混線
マズイ、
鳴り響く警報音の中、避難住民とは逆の方向へ足を進める。
遠くの空から野鳥の声が響く。
徐々に避難住民は少なくなり、遂に遠くに響く音と足音だけが残った。
その中に一つ、不自然な音が潜んでいた。
振り返れば、目前に何者かの攻撃が迫っていた。
咄嗟に攻撃を回避したが、頬からは血が流れ始めた。
一度距離を取り体制を立て直す。
そこに相手も突っ込んでくる。
だが、今度は最小限の動きで全ての攻撃を避ける。
頬から流れる血が鬱陶しい。
能力者を目で追うと、一瞬だけ、宙で何かが光った。
刹那、近辺の建物が一瞬にして砕けた。
よく見ると能力者に繋がるようにそこら中に糸が張り巡らされている。
「へぇ、こんなに簡単に崩せるんだ。」
その言葉が終わるより先に、僕は能力者に駆け寄っていた。
能力者の指先から糸が伸びる。
それと同時に能力者は一瞬にして距離を取り、僕の攻撃はかすり傷すら付けられなかった。
「ねぇ、少し引っ張るだけで壊れちゃったよ?」
今度はこちらに告げるように目を合わせて言葉を放った。
頬から流れる血を拭う。
「なんだ、切れていたんだ。じゃあ、」
その言葉と共に能力者は糸を振り回し始めた。
傷を増やしながらも着実に距離を詰める。
後一歩で攻撃が届く。
振りかぶっていた腕を攻撃に移行する。
だが、攻撃は寸での所で止まった。
手首からは糸が張っており、これ以上前に進めない。
一度距離を取って体制を整え直そう。
だが、足の糸は戻ることすら許さなかった。
「まずは1人目、」
そう呟いて能力者はどこかへ行こうとした。
だが、その歩みに簡単に追いついた。
顔面に攻撃を入れ込む。
吹っ飛んだ能力者が壁にぶつかり、砂埃が舞う。
「なんだ、抜け出せるんだ、」
そう言いながら能力者は立ち上がる。
「じゃあ、ここで仕留め切らないとだね。」
その瞬間、ものすごいスピードで能力者が近づいてくる。
糸を冷静に切り落としながら、こちらも前に出る。
減速した能力者に超スピードで駆け寄る。
能力者が逃げ出そうとする。
だが、遅い。
「かごめかごめ、」
能力者が童謡を口ずさむ。
そこで足を着いた瞬間、体が宙に浮いた。
また拘束された、
能力者が岩のような物を持ちながら近づく。
そこで右腕に縛ってある糸を思いっきり引っ張った。
瞬間、拘束は解けて逆に能力者を縛ることに成功した。
「小細工は僕の得意分野なんですよ。」
糸が張り詰める。




