水仙
……白い天井の狭い部屋で目を覚ます。
ここは……
「おはようアーク」
聴き馴染みのある声が聞こえた
「ミラさん……」
徐々に記憶が蘇る
「みんなは……」
「無事…ではないけど……全員生き残った。」
全員、生き残れた?
「本当ですか!?」
「うん。勝てたよ。」
全員が生き残れた。
そう、誰も死ななかった。
窓の外の遠くの空には繭も怪物もいない。
遠くまで広がる街並みの中、廃墟のクレーターが一つ
隣の机の花瓶の一輪の白い水仙の花がその廃墟への追悼をするかのように傾いた。
「僕はどれほど眠っていましたか?」
「ずっと、1週間ずっと寝てたよ」
その声にはそこ知れない安堵が篭っていた。
「そうですか。ここ1週間はどうでしたか?」
「いやぁ大変だったよ。ガルドもゼノンも3日間不在で他の部隊の援助が来るまで丸1日かかってさ、その1日は私と現場に行ってて唯一動けた人と研究部隊と情報部隊から3人ずつの援助で8人で復旧作業してたんだけどさ、まぁ見ての通り街の被害は大きくってさ、大変だったよ。」
こんなにも愚痴を吐くミラさんもなかなか珍しい。
それもそうか
何せ被害状況に対して動ける人数が少なすぎる。
「なかなか大変でしたね。」
「うん本当に、まぁARCがやる所まではやっと終わったって感じ。」
「本当にお疲れ様です。」
「アークもお疲れ様。1人で戦ってたんでしょ?」
「えぇ、なかなか骨が折れました。」
「あそこはあそこで被害酷かったからね。」
ふと疑問が浮かんだ。
「あそこってみんながいた所からはかなり距離がありましたよね。」
「実質2カ所同時被害みたいな形になってたからね。」
「ミラさんはどうやって僕を見つけたんですか?」
あの日の情景がフラッシュバックする。
ミラさんが駆け寄ってきたあの時、空には確かに怪物の姿があった。
あの現場からの距離を考えると、
最初から動いてないとあの場所からは間に合わない筈、
少なくともあのタイミングで来れるのは、
頭の中で思考が交差する。
その中で一つの答えに辿り着いた瞬間、ミラさんの答えが返って来た。
「私が予言者だから。」




