来訪
ミラさんが警戒のような眼差しでこちらを見ている。
「研究部隊の実質的なトップですよ。」
「そっか、ごめんちょっと驚いちゃって、その、予言者って?」
「…詳しくは分かりません。ただ、会いたいとだけ言ってました。」
ミラさんが少し遠くを見つめる。
「あの、そんな重要そうなことをここで話してもよかったんですか?」
先程より気持ち小声でノエルさんが尋ねてくる。
「口止めはされてませんから大丈夫です。」
「…予言者の話はガルドから聞いている。でも、こんなに大々的に予言者が動いたのは初めて。」
ミラさんから緊迫した空気が流れる。
「ミラ、その予言者の予言についてどれくらい知っているの?」
「……危険度4が、発生する。」
あの日の地獄絵図が脳裏によぎる。
「危険度4って、そんな、どうすれば、」
「戦うしかない。ごめんね、今まで黙ってて。」
強風が窓を叩く。
「アーク、明日研究所に行ってもいい?」
「……僕も同行します。」
「私も、」
「ごめん、ノエルはここで待ってて。」
一瞬一瞬の空気が重い。
「……分かった、2人とも無事に帰ってきてね。」
「分かった。アーク、明日は何時から研究所に入れる?」
「5時にはもう空いていますよ。」
「了解。アーク、悪いけど今日は夜番してて。明日朝すぐ行くよ。」
「はい。」
先程までと空気は一変した。
「ミラ、もっと詳しく分かる?」
「危険度3相当の大量出現、って言ってた。」
「分かった。」
緊迫した空気が1秒1秒を重く刻む。
それでも今はただ、夜明けを待つことしかできなかった。
「じゃあアーク、そろそろ行こうか。」
時計に目をやると、既に4時を回っている。
「そうですね、それじゃあ行ってきますね。」
ノエルさんに向けて、この寮に向けてそういう。
「……行ってらっしゃい。」
その言葉を最後にして、僕らは寮を出た。
***
朝のコーヒーを嗜んでいると研究所の扉がノックされる。
「どうぞ。」
その扉の向こうにはアークともう1人いた。
「予言について知っていることを教えてください。」
なるほど……
「力になれなくて悪いが、私も予言を全て知っている訳ではない。何が聞きたいかだけ教えてくれ。」
少女の深呼吸の音が聞こえる。
「全部、知りたいです。多分すぐそこまで来ています。」
「確かにもうすぐ来るだろうね。だから、私は予言者と対話の場を設けたのだが、生憎まだ来ていなくてね。」
「……そうですか。ありがとうございます。」
そう言って2人は部屋を出て行ってしまった。
「…ごめんね。アーク。」
***
「アーク、その、私今から情報管理所にも行かないとだから先に帰ってて。」
研究室から出た直後にミラさんからそう告げられた。
「分かりました。兄さんから連絡があればすぐに伝えますね。」
「うん、ありがとう。それじゃあね。」
そこでミラさんと分かれて、1人で寮に向かう。
『危険度4、エリア内に能力者が出現しました。直ちに避難して下さい』




