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タイの物語  作者: Shadow
第I部:第II部:過去の根源と真実
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第39話 ― 決断に至る

一日中、本を読んだ。


この世界について知るために。

“盾の勇者”について知るために。


二百冊ほど手に取った。

盾の勇者に関する記述は——何もなかった。


一冊だけ、あった。


「秘密と真実の暴露」


その本だけが、全ての勇者について書いていた。


俺はこの世界を救うために召喚された——重要な存在らしい。


はははは。


俺が世界を救う。

もう何も興味がない。

こいつらは運が悪い。“盾の勇者”が俺だったのだから。


――――


読み終えた後、もう一つ知った。


“魔法”というものがある。

火、水、土、風、光、闇——

そして”強化”と”治癒”。


――――


二日目の朝、ミウラのいた宿へ向かうつもりだった。


だが少し歩きたかった。

“盾の勇者”として歩くのだ。

くだらない。


歩いていると——騒ぎが聞こえた。


近づいた。

人々が話していた。

王女のことだった。


割り込んだ。


「何があった」


一人が言った。

「衝撃的な話だ。盾の勇者が王女を暴行した。あんな屑だとは思わなかった」


笑った。


全員が俺を見た。

「何が可笑しい」


「王女だぞ。どうやって暴行するんだ」


少し沈黙があった。

「王女本人がそう言ったんだ」


微笑んだ。


罠だと分かった。


この世界に来てまだ数時間だ。

なぜここまで憎まれる。


宿へ向かった。

どんな戦いが来ても構わなかった。


騎士と衛兵が宿を囲んでいた。

盾の勇者を——殺しに来ていた。


向かいの建物に跳んだ。

人垣の間を抜けた。


王宮へ向かった。

堂々とした格好で。


歩きながら聞こえてきた。

「王女を暴行した者がいるらしい」


また笑った。

止められなかった。


聞いてはいた。

でも可笑しすぎる。


この世界を燃やしてやる。

もう何も関係ない。


――――


城門の前に立った。


衛兵に言った。

「どけ」


「何者だ」


変装したまま答えた。

「俺がお前の上官だ、間抜け。王の命で来た。交易について報告がある」


通された。


貴族たちが噂をしていた。

暴行された者がいたと。


驚くことでもない。

俺はそういう人間を知っている。

そして殺してきた。


玉座の間に入った。


王、王女、王子、そして残りの勇者たちがいた。


「やあ。俺抜きで会議か」


俺を見た全員が、固まった。


王女が叫んだ。

「この人が暴行しようとした。毒も盛った」


笑った。


「嘘つきめ。俺は娼婦には興味がない」


誰も信じなかった。


……待て。


あの娼婦が王女だったのか。


信じられなかった。

冗談だと思っていた。


父親も屑だ。

あの裁判官と同じ種類の人間だ。

二人とも、埋めるべき屑だ。


王女が俺を”娼婦”と呼ばれたことで苛立っていた。


正直に言えば、苛立ってはいなかった。

怒っていた。


「俺がやっていないことで俺を訴える。その証拠は何だ。俺はお前たちがいた宿にすらいなかった。お前が俺のために用意した毒入りの食い物も飲み物も——口にしていない。言い訳は何だ。俺が要らないなら構わない。ただ——俺から離れろ」


王が言った。

「離れなかったら何をする」


「簡単だ。殺す」


衛兵たちが武器を向けた。

王が笑った。


「どうやって殺す」


「こうやって」


小さなナイフを投げた。


王の頭の横の壁に——髪の毛一本分の隙間で刺さった。


王が震えた。

衛兵たちに命令した。


「殺せ」


背後のドアが開いた。

三十人が入ってきた。


一歩も引かなかった。


目を閉じた。

静かになった。

心臓の鼓動を聞いた。


血の中に何かが動くのを感じた。

“マナ”だった。


詠唱なしで——強化魔法を発動した。


強化のマナが血管の中で燃えた。

力が満ちた。速度が満ちた。

内側で声が——決着の時を告げていた。


手のひらから魔力の鉄糸が伸びた。

絹糸のように細く。

鋼鉄のように硬く鋭い。

それに炎魔法を纏わせた。

糸が細い炎の鞭になった。

触れるものを——雷のように返す。


踏み込んだ瞬間、弓兵の矢が飛んできた。


指一本を動かした。

糸が空を裂いた。

矢が燃えながら墜ちた。

二人の弓兵の首に糸が絡んだ——引いた。

腕が落ちた。

体が前列に叩きつけられた。


――――


剣兵の列が来た。

十人、鎧なし。


速度が上がった。

動きが研ぎ澄まされた。


踏み込む。

胸骨に拳を入れる。

ひねる。

剣が振り下ろされる前に——抜け出す。


一人から剣を奪った。

角度をつけて刺し込んだ。

糸を巻いて腕を断った。

蹴りで吹き飛ばした。

喉を潰した。


血が玉座の床を——廃墟の地図のように染めた。


強化の反動で体が揺れた。

だが一撃一撃は正確だった。

奴らの驕りを——ゆっくりと刻んでいた。


――――


魔法使いたちが呪文を唱え始めた。

火。水。光。


炎が渦巻いた。

水流が叩きつけた。

光線が影を貫いた。


糸を動かした。

燃える細線が炎を断ち切った。

水の魔法使いの足に絡んだ——神経ごと引いた。

光魔法使いに向かって奪った槍を投げた——腹に刺さった。


腕を引き抜いた。

首を落とした。

体を体の上に積み重ねた。

骨が——強化された力の下で、砕けた。


強化魔法は俺を変えなかった。

ただ——一撃を死にした。

一本の糸を縫うごとに、判決を刻んだ。


――――


死体の海の中に立っていた。


燃える糸が垂れ下がっていた。


踏み越えた。

靴で顔を踏みつけた。

鉄と魔力が混じった臭いが口の中で割れた。


王座の方を見た。


王が震えていた。

小さく見えた。


冷たく言った。


「これがお前の守りか。これがお前の玉座か」


笑った。

ゆっくりと言った。


「俺はここにいる。血の代金を足で払い終えた。次の授業を受ける準備はできているか」


――――


影に消えようとした。


突然——巨大な斧が目の前にあった。


最後の一瞬に屈んだ。

掠った。


体勢を整えようとした。

背中を蹴られた。


窓が割れた。

玉座の間から落ちた。


上を見た。

手を上げた。

拳を握った。


玉座の間の天井が——砕けた。


糸を伸ばした。

落下を緩めた。


ゆっくりと立ち上がった。

上を見た。


叫んだ。


「来い」


――――


上から人影が落ちてきた。


後退した。

待った。


着地した。

砂埃が広がった。


見た。

大きかった。

巨大な斧を持っていた。


こいつが蹴ったのか。

面白い戦いになりそうだ。


砂埃がまだ晴れないうちに——消えた。


どこへ行った。


影が見えた。


後退した。


拳が顔の横を通り過ぎた。


拳か。斧はどこだ。


躱した。

背後から風が来た。


振り返った。

斧の刃が頭上にあった。


盾を上げた。

受けた。


火花の音が辺りに響いた。


少し押し戻された。

そのまま突っ込んだ。


後退を——攻撃に変えた。


この野郎。強くて賢い。


斧を躱して跳んだ。

上から炎の球が来た。


盾を上げた。

糸を出した。

球を断ち切った。


球が消えた。

爆発した。


吹き飛んだ。


背中から落ちた。


立とうとした。

斧の光が見えた。


後退した。

壁に当たった。


くそ、切られる。


斧が振られた。

腹に——深い傷が入った。


膝をついた。

血を吐いた。

視界が遠ざかっていった。


どこかから声がした。


立て……戦え。


立った。


体が揺れた。

血が激しく流れていた。


煙草を取り出した。


斧の男に言った。


「認めてやる」


男が微笑んだ。

「別れを告げる時だ」


「ああ……お前の言う通りだ」


指を鳴らした。


城全体を——巨大な炎の球が囲んだ。


言った。


「俺か——お前か」


男が突っ込んできた。

斧を高く上げた。

振り下ろした。


横に回った。

斧の側面を打った。

砕けた。


一瞬も待たなかった。


顎を掴んだ。

地面に叩き込んだ。


離れた。

指を上げた。

下ろした。


炎の球が降り注いだ。

弾丸のように。

その場所を——消した。


――――


城を出た。


後ろに残したのは——証拠だった。


俺を弱いと言う者への。


(第39話・了)

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