静寂
突然、怪物の動きが止まった。
宙をなぞった触手が墜落する。
轟音と砂埃が舞う中、長い静寂が訪れる。
か弱い風が耳元を撫でる。
荒廃した都心に立たされる。
緊張の糸が張り詰め、音を立てることすら許さない。
戦友の上がった息が聞こえる。
少し緊張の糸がほぐれる。
「…ガルド」
怪物に目を向けたまま、後ろに立つガルドに話しかける。
「……分からねぇ」
余裕のないような声で絞り出したかのように呟く。
一歩、歩を進める。
足音だけが廃墟に響く。
また一歩踏み出す。
……反応は無い。
「……終わった…のか?」
その声に応える音は無い。
「やっと……終わった……」
1人の隊員が安堵したように緊張の糸を解く。
少しずつ隊員の声が増える。
そうか……終わったのか
後ろに振り返る。
「ガルド。被害の状況を確認してくれ。」
「分かった。」
そう言うとガルドは足速に状況を確認しに行った。
……遠くに倒れ込んだチームメイトを見つける。
「ゴウ。動けるか?」
「リー……ダー……まだ………動け……」
身体を無理矢理動かすようにし、応答する。
「無理はするな。よく生き残ってくれた。」
見渡せば倒れ込んだ隊員たちが何人もいる。
「動ける奴は全員を安全な所に移してくれ。」
大声で呼びかける。
「生存確認をしてくる。お前はここで休んでいろ。」
反応を確認するより先に他の隊員の所へ向かった。
「アルタ。大丈夫か?」
「ゼノン……さん……」
か弱く声を紡ぐ。
「ゼノンさん………まだ……」
「無理はするな。」
「まだ………終わって……な…」
瞬間、怪物の方から羽ばたく音がした。




