天使
少女は羽を優雅に羽ばたかせ、地から足を離す。
青空と日の光を背に、純白の白い羽が映え、白い羽に繊細でしなやかな白い模様が浮かぶ。
穢れも何も知らない無垢な白な筈なのに、全てを見透かしているかのように静かだった。
綺麗だった。
あまりにも無垢で神々しい羽を美しいと思ってしまった。
身体が熱くなる。
心臓の鼓動は徐々に速くなり、視界はボヤけはじめる。
ボヤけた視界にもその羽は美しく映った。
……だから気付かなかったのかも知れない。
その羽が崇高でないことに。
1人の影が蝶に向かう。
その羽がか弱いことに。
蝶にはその影を避けることができなかった。
その羽が壊れてしまうことに。
刹那、片翼をもがれた蝶が廃墟の地に堕ちた。
鈍い音だけが聞こえた。
おかしいな、急に毒が回ってきた。
いや、よくよく考えれば私はここにいる誰よりも早くこの蝶を知ってしまった。
傷だらけの醜い姿で、
それでも醜いなりにふらつきながらも歩いた。
思い出そうにも直近の記憶がない。
そうか、
きっと、もう、
……
***
なんとかチームBのリーダーとして、ARCの一員として相手を壊せた。
「……よくも…」
「お互い様だろ」
左肩にだけ羽を生やした少女がコチラを睨む。
……1人毒でやられたか。
ここにいる誰もがもう長くは戦えない。
だから
「面倒だったんでな。態々飛ばれてりゃこっちが先にやられちまうもんでよ。」
短期決戦と行こうか。
力を振り絞るようにし、地を蹴った。




