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心臓
怪物の動きが一瞬にして収まった。
「カル!」
うずくまるカルに近づく。
静かな怪物の体内に自分の声だけが響く。
カルは血を流しながらなんとか息をしている。
「キョウ……心臓を…」
少し遠くに転がる心臓に目を向ける。
そうだ…トドメを刺さないと。
でも、
「心臓を……持ってきて…」
意外な言葉が出てきた。
心臓まで駆け足で向かう。
片手に収まる位の大きさの心臓を拾い上げる。
心臓にしてはかなり小さい。
まだ確かに脈を打っている。
「持ってきました。」
「ありがと……」
そういうとカルは心臓を自らの口に運んだ。
噛み砕くこともなく飲み込むように。
咽せながらも口の中に無理矢理詰め込んでいく。
咳に応じてカルの口から血が出る。
そして、ついにその全てを飲み込んだ。
カルがより息を荒くしながら私に頼み込むように口を開く。
「もし……私が怪物になったら……その時はお願い。」
そんな言葉でやっと理解した。
でも、
そんな決断なんてできるはずがない。
だから、今はカルが怪物にならないように望むことしかできない。
カルの傷口が少しずつ塞がっていく。
「ねぇ……」
「なんですか。」
少しずつ目を閉じならもカルはなんとか言葉を紡ぐ。
「これが最期なら……みんなに伝えて……」
目を閉じて呟くように言葉を溢す。
「ごめんね」
しばらくは寝息と鼓動だけが聞こえた。




