第十二話
ついに試合が始まる。試合の直前まで試合で使用する<フィギア>の種類、規定の角度と高さは公表されない。試合の直前に審判から<フィギア>の種類、それと規定の角度と高さが発表されるのだ。これは公平を期すためでもあるし、<フィギア>の種類や規定の角度と高さによって戦略が異なるため、試合を面白くするためでもある。また、それぞれ選手によって得意な<フィギア>の種類や角度、高さがあるので、<フィギア>の種類や規定の角度と高さによって勝敗が変わることも多い。
「それでは、第一回戦を始めます。今回使用する<フィギア>はNo.34の<フィギア>を使用します」
今回使用する<フィギア>はNo.34だ。No.34の<フィギア>は重さ15キロ、重心は顔の中心あたりに設定されている。
「今回の規定の角度は45度。規定の高さは下限が1メートル50センチ。上限が1メートル70センチです」
ちっ! くそ……。私は思わず心の中で舌打ちをした。今回の規定の高さは、“HIGH”のポジションだったからだ。
“HIGH”のポジションは、1メートル50センチ以上の高さのことを言い、かなり高い位置で<フィギア>をキープしなければいけないため、技術力よりも純粋な腕力の差が出やすいと言われている。基本的にバンザイのポーズで<フィギア>を持ち上げることとなるのが“HIGH”のポジションである。
また、他に“LOW”のポジションと“MIDDLE”のポジションがあり、“LOW”のポジションは“HIGH”のポジションとは逆に低い位置で<フィギア>をキープするため、技術の差がでやすいポジションであると言われている。
そのため、正直マリコ先輩がいない今、腕力勝負では勝ち目がないので、LOWのポジションであって欲しかったというのが本音だ。
「それでは“先攻”の『村岡高校』は、セットポジションについてください」
キープフィギアという競技は、3回試技を行い、そのうち2勝をしたチームが勝利となる。1回目、2回目はそれぞれ“先攻”と“後攻”にチームを分けて、交互に試技を行う。また、1回目と2回目で“先攻”と“後攻”を入れ替える。そして、2回目の試技が終わった時点でどちらかのチームが2勝した場合、その時点で試合終了となる。また、1勝1敗だった場合、3回目の試技を行う。キープフィギアという競技は、あきらかに“後攻”が有利である。それは、「どれだけ点を取れば勝利できるか?」という情報を後攻チームは得ることができるからである。「この時間までキープすれば勝てる」という情報がわかるだけでも、人はがんばれるのだ。そのため、3回戦は、両チーム同時に試技を行い、最終的に決着をつけるという試合方式となっている。
「それでは第1試技を始めます。先攻『村岡高校』、試技を始めてください!」




