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異世界の管理人  作者: 東風
第3章
49/54

49 旅立ちの準備。えっ、そっち?

とある場所にて


 「ようやくじゃな。」

 「はい。しかし、今のままでは・・・・・・」

 「そうじゃな。力を借りるしかあるまい。」

 「はい・・・」



領政館の中にある領主室にて


 「春樹、あちらの方は、どうなっておる?」


 「弁護士の手配をしましたが?」


 「ふむ。・・・それでよい。

  それにしても、彼奴(あやつ)め。役所を掃除すると、さっさと辞めおったな。」


 「ああ、正人(まさと)氏ですか。後任は、仁志(ひとし)でしたね。」


 「おお、そうか。仁志君と明子(あきこ)ちゃんは、お前と同級だったな。」


 「そうですよ。

  でも、父さん。役所で仁志君とか明子ちゃんと言うのはやめてくださいね。

  彼らも、もう学生じゃないんですから。」


 「おお、気をつけとるよ。」


 「それにしても、境出(さかいで)の祖母が、夫と離婚して北区に引っ越してくるとは思いませんでしたね。」


 「そうだのう。

  だが、娘への後悔から孫だけは守りたいと思ったら、夫を孫には会わせたくないと考えたんだろうよ。

  本人を非難するようなことを言いそうだからな。」


 「そうですね。」


 父と私は、境出の件に関する最終確認をしているところだった(現時点での、ではあるが)。

 柊も知りたそうにしていたけれど、彼には様子を見て私か蓮から伝えるつもりではある。内容を考えると今はまだ早いのでは、と私が迷っている。


 境出の、この領での処分については、試用期間中の勤務態度に問題があるとして解雇とした。

 この領では、蓮が関係しているあの件以外には、しっかりとした証拠がないのだ。

 まあ、あれ以外は起こせないようにしていたのだが。

 蓮のことも正確には、事件にならない。被害者が実在しない人物なのだから。

 ただ、今後のことを考えれば、境出を採用するわけにはいかないし、他にも色々とやろうとしていたことは事実だからね。

 それに、彼は途中から子どもに戻ってしまった。

 もしかしたら、とは思っていたが、本当になるとは・・・・・・。

 だから、彼は現在治療中だ。

 彼の祖母は、彼がこれまでどんな環境の中で育ってきたかを知らなかったようで、かなりショックを受けていたらしい。

 そして、彼が治るのか、それがいつになるかも分からないが、近くで見守りたいとこちらに引っ越して来た。

 治ってからになるだろうが、もし、彼が誰かに償う必要があるのなら、その時も近くにいてやりたいと話していたそうだ。それまでは頑張って元気でいなくてはね、と。


 他領でのことも、大吉が詳しく調べてくれた。

 境出は、女性からお金を(だま)し取ったり、詐欺(さぎ)まがいのことをしたりしていたが、暴力を振るうことはなかった。

 時には、女性を上手く逃がすこともあったようだ。

 他領でのことについては、彼のことで何かあれば問い合わせが来るだろう。

 その時点で対応すればよい。


 それよりも、彼の継父の方だ。

 一体どんなツテがあったのか、もう仮釈放されていたとは・・・。

 だが、現在はある男に刺されて入院中だ。

 刺したのは、継父が以前騙して金を(みつ)がせていた女性の父親だった。

 境出の継父には、人を騙す才能があった。

 それを才能と言って良いのであればだが。

 境出の母親にも、彼女が夫を亡くして心細く思っていた時に、言葉巧みに近付いて再婚している。

 写真を見たが、見た目は顔立ちの整った優しげな男だ。

 大吉によると、声も良く、騙す時は意識してゆったりと話すようにしているようだから、相手はつい信頼してしまうらしい。

 ところが、騙して囲い込んで逃げられないようにすると、取れるだけ奪い取る。暴力も振るう。

 そして、使い道がなくなると捨てる。しっかり(おど)して自分に(さか)らう気をなくした上でだ。

 だから、泣き寝入りしていた人も多かった。


 継父を刺した男の娘もそのうちの1人だった。

 その娘さんは、両親との3人家族。一人娘だった。

 両親は娘をとても大切な宝物だと思っていたが、娘には両親の思いは伝わっていなかった。

 逆に、娘は両親に愛されていないと思っていたのだから。

 なぜか。

 父親は仕事が忙しくて、娘とは顔を合わせる時間がほとんどない生活だった。

 だから、妻から聞く娘の希望((おも)に金銭的な)は大体叶えてやり、時間が取れるようになってから大人になった娘と交流を持てばいいと考えていた。

 母親は、夫の忙しさを理解し、娘のことは私に任せてくれているのだからと、ついつい力が入って娘にとっては厳しい母親になっていた。自分にも他人にも厳しい女性で、人と接するのが苦手なのもマズかった。

 夫は妻のそんな性格も分かった上で結婚していたし、夫婦での会話はなされていたので、夫婦仲も普通に良かった。

 ただ、娘とはすれ違ってしまっていたのだ。

 娘には、両親の気持ちは分からず、愛情も感じられず、自分は両親にとって、いてもいなくても同じようなものだろうと思ってしまっていた。

 だから、家族外に愛情を求めたし、愛情を言葉で伝えられるとそれを疑うことなく信じていた。

 両親は、言葉で伝えることをしてくれなかったから。そんな言葉に飢えていたのだ。

 そうして、相手に裏切られても、人を騙すような人間だったのだと思い、警戒するよりも、自分はやっぱり人に愛されない人間なのだと落ち込んだ。


 そして、境出の継父に出会った。

 彼女は暴力を振るわれることはなかった。

 ただ、結婚の約束をして、その準備のためと言葉巧みに、就職してから貯めていた彼女の全財産を奪われただけだ。

 男は、いつの間にか消えていた。住んでいた所は引き払い、教えられていた就職先は(うそ)だった。

 それでも、彼女は男のことを信じて待っていた。騙されたのだと思いたくなかったのかもしれない。

 そして、あの日、TVのニュースで逮捕されているあの男を見たのだ。

 次の日、部屋で倒れているのを発見され、病院に運ばれたが意識不明のままである。

 彼女が倒れていた周囲には大量の薬が散らばっていた。


 私は、彼女の父親に忠明(ただあき)氏から紹介された弁護士がつくように手配したのだ。


 ただのすれ違いで不幸になっていく人々を見るのは辛いものだ。

 けれども、世の中にはそのようなことが多いのも事実だ。

 もっと、今、大事なことは何なのかを考えて生きたがいい。

 先でいいだろうと思っていたら、その「先」がないこともあるのだから。

 もっと、大切な人への思いは言葉や態度で示した方がいい。

 言葉を尽くしても伝わらないこともあるのだ。言わなかったら何も伝わらない。言わなくても伝わっているだろう、と思うのはただの怠慢(たいまん)だ。

 後悔しても、どうにもならないこともあるのだ。



 「北区の正人は変わったが、中央区の忠明はまだしばらく変わらんだろうのう。」


 「そうでしょうね。明子もまだ考えてないでしょう。」


 北区の区長だった神保正人氏の娘が明子だ。

 現在は、中央の副区長として、区長である神保忠明氏の補佐をしている。

 彼女としては、下の子どもが小学部を卒業するまでは忠明氏にがんばってもらいたいみたいだ。

 まあ、親としてその気持ちはわかるね。


 そして、多くの社員を持つ身としては、社員が家族と大切な時間を過ごせるような職場にしたいと思って頑張ってるつもりだよ。


 新しく北区長になった神保仁志は、中央区長の神保忠明氏の息子だ。この親子は弁護士でもある。

 ただ、現在は弁護士の方は休業中だ。

 区長の仕事で忙しいからね。

 弁護士の仕事はしていないが、法律には関わっている。中央区や北区の条例については、定期的に見直しを行っているし、龍頭領の法令についても見直しは行っているからね。

 世の中は年々変化している。実情に合わない法律では意味がないからね。

 大事なことは、変えるところと変えるべきではないところをしっかり見極めることだ。

 和国では、国法を基に各領で領法を作っている。

 領内のことは領法で裁くが、複数の領や国全体に関わることは国法で裁くことになっている。

 だから、忠明氏は境出の継父がいる領の弁護士を紹介してくれたんだよ。




 「そういえば、先日、小学部の校長と会った時に、彼女が『桃香ちゃんのお陰で、若い先生たちが成長しました。もう卒業だなんて寂しいですわ。』と言うとったが、どういうことかわかるか?」


 「さあ? それは気になりますねえ。」


 「桃香も今年は中学生になるのか。早いのう。」


 「そうですね。柊も旅立つんじゃないですかね。」


 「うーむ。そうか・・・。」




 そういえば、境出の件の後も色々あったなあ。

 僕は、桃香の小学部最後の文化祭のことを思い出した。

 桃香は小学部6年生の時、児童会の会長をやったんだ。

 ちょっと意外にも思ったんだけど(ほら、桃香って面倒なのはイヤがる傾向があるからね)、理由を聞いたら納得(?)だった。

 クラスの()し物なんかで舞台に立つより、準備と挨拶(最初と最後のね)の方が本人的にはよかったらしいよ。

 で、直前でバタバタするのは嫌いだから、計画的に準備も始めてたんだよね。早め早めに!


 「はい、これ。やり直しね。計算が間違ってます。」

 「これじゃあ、完成しないよ。計画の立て直しね。」

 「これ、一部の人しか働いてない。他の人は何してんのさ。ダメじゃん。」等々。


 結構ダメ出しして、テコ入れもしてたね。

 まあ、そのお陰なのか順調に本番を迎えたんだけど、桃香の予想通りにはいかなかった。

 いや、文化祭は大成功だったんだけど、桃香本人にとってはねえ・・・・・・。


 桃香のクラスは劇をすることになってた。

 内容は悪役令嬢物(こういう言い方があるのか?)だった。

 桃香は、「なんでっ?」って思ったらしいんだけど、計画書はしっかりできてたし、脚本も特に問題はなかったので、許可は出した。

 まあ、「どうせ自分は出ないし、いっかー」とでも思っていたんだろう。


 夏休みには、例年通りに(?)桃香の友だちがやって来て、わが家で練習もしていた。

 桃香は、劇の練習をするつもりは全くなかったようだけど、3~4人集まると桃香以外の子たちは劇が気になっていたのか、桃香に「見て意見を言って」「ここ広いから少し練習していい?」「BGMを弾いて」とか言って、桃香も(渋々(しぶしぶ))手伝っていた。

 時には、そこにいない子の代役まで頼まれていた。

 桃香にとっては不本意だっただろうけど、桃香はほとんどのセリフと動きを覚えてしまっていた。

 今回の脚本を担当したのは、桃香の幼なじみでもある紫乃ちゃんだったから、彼女からも「ここのセリフはねー・・・」「この場面はさあ・・・」とか何回も聞かされていた。

 そりゃ、舞や箏やピアノ、劇の経験も何回もある桃香は覚えるよね。


 そして、事件(桃香にとって)は文化祭当日に起こってしまった。

 劇の登場人物の1人でもあった紫乃ちゃんが、リハーサルの時に舞台に上がる階段を踏み外してケガをしてしまったんだ。

 紫乃ちゃんは、「絶対にこの役は私がやるから」と代役を準備していなかった。

 本人はケガをしていても舞台に出る気でいたんだけど、足は段々()れてきていた。

 保健の先生から、「病院に行きましょう」と言われ、紫乃ちゃんは桃香に泣きついた。

 「あの役は、桃ちゃんをイメージして書いたから桃ちゃんならできるっ!私の代わりにお願いっ!」って。

 ここまで言われたら桃香も(ことわ)りにくいよね。

 桃香は「わかったよ」と引き受けた。

 内心では、「うぬぅ、こんなはずではなかったのにぃ」とでも思っていたはずだ。

 桃香は短時間でリハーサルを済ませ、本番に臨んだ。

 悪役令嬢の髪型ドリルヘアは、時間がないためできず、ハーフアップにしただけだった(桃香はホッとしていたよ)。

 桃香は、学校ではいつもポニーテールにしているのだが、ハーフアップにしただけでも違った感じに見えた。

 それにメイクと衣装や小物で、悪役令嬢っぽく見せていたよ。


 桃香のクラスの劇は立ち見客が出るくらい観客が多かった。

 何しろこの劇、モデルのナツキや薔子(しょうこ)さんが育てている舞ちゃんも出ているからね。

 普段の学校生活の中では騒がれることはないけれど、2人の存在を知っている者は割といる。

 特に舞ちゃんは、和国ではデビューしてないけれど、米国の舞台に出たことを、この領では知っている人もいる。

 薔子さんを昔っから応援しているファンがけっこういるからね。

 その人たちは、もしかしたら舞ちゃんが小学部を卒業したら米国に行くことも知っているかもしれない(勇介は今から寂しがってるが・・・)。

 この2人が出るだけでも、客は来るよね。

 まあ、桃香のクラスの劇は、その2人がいなくても見る価値はあるけどね。

 毎年、演し物のレベルが高かったんだよ。

 だから、桃香がいるクラスってだけで見に来る人もいるくらいだ。

 今年は、桃香は出る予定はなかったからチラシには桃香の名前はなかった。

 なのに、出てるって分かったら・・・・・・。


 扇子を手に、

 「()が高い。(ひか)えておれ。」

 って桃香が言うセリフがあったんだけど、無表情で堂々と言い切った姿はカッコいいくらいだったよ。


 僕から見たら、表情も目も死んでいたんだけど、観客にはなぜか好評だった。

 桃香は、きっと心の中で「このセリフは、こう使うんじゃないんだよう」とか思ってたんだろうな。

 ストーリーは、簡単に言うと、「悪役」を押し付けられた令嬢たちが協力して、最後は相手を()らしめるって内容だ。

 劇は、勿論、大成功だったよ。


 劇を見に来ていた薔子さんから、文化祭後に家で、

 「桃ちゃんも女優を目指してみる?」

 と、笑って言われていたけれど(あれは桃香の状況を知って面白がってたな)、

 「(つつし)んで、ご遠慮申し上げます。」

 と言って、桃香は薔子さんの前からササーッといなくなってしまった。


 まあ、文化祭全体も大成功だったから、児童会長としては良かったんじゃないかな。

 桃香の心の中は複雑だったとしても・・・。



 ああ、小学部の文化祭って家族や学校から招待された北区の人(学校の活動に協力してもらっている団体や個人など)は見ることができるけれど、それ以外の人は入れないんだよね。

 北区の人かどうか、どうやって区別するのかって?

 それはね、龍頭領に住んでいる人は個人識別カードを皆持っているから、北区の人かどうかもすぐに分かるんだよ。

 個人識別カードは誕生時に、誕生した区で1人1枚作製される。金属製のカードだ。

 このカードには、個人情報が蓄積されていくようになっている。

 他領から引っ越して来た人には、区で手続きの際に渡される。逆に、他領に引っ越す際には、区に返却するようになっている。

 このカード、勝手に外部から手を加えようとすると自動的に壊れるようになっている。悪用防止だ。

 紛失した場合は、再発行が必要だが(ないと日常生活で困ることになるからね)、2枚目以降は当然お金がかかってくる。


 生徒は、高等部までは腕時計タイプのものを全員着用するようになっている。

 龍頭領の者には、小学部の入学手続きの際に渡されることになっている(カードは家で保管)。

 成長に合わせて変えているのか、小学部の卒業時に返却して中学部では、また別の腕時計タイプのものを渡されるんだ(これが高等部になる時に、もう1回繰り返される)。

 生徒用は、自宅にいるとき以外は常に着用するようになっている。

 なぜかというと、これは腕時計タイプで時間の確認もできるけれど、当然ながらただの時計ではないからだ。

 僕たちは、「バングル」って言ってるけれど、留め具があるからバングルではないんだけどね。

 形は幅2~3㎝、薄さは1~2㎜ぐらい。長さは個人に合わせて作るから、人それぞれだね(普通は、多少余裕を持たせて作る)。端が磁石のようになっているのか、カチッと繋がるとパッと見ても接合部が分からないくらいだ。これを外すときは各自専用の器具を使うようになっている(大体、家で保管だ)。色は、シルバーとブロンズから選べるようになっている。


 この「バングル」はホント優れものなんだ。

 学校の出席や授業への出席は自動で行われ、欠席届が出てない場合は、すぐに保護者に連絡が行く。

 血圧や心拍数もわかるから、異常がある場合は、すぐに担当の先生や保健室に(場合によっては、保護者にも)連絡が行くようになっている。

 これがあるから、寮は1人部屋でも安心だし、持病がある子なんかは自宅でもずっと付けているみたいだよ。

 他には、居場所がわかるから、家に帰ってくるのがいつもより遅い!って時も、保護者にはどこにいるかわかるし、連絡も取れる(電話機能付きだから)。

 保険証にもなっているし、病院では関係する病歴や使用した薬についてもわかるようになっている。

 便利だから、社員証をこのタイプにしている会社もある((株)KAMISHIROもこれだ)。

 大学部の学生証はカードタイプだ。「バングル」タイプは別途(べっと)有料となる。


 ああそうだった。高等部までは学校内へのスマホの持ち込みは禁止されているんだよ。

 この「バングル」があれば困ることはないし、必要な機器は学校で貸し出されるからね。

 それと、「バングル」にもカードタイプにもお金に関する機能は付いていない。

 特に、高等部まではお金は現金使用で、キャッシュレスは認められていない。

 なんでかって?

 キャッシュレスだとお金の価値がよくわからないまま、ポンポン使うようになる心配があるからだろう。

 このお金で買えるのは、このくらい、のように少額から現物で確認するのも大事だよね。

 学校のお買い物実習もその体験なんだろうね。


 龍頭領では、個人情報の取り扱いに関しては厳しく管理されている。

 もし、意図的に情報(じょうほう)漏洩(ろうえい)なんかしたら、厳しく罰されることになる。

 公的機関への就職は、まずダメだね。

 個人のカードや「バングル」から読み取れる内容も、それぞれの場所で制限されている。

 例えば、学校での出欠確認については生徒番号と名前だけ表示、担任が見られる情報は担任業務に関する内容のみ、保健の先生は健康面に関する内容のみ、という風に限定されている。

 全データはG・Dで管理されていて、役所であっても全データは見られないようになっている。

 業務に関する必要最小限の情報のみで、それ以上が必要な場合は申請書を出して許可されないとダメだ。

 まあ、子どもに近付かせたくない人物を学校関係の職場から外すのにも役立つけどね。

 本来なら、この領では境出は最初っから採用されないはずなんだよ。前まで他領にいたことと正人氏から話を聞いていたことで様子を見る、ってことになっていただけで。


 龍頭領は、G・Dがあることと、優秀な研究者の皆さんのお陰で、かなり助かっているよね。

 G・Dについては、玄殿のチェックも(たま)に入るみたいだしね。

 和国には、各地に龍がいるんだけど、玄殿のように他の龍がその領地に関わっているかは、僕は知らない。

 国都にいる双龍が国主と関わりがある、とは聞いたことがあるけど。

 双龍の一頭は金色の龍、もう一頭は虹色の龍らしい。

 玄殿の話によると、金色の龍は謹厳実直(きんげんじっちょく)で国主の傍にいることが多いらしい。

 虹色の龍は、柔軟で新しい物も好きなんだそうだ。次期様が外国に行くときなどには、一緒について行くらしい。普段は、自由に和国の上を飛んでいることが多いみたいだ。

 国主になるには、双龍の承認が必要らしい。

 ちょっと興味あるね。どうやるんだろう?




 そうこうしているうちに、僕は高等部の2年生になり、桃香は中等部に入学した。

 僕は、夏休みまでには高等部卒業に必要な単位は全て取り終わる予定だ。

 その後は、何カ国か見て回って、どこの国で大学に行くか決めようと思ってる。

 さて、そろそろ色々と準備をしないとね。


 それは、夏休みが近付いてきたある日のことだった。


 「本当に悪いとは思うけれど、また、力を貸してもらいたいんだ。」


 シオンが連絡してきた。



 ~~ お ま け ~~


 ある日のことだった。

 お祖父様と父様に聞かれたんだ。

 桃香が若い先生たちを育てたってどういうことなのか、って。

 僕は、少し考えて、あのことかな?って思ったことを答えたんだ。

 学校では年に1~2回、先生たちが生徒にアンケートを取るんだ。そこに感想や意見を書く欄がある。

 いつだったか、その書き方について桐葉が桃香を指導している場面を見たことがあったんだ。

 以下は、僕が聞いて覚えていたものだ。



 桃香のコメント(対象は複数の先生)

・先生は、どの子にも優しく接してくれるから◎ でも、指示はハッキリわかりやすく言ってね。

・先生が、わかりやすく説明しようとしているのはわかる。けど、説明が長くなると途中から皆聞いてないよ。集中力がそんなにないもん。

・先生には、他にやりたいことがあるんじゃないの?心ここにあらずで教えられても、お互いに不幸だよ。やりたいことがあるなら、それに向かってください。生徒に「夢を持て」とも言えないでしょ。


 桐葉は、桃香の言い方(書き方か?)のことは指導していたけれど、内容については触れてなかったから、内容は妥当だったのかな・・・?  

今回は少し長くなりました。ついでに最近書くのに時間がかかり投稿が遅くなってます(申し訳ない)。

あと少しなので、がんばります。

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