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毒蛾
こいつ、さっきより明らかに……
「ゼノンさん。この能力者明らかに成長しています。」
最初に見た時より羽が一回り大きい。
「そうか。ならあまり時間は掛けられないな。」
先程から能力者は間合いの外側で攻撃を避け続けている。
アリスなら間合いを詰めれたかもしれない。
アルタなら攻撃を当てれたかもしれない。
もう誰も有効打は無い。
……いや、おかしい。
そもそも何故攻撃が掠りもしない?
そして、何故この距離感で攻撃してこない?
伸ばす腕がまた宙を掻き、痺れる。
…痺れる?
先程、ゼノンに放った「傷だらけ」という言葉。
嫌な予感が脳裏をよぎる。
毒
そうで無いと信じたい。
だが、疲弊だけでは説明のつかない身体の重さがそうであると裏付けた。
…きっと、ゼノンさんももう気づいて、
恐らく、この場にいる全員がもう既に、
「…やるぞ」
ゼノンさんがそう呟く。
「俺らは既に背水の陣だ。ここでやらなきゃ終わりだ。」
ガルドさんがゼノンさんの言葉にそう返す。
きっと彼らも毒になんてとっくに気づいている。
他の部隊の到着はもう間に合わないだろう。
でも、僕らは負けられない。
負けちゃいけない。
ARCとして、ここで絶対に食い止める。
能力者が宙へと浮き始めた。




