを好き? そして、姉ちゃんも俺のことが好き。


 急にモテ始めてしまった。…じゃなくて、これはどうするべきなんだ?



「「ねぇ、優希(くん)」」


「「どっちと付き合うの?」」



 はぁ……俺はどうすればいいんだろうか。


 突然の2人の告白に、俺は途方に暮れるのだった。

2人からの告白でした。瀬川さんは那月の気持ちを知っていたから呼んできたのでしょうか?


次話、2日目 夜 ④です。


誤字脱字、アドバイスなどよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] え?あ、じゃあじきに足元がぴかーって光って異世界転移するんで、二人とも嫁にします
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