表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忌子物語  作者: あむ
59/79

【設定集】勇者

1. 勇者の定義

1) 概要

【勇者】とは、王国が公式に任命する最高位の戦力称号である。

神の啓示や運命による選定ではなく、国家が発掘・育成・任命する政治的制度に基づく存在である。

その本質は「国家が企画し、育成し、民に提示する象徴的戦力」であり、王が下賜する証牌のみがその唯一の証明となる。


2) 存在の名分

勇者制度の公式な名分は、来たるべき「魔王」の脅威に備えることである。

過去に制御不能な大規模災害──後に「魔王」と呼称される存在──が出現した記録があり、これに対抗しうる戦力を常に確保しておくという論理に基づいている。

ただし、魔王が不在の時代においてもこの制度は維持されており、その理由については後述する。


---

2. 選抜基準と育成

1) 選抜基準

勇者候補の選抜条件は以下の通りである。


■ 魔力総量が同世代において圧倒的であること

■ 最低3つ以上の属性を保有していること


この二つを満たす者は極めて稀であり、一世代に複数の候補が存在することもあれば、候補が一人も現れない世代も存在する。


2) 育成

候補と認定された者は、他国や敵対勢力からの保護を目的として秘密裏に育成される。


■ 育成場所は国家機密として厳重に管理され、その所在を知る者は極少数に限られる

■ 統一された育成課程は存在せず、各候補の資質に応じた個別対応が基本となる

■ 育成担当者の選定も非公開である。


なお、勇者候補の存在自体が原則として非公開である。


---


3. 任命

1) 試験

候補が成人に達した後、王宮に召集され勇者としての資質を審査される。


■ 審査の中心は魔法能力および戦闘適性である

■ ただし、勇者は民に提示される「象徴」としての側面を持つため、容姿・風格・立ち振る舞いも選考において相当の比重を占める


2) 任命

■ 合格者は一名のみ。同世代に複数の候補がいた場合でも、勇者として任命されるのは一人だけである

■ 王が証牌を下賜し、正式に「勇者」の称号を授ける

■ 不合格となった候補のその後については公式な記録が残されていない


3) 空位

候補が不在、あるいは全候補が不合格となった場合、勇者は空位となる。

当代に勇者が存在しない時代は珍しくなく、歴史上においても長期間空位が続いた記録が複数存在する。


---

4. 権限と待遇

1) 名誉

■ 勇者の称号は王国において最高の名誉の一つとされる

■ 証牌と名を示すだけで、いかなる町や村においても貴賓級の待遇を受ける


2) 実質的権限

■ 政治的権限は事実上存在しない

■ 個人資産の付与もなく、経済的な独立性は保障されていない

■ 国家から無制限に近い物資・設備・人員の支援が提供されるが、これはあくまで国家の管理下にある


つまり、勇者とは極めて高い名誉を持ちながら、実質的には国家に完全に依存する存在である。


3) 役割

魔王不在の時代における勇者の実質的役割は以下の通りである。


■ 戦時における最前線の指揮官または戦力

■ 民の士気を高める象徴的存在

■ 国家の威信を内外に示す政治的装置


役割の具体的内容は時代や個人の能力によって大きく異なり、統一的な職務規定は存在しない。


---


5. 現実

勇者制度の理想と現実の間には、看過しがたい乖離が存在する。


1) 歴代勇者の末路

■ 勇者という重責に耐えきれず精神的に崩壊した前例が複数存在する

■ 任命後も政治的道具として利用され続け、本人の意思とは無関係に消耗される。


2) 制度の本質

勇者制度は、対魔王戦力の確保という名分のもとに維持されているが、その実態は国家が民心を制御するための装置としての側面が強い。

魔王の脅威が不在であっても制度が廃止されない理由は、ここにある。


---

6. 魔王──勇者の存在名分

1) 定義

【魔王】とは、特定の種族や存在を指す言葉ではない。

制御不能な規模の災厄──それが人であれ魔物であれ──に対して事後的に付与される別称である。


2) 運用

■ 過去に実際に大規模な災厄が発生し「魔王」と呼称された記録は存在する

■ しかし同時に、政治的必要性から脅威を誇張し「魔王」の名を利用した事例も否定できない

■ すなわち、民の不安を煽り支持を集めるための名分として機能してきた側面がある


3) 勇者との関係

魔王の存在(あるいはその可能性)は、勇者制度を正当化する唯一の根拠である。

故に、魔王が不在であっても「いつか現れるかもしれない」という不確実性そのものが、制度存続の論理として機能し続けている。


---


特記事項

■ 現在、勇者の座は空位である

■ 証牌を目にすれば、誰もがその者が勇者であると理解する

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ