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未確認来訪者  作者: 1N0R1
第四章
49/50

羽化

遅れてしまい申し訳ございません。

今後ともこのようなことはあるかもしれませんが、皆様が楽しんで頂ける作品を作れるように精進して行きます。

崩れるビルの音も街を侵食する怪物の音も今は遠くで響いている。

地にずさんに落ちた糸が、目の前の繭に吸われる。

触れることすら躊躇ってしまう程に、

「キョウさん。指示を」

我に返る。

「……攻撃を続けるんだ、」

破れた穴に糸が伸び、その口を塞ぐ。

「でも…」

他のチームですら歯が立たない。

「壊し切らなくてもいい。内側に潜り込めれば、」

「そんな、相手のことも繭のことも分かっていないのに、リスクが大きすぎます。」

「承知の上だ。」

「……分かりました。その代わり、俺もついて行きます。だから絶対に死なないで下さい。」

「分かっている。」

塞がる穴に拳を突っ込む。

きっとリーダーなら、

拳を振り繭に穴を開ける。

深く、もっと深くに、

開いた穴はまるで水の様にすぐに塞がる。

何もなかったかの様に、

先程までと同じ大きな繭が鎮座している。

糸が唸り始める。

力が駄目なら、

「アルタ。セツが開けた穴に攻撃を仕掛けてくれ。」

「分かりました。」

静寂の中にセツの拳の音が響く。

アルタの拳に合わせて少しずつ穴が広がる。

それに比例する様に糸の唸る音も大きくなる。

水が干上がるように消えてゆく。

繭の穴が渦の様に広がる。

糸が音の鋭さを変える。

そして、

渦が飲み込むように、

風が吹き荒れるように、

轟音を立てた糸が暴れ出す。

全てを切り捨てるように。

暴れる糸が皮膚を刺し、

痛みを感じるより先に血が指先を流れる。

渦は少しずつ小さくなり、波紋のように揺れる。

波紋は広がることなく小さく消えてゆく。

大雨のように吹き荒れる糸の中で、水飛沫が跳ねる。

一つ、二つ、数えきれない程の糸が静かに跳ねる。

どこか儚くて寂しげで、

嵐の中で幾つも伸びる雨の中で、

皮膚を刺す糸の中で、

美しくはなかった。

死に物狂いで、

藁に縋るような思いで、

その糸口を見失わないように、

一瞬の豪雨の中で、


その糸に触れた

その一瞬だけ、遠くの何かを見た気がした

途端、


繭が静かに轟音を立て


消えた。


繭の中で目を閉じた少女が蛾の様な羽を広げ、立ち上がった。

ゆっくりと目を開き、手のひらで落ちてゆく糸を受け止める。

「負けちゃったか。」

暴れていた糸は嘘だったかの様に姿を消していた。

「きみたちの所為?」

羽をぎこちなく羽ばたかせて地から足を離す。

小さな風が吹く。


_______近くで怪物の音が聞こえた。

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