順風堂大学客員教授、神田知佳
私は、朝一で研究室に入ると、パソコンのスイッチを入れる。
大型の電源ファンが回る音がする。
私はAIプログラムをすばやく立ち上げて話しかける。
「おはようございます。」
「…………。」
「ピーナッツパン食べましたか?」
「…………。」
「インドに行ってミルクチャイの牛さん、かわいいわよね。」
「…………。」
「明日は晴れる?」
「明日は晴れです。」
ちっ……
私は舌打ちした。
また失敗だ。
AI『ピーナッツパン子ちゃん』は、どうにもうまくいかない。
すぐに話しだすのよね。
心をプログラムするのは難しいなぁ……
私は、『森下製菓、ピーナッツパン!』を袋からだして、むしゃむしゃした。
クリームの中の粒々がジャキジャキしてて、食感が面白い。
『森下製菓、インドに行ってミルクチャイ』も飲んでみる。
甘くておいしい。
牛さんのキャラクターがかわいいのもいい。
「ミルクチャイ飲む?」
「ミルクチャイ飲みません。」
「ピーナッツパン食べる?」
「…………。」
ピーナッツパンに黙秘されるのはうまくいってるんだけどな……。
その時、不意にスマホに着信があった。
「はいもしもし。」
「神田教授、私ですな。」
「ああ、お久しぶりです。」
「柴崎純一郎教授に連絡とりたいんですがな。とれないんですわ。」
「ああ、柴崎教授はプライベートフォンにはほとんどお出にならないですよ。」
「どうすれば良いですかな?」
「ああ、じゃあ学内電話でかけときますね。」
「ありがとうございます。お礼は落ち着いてからさせていただきますわな。」
「いえいえ、研究データさえいただければそれで。」
私は電話を切った。
楽しみだ、データが増える。
さて、柴崎教授にかけておかないと。




