合唱
怪物の数多な触手と大きな口が迫る。
捌ききれない。
そう感じた瞬間足元が崩れた。
ああ、そうか、
身体はとっくに限界を迎えていた。
身体中の傷口から絶え間なく血が滲み出る。
「ハルト、ごめん」
後悔を呟いてももう遅かった。
怪物の影は既に迫っている。
ただ1人、目を閉じ死の瞬間を待つように、
__________
一瞬、されど確かに風を切る音がした。
目を開けば影に立ち向かう1人の姿が見えた。
能力者の影に覆われた静かな世界が
一瞬にして消えた。
***
「ガルド!大きな隙が生じた!今しかない!」
「ああ!分かっている!」
チームLの新人が崩した盤面に光が差した。
「全員一気に畳み掛けるぞ!」
ノエルとシオンが俺に続くように能力者へ向かう。
隣にはゼノン率いるチームAが、
そして別方向からは別のチームが、
死力を尽くして立ち向かう。
狙うのは心臓でなくてもいい。
両断できれば十分だ。
次々と続く俺達の猛攻が小さな触手から本体までもを両方させる。
「シオン!」
「任せて、心臓の位置は大方特定できた」
先程より小さくなった能力者が口を開き再び侵食を開始する。
だが、今度の標的は俺達みたいだ、
それに気づいたのは少し遅かった。
先程よりスピードを上げた触手が腕を掴む。
それの所為で半歩遅れた。
既に過半数が完全に拘束をされていた。
下手には動けない。
だが待っていても奴らは殺される。
どうすれば、
「僕に任せて」
ゆったりとした声でそう聞こえた。
「チームDのリーダーとして速攻で奪還する」
そう言った声の主人、レイが能力者へと向かう。
そうだ、動かなければ負け
単純な話じゃねえか
今まで以上に早い触手を掻き分けるように、叩き潰すように前へ進む。
向かうは奴の最深部、心臓だ
一歩ずつ着実に前へと進む。
捕まれば終わり
立ち止まれば終わり
さっきからずっとそうだった。
レイが前で触手を叩き潰していく。
ゼノンが裏に回る。
カリスが触手を防ぐ。
解放された奴らも各々の立ち回りで戦場に立つ。
血を流しながら、足を引きながら、
もう生き残る戦いじゃねえ
死んでも勝つぞ




