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忌子物語  作者: あむ
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【50話】便り

──一年後。


ルナは訓練場にいる。


訓練場の真ん中で足を組んで背を正して座っていた。

恨の訓練の最中だろう。

周りの柱はもう機能はしなかったが、もう必要ないかもしれない。

何故ならアンクレットの宝石が透明になっていたからである。


しばらく瞑想を続けるルナ。

そっと目を開ける。


そのまま立とうとするが、長い間足を組んだせいか少し痺れた。

ある本で書かれていた瞑想法を取り入れ、その姿勢をも真似したのだ。


「ッ...。」

我慢しながら立つ。

そして固まった全身をほぐす様にストレッチをした。

立ったルナは子供の面影はまだまだあるものの、背は随分と伸びている。


軽く走る。

汗をかいた後、訓練場から出て、お風呂場に入る。

軽く汗を流して、昼食を取った。


そしてベッドに潜り込み昼寝を一時間ほどする。


起きて午後の訓練。

基礎訓練やイメージトレーニングをする。


今日の訓練は早めに切り上げる。

家事があったのだ。


基本的に洗濯は天気がいい日の午前中に、

掃除などは隔日で午後の訓練を終えてする。


掃除を終えて、夕食の用意をする。

食材や香辛料は十分に備えられている。

料理の腕も随分上達した。


少し味見をして、鍋ごとテーブルに置く。

そして予め作っておいたパンや貯蔵庫から果物などを出して、食べた。

食べ終えると皿洗いや後片付けをする。


午前中に干していた洗濯物を取り込んで、畳む。

丁寧にタンスの中に衣類を入れて、お風呂場に行く。


ポニーテールに纏めていたシュシュを大事そうに解き、洗面台に置く。

続いて上着を脱ぐ。

1年前より美しくなった体が見えた。

細いラインはそのままだが、筋肉が更に引き締まっている。


お風呂場に入り、丁寧に体を洗う。

そのままお風呂にゆっくり浸かる。

出て、全身の水気を拭う。

髪の毛を丁寧に乾かす。

シュシュは左手首に巻いておく。


そのまま部屋に入り、本を選びベッドに入る。

しばらくそれを読む。

自然と眠りに入る。


これがルナのルーティンとなっていた。


──ラークは来なかった。


──

一年前、そしてラークが戻ってくる予定だった頃。


ルナはいつも通りの日をこなす。

だが、感じている不安が表に出ていた。

ラークが戻ってくるという日より随分と日にちが経っていたからである。


最初は単に遅れているだけかもしれないと思った。

だが、もう二週も遅れている。


ラークは約束を守る人だ。

来ないということはありえない。

もしかして森の中で何があったのではないかと不安になる。


またラークは強い人だ。

だが、そんなラークやローバが時折小言のように話していたティアレン森への警戒を思いだす。


悪い考えはどんどんと先走った。

ラークと一緒だったティアラは無事だろうか?


ローバはいつも一人で無事に行き来していた。

だが、絶対ということはない。

何かあったのだろうか?


一方で、ローバが戻ってこないってことは、三人が無事に町までたどり着いて、合流をしたということだろうか、と楽観的にも思う。


だが、ルナは一人だ。

一人でいると、不安は増幅する。

そう、居ても立ってもいられない状態で一日を送っていた。


そう不安な日々が、更に一週くらい過ぎた。


──ある日の早朝、隠居地。


──ドンドン!


大門が叩かれる音がする。

ラークかと思う。


「おーい!」

女の声だ。

明らかにラークではない。

ティアラやローバの声でもない。


自分はここにはいてはいけない人間だ。

音を最大限潜めて大門の方に近づく。


「おーい!ブロンだ!」


──ドンドン!


「──ッ!」

知り合いだと、反射的に大門を開ける。


──キイイッ...


だが、開けながら判断を誤ったと内心叱責する。

ラークでもない。

ティアラ、ローバでもない。


三人ともいないまま、余所者がきた。

どういうことだと疑問に思う。


だが、遅かった。

大門をもう開けてしまった。

ブロンとヨヨが入ってきたのだ。


実はルナとブロン、二人はあまり仲が良くない。

ティアラのおかげで、ルナとブロンは話す機会がほぼなかった。

ヨヨに付きっきりだったからである。


「よう!元気にしてたか?」

手を上げながら挨拶するブロン。


「どうしてあなたが?」

挨拶を返さず、警戒心を上げたまま、聞く。

招かざる者扱いを隠さない。


「ラークとティアラ、ローバは?無事なんですか?」

続いて聞く。

三人の情報を持っている人はブロンだと判断する。

ではないとここに来る理由がないのだ。


「やっぱり、か。」

警戒心を表に出しているルナを見ながら自分の頭をワシャワシャと掻くブロン。


「お前、伝書鳥って知っているか?」

「──?」

と、ブロンが一切れの紙を人差し指と中指で挟んで見せていた。


──しばらくして。


ルナはブロンから紙切れを受け取り読んでいた。


『すまん。しばらく帰れなくなった。一人で何とかしていろ。お前ならできる。

すぐ戻ってくるからな。ちゃんと留守番しとけよ。あ、ちなみに二人ともちゃんと町に来た。──ラーク』

ラークらしい適当すぎる内容と大雑把な情報。


「...。」

あまり表情に出さないルナではある。

だが、今はその無表情と共に固まったように見える。

ここ数週間心配して損した気分になるルナ。

一方で三人とも無事だということに安心する。


「えっと、これは...」

警戒を解き、ブロンに聞こうとする。


「あ、その前にごめんなさい。どうしてかと疑ってしまいました。」

「いや、大丈夫だ。むしろ偉いな。ローバはやっぱりいい教育者だな。」

大門を開けてしまったものの、その後の警戒を褒めているのだろう。

ヨヨが恐る恐るルナを見ている。


「ヨヨ、元気にしてた?」

やっと優しくヨヨに反応するルナ。

ヨヨは嬉しそうにルナに近づく。


「中へどうぞ。」

ヨヨの手を取り、ブロンに言う。


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