第十五話
「続いて第2試技を始めます。先攻の『ゴールドマリー女子高校』は試技を始めてください」
第2試技では先攻と後攻が入れ替わる。私達は後攻。後攻は先攻よりも圧倒的に有利だが、その有利な状況も今はただむなしく思えてしまう。それほどに、私は相手チームとの力の差を感じていた。
「ウホホホホホホホホ!!!」
ゴリラ系女子C、いや、もはやゴリラCは、またもや軽々と<フィギア>を持ち上げる。
「ピー! キープ無効です。『ゴールドマリー女子高』は試技を終了してください」
「ウホォ!」
そして、またもや10分11秒というとんでもないキープ時間で試技を終了した。
「奈々子ちゃん、たぶん『ゴリラ高校』の得点は45点くらいになるわ。私達がゴリラに勝つには、10分以上のキープ時間が最低限必要になると思う」
美咲先輩も、相手チームはもはや人間のチームではなく、ゴリラのチームだと思っているようだった。
「……10分なんて、私1人じゃ無理です」
正直、10分間1人で<フィギア>をキープし続けるなんて、現実的じゃなかった。一縷の希望もなかった。希望がない状態で、誰ががんばれるというの? 希望があるから、人はがんばれるんでしょ? 私はもう、がんばれないよ……。
私は心の中で弱音を吐き、完全にあきらめてしまった。
「奈々子ちゃん! がんばろう!」
しかし、美咲先輩はまだあきらめていなかった。
「先輩、もう、私達が勝つことは無理なんですよ。不可能なんですよ!」
「無理じゃない! 無理じゃないよ奈々子ちゃん!」
「美咲先輩、どこにそんな根拠があるんですか!! どこにそんな希望があるって言うんですか!!」
怒鳴る私を見て、美咲先輩はやさしく首を横にフリフリした。そして、力強く私の眼を見て言った。
「私達にはマリコちゃんがいるじゃない! マリコちゃんが来てくれれば絶対に勝てるから! ね? もう少しでマリコちゃんが、必ず来てくれるから、それまでがんばろ!」
……そうだ、忘れていた。私達にはマリコ先輩がいたんだ。確かに、マリコ先輩が来る保証はない。例え来ても、ゴリラ相手に勝てるとは思えない。それでも、それでもまだ、“希望”はあった! 人間というのはほんとうに単純な生き物だ。わずかな希望があれば、それだけでがんばれるのだから。
「美咲先輩、私、がんばってみます!!」
「うん! がんばろう!」
私は美咲先輩とハイタッチをして、セットポジションについた。
「続いて後攻の『村岡高校』は試技を始めてください」




