予言
兄さんの言葉の意味が分からなかった。
「予言者?予言者って一体、」
「まぁ身内ネタみたいなものさ。」
「…分かった。伝えておくね。」
「頼んだよ。」
兄さんに手を振って研究室をでる。
ガルドさんは多分あそこにいるな。
予言者、か
目的地に向かいながら兄さんの言葉を反芻する。
あの言葉が妙に引っかかる。
研究には関係ないはずなのに、
兄さんの口から予言者という言葉が聞けるとは思っていなかった。
言葉を反芻するうちに気づけば目的地には着いていた。
そしてやはりここにいた。
「ゼノン、本当にその条件でいいんだな。」
「あぁ、構わない。」
2人の視線が交差して戦いの火蓋が切られる。
相変わらずすごい戦いだ。
瞬きをする度に大きく戦況が動く。
均衡する2人の攻防には入り込む隙が全く無い。
少しの攻防の末、ガルドさんの手がゼノンさんの首に触れた。
あまりにも速くて美しくて、呆気なかった。
「さて、なんでも一つ買ってくれるんだったよな?」
「二言はない。」
「じゃあ明日一緒にケーキ屋行くぞ。」
「分かった。今日はもうこれで終わりか?」
「まぁな、チームメイトも待たせている訳だしな。」
ガルドさんと目が合う。
「そうか。じゃあまた明日。」
「おう。またな!」
ガルドさんがこちらに向かう。
「お疲れ様です。」
「おう、そっちはもう用事は済んだか?」
「はい。いい情報を手に入れられました。あっ、そういえば兄さんから伝言預かっているんですよ。なんか、予言者に会わせて欲しいとか言っていました。」
ガルドさんが短くため息を吐く。
「あいよ。だが、すぐには呼べねぇ、」
ガルドさんが悩ましい顔で頭を抱える。
「そういえば、ミラさんはどこに行っているのでしょうかね?」
「見当もつかないな。」
どうやらガルドさんも知らないらしい。
「ただいまー。」
噂をすれば、
「おかえり、用事は済んだか?」
「うん。2人ももう終わった?」
「はい。僕もガルドさんもつい先程終わりました。」
「よし、じゃあ帰って寝るぞ。」
言われて思い出したが、この3人全員寝不足だった。
「そうだね。私ももう眠い。」
「同感です。」
その後は中身のない雑談をしながら寮まで歩いた。
「ただいま。」
「おかえり。意外と早かったね。」
寮に入るとシオンさんが挨拶を返した。
「ノエルはどうした?」
「さっき寝に行ったよ。まぁ、今日夜番だし、私も特にやることないから昼寝してくる。」
そんな訳でチームの全員が各々の部屋で就寝を取った。
夢の中で予言者が出てきた。
「君なら運命だって変えられる。」
そう言って予言者は消えて行った。




