正義
揺れる怪物の中で鼓動を頼りに心臓を探る。
目は暗闇に慣れ始め、伸びる触手がより鮮明に見えた。
触手の攻撃は少し弱くなっている。
「ねえ、心臓の場所分かりそう?」
そう話しかけながら触手を制圧する彼はチームSのリーダー、カルだった。
話しかけながらもお互い目線は一直線に触手を見極める。
「分からないです、血管の血の流れを頼りに探すしか、」
「そっか」
そう言うとカルは怪物の身体に穴を開けた。
「そんなもたついている暇はないね」
「今その攻撃はリスクが、」
この攻撃で向こうの意識がこっちに向いたら今度は確実に殺しにくる。
「分かってる。だから絶対に離れないでね。」
そう言うとカルはこちらに向かって攻撃の姿勢を構える。
咄嗟に目を瞑ったが刹那、後ろで鈍い音がした。
「ほら行くよ」
振り返る隙もなく言われるがままカルに着いて行った。
その背中がどことなくあの人に似ている気がした。
「これ、意味ないね」
ふとカルが口を開いた。
「心臓は常に動いてる」
触手を薙ぎ払いながら淡々とそう告げる。
「なら、どうすれば、」
「体内に目は無い、つまりこの怪物は衝撃だけを頼りに私たちを認識している」
呼吸が一段と重たくなった感覚がした。
「絶対に離れないでね」
その一言と共に体内の静寂は瞬時に切り裂かれた。
体内の破壊が始まると同時に四方八方からこれまでの比にならない程の攻撃が飛び交う。
クソ、防御が精一杯だ!
周囲に攻撃の弾幕が張り巡らされる。
そんな中、なんとかカルを見失わないようにと目を凝らす。
弾幕の合間に見えるカルは黙々と体内の破壊だけを遂行していた。
身体に傷を増やしながら、それでも致命傷だけを避けて黙々と心臓を探る。
痛みを感じないのか?恐怖を感じないのか?
そんな疑問が浮かんでは弾幕によって消されるを繰り返す。
「キョウ!後ろ!」
…!
半歩遅れたがなんとか致命傷は免れた。
痛い。怖い。
きっとカルだってそうだ。
いや、この戦場にいる誰もがきっと、
最初の攻撃を節目に攻撃が防ぎきれなくなってきた。
致命傷だけは避けつつなんとか立ち上がる。
今気づいた。
もうこの正義は何者にも止められないと




