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判決の後で、ミルクチャイはいかが?



5:45


私はいつものようにアラームで目を覚ました。

ベッドから体を起こして、サイドテーブルに乗せてあったティーポットから、紅茶をマグカップに注ぐ。


ゴグッ、ゴグッ、ゴグッ


すっかり冷めていた。


私は、黒ゴムで髪を束ねた。

きつめに後ろで、きゅっと束ねると、頭皮が引っ張られて気持ちいい。

気持ちが引き締まる。

私はスーツに着替えた。

今日は有給休暇である。


今日は近くの『カメダ珈琲』でモーニングを食べる計画だ。

家を出る前に、冷蔵庫の中を確認する。

卵は買い足そう、あとは安いものを適当に買えばいいな。

帰りの買い物を考えながら、パックの野菜ジュースを直飲みする。


ゴグッ、ゴグッ、ゴグッ、ゴグッ……


鍵を閉めて、マンションの廊下を歩いていく。

まだ外は薄暗い。

マンションの廊下から、『カメダ珈琲』が見える。

薄暗い中で、光が灯っていた。


「えーと、モーニングのAをスクランブルエッグで、コーヒーはアイスミルクラテのグランデで、それと追加でアイスミルクティーのグランデお願いします。」


女性の店員は、何も言わずにメモ書きすると、眠そうな顔で去っていく。

すぐにドリンクを持ってやってきた。


ゴグッ、ゴグッ、ゴグッ、ゴグッ、ゴグッ


アイスミルクラテを飲み干してから、私は書類を机の上に置いた。

私が書いた判決文だ。

私は確信を持ってこの判決を書いた。

だがしかし……

私は、アイスミルクティーを飲みながら判決を読み返していた。


ゴグッ、ゴグッ、ゴグッ、ゴグッ、ゴグッ


モーニングのAが運ばれてくる。


「あ、追加でアイス抹茶ラテのグランデ2つお願いします。」


眠そうな顔の店員は、空になったグラスを持っていき、抹茶ラテ2つを持ってやってきた。


「ごゆっくりどうぞ……」


彼女はようやく言葉を発した。


ゴグッ、ゴグッ、ゴグッ、ゴグッ、ゴグッ


もう私の手を離れた事件である。

だがしかし……

私は、今日は有給休暇を取得した。

控訴審の判決を聞くためだ。


モーニングのパンにスクランブルエッグを乗せて食べはじめる。

やはり、朝はそんなに食欲がない。

私は必死になってパンに齧り付いた。


ゴグッ、ゴグッ、ゴグッ、ゴグッ、ゴグッ


口の中のものを抹茶ラテで流し込む。

使わなかったバターとジャムをバッグにしまった頃合いで、店員がやってくる。


「ホットコーヒーのラージ下さい。」


店員は空いた皿をもっていった。


しばらく私は判決文を眺めていた。


「熱いのでお気をつけ下さい。」


不意に声をかけられて、私はビクッとなる。

どうやら集中し過ぎていたようだ。

ひと息入れよう。


ゴグッ、熱っ!


私はいつものように、ホットコーヒーで火傷する。

私はコーヒーをふうふうしながら飲むことにした。

ちらりと時計を眺める。


6:35


控訴審の判決がでるのは、今日の午後である。


……


……


15:27


私は、コンビニの前に立っていた。

私が握りしめているバッグの中には、判決文が入っている。

この判決文にはもうなんの価値もない。

控訴審判決が先ほど下された。


私はコンビニに入っていく。

飲料の棚の前に立つ。

『森下製菓、インドに行ってミルクチャイ』を2つ手にとる。

全然かわいくない牛のキャラクターだった。


「ありがとうございました……」


店員の声を後ろで聞きながら、私は紙パックを開けた。


ゴグッ、ゴグッ、ゴグッ、ゴグッ

ゴグッ、ゴグッ、ゴグッ、ゴグッ


空になったパックを店頭のゴミ箱に放り込む。


さあ、やるしかない。


私は、電話番号の書かれたメモを取り出した。コンビニの前にある公衆電話をプッシュする。

しばらくコールしたあとで、聞き覚えのある口調が聞こえてきた。


「もしもし、どちらさまですかな?」


「私は、左です。」


電話の相手は黙っている。

しかし、相手が緊張しているのが伝わってきた。


「判決に穴があります。」


「……ほう。」


「裁判所前のニコニコマート、公衆電話、USBメモリー。」


私は電話を切った。


やれることはやった。


私は、天を見上げた。

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