天獄
……目が覚めた。
ここは?
先程までの記憶がぼんやりとしている。
あぁそうだった。
確か私は、あの時、あの人を庇って、
あの後、確か、心臓を、
徐々に記憶が蘇る。
……外に出よう。
嫌な予感がした。
怪物の鋭い骨を拾う。
……やけに静かだ
怪物の体内を辿り、外へ向かう。
奥から光が見える。
久々の外の光
思わず目を瞑ってしまうほど眩しくて、目が慣れた頃にそこにあったのは
地獄絵図だった
「ガルド!」
その地獄絵図の中、たった今、ガルドが崩れ落ちた。
残ったのは羽を生やした少女と私だけ。
「まだ居たんだ」
お互い、同じ言葉を呟く。
そうして
戦いの火蓋は切られた。
怪物の骨を握る手に力を込め距離を詰める
羽を動かす少女
だがその身体が空を舞うことを足枷が許さなかった
……ガルド
遠のいた意識の中でも彼の腕だけは足枷として働いた
少女の顔に余裕の感情はとっくに消えていた
そこにあるのは子供のように泣いて謝る醜い顔だった
……だから感情のある能力者は嫌いなんだ
怪物の刃を少女の首元に突き立てた
***
「……ク!ア……!………!」
遠のく意識の中で誰かが呼ぶ声だけ聞こえる。
「ミラ……さん?」
きっと声にはならなかっただろう
もう目を開いて確認する余力すらない
でも一つだけ確信できた
あの一筋の光が
暴れた一本の糸くずが、崩れたビルのガラス片が、
その光が
死を宣告した光が
今全て消えたと
あぁ、帰れるんだ。
ゆっくりと眠りについた。




