仮説
朝食を食べ終え、食器を片付ける。
「それじゃあ行ってきますね。」
「いってらっしゃい。夕飯までには帰ってきてくださいね。」
僕等は手を振って玄関を出た。
「そういえば2人は何しに行くの?」
玄関を出てすぐにミラさんがこちらを見上げながら聞いてくる。
「兄さんが、今日いいデータが来る。って言っていたので研究所に行って話を聞きに行きます。」
「俺はいつも通りだ。」
「まぁガルドは正直分かってた。アークはそのお兄さんと研究をしてるの?」
「基本そうですね、まぁ兄さんと言っても実の兄弟ではないですが、」
「そうだったのか!?」
何故かガルドさんの方が驚いている。
「もしかしてですけど、ずっと兄弟だと思ってました?」
「兄弟って言われても違和感がないほど仲が良かったからな。」
「まぁ付き合いは長いですからね。」
色々雑談をしている内に気づけば本部に着いていた。
***
「兄さん来たよ。」
アークが研究室の扉を開ける。
「早かったね。まぁ早く来る分には問題はないさ。座ってくれ。」
前よりも大きくなったかな。
「本題に移るか。」
「いい情報が手に入ったんだっけ?」
「あぁ、その前に今までの身元不明能力者と先日戦った結晶の能力者の違いは分かるか?」
「確かその能力者だけ大人なんだったっけ?」
「そうだね。だから発育の影響から何かしらのデータが出ると踏んだのだが、他の能力者と状態は殆ど一緒だった。」
「でも、ここに呼んだってことは成果があったんだ。」
「成果がなければ呼んじゃだめかい?まぁその通り成果はあったんだけどね。」
「情報から出た成果、か。見当も付かない。」
「これについては説明した方が早いだろうね。結論から言うとその能力者だけ血縁の住所がこの近辺ではなかった。」
アークが疑問を持つ表情になった。
「まぁこれだけ聞いても重要とは思えないだろうね。でももしこの身元不明能力者が元々は人間だとしたら?」
「なるほど。確かに大人になってから家を出て一人暮らしを始めた人とも見れるのか。」
「まぁあくまでも仮説だがな。でも今までの情報を見ても0から作られたのか元々人間だったのかは分からなかった。今回のこの能力者によって元々人間だった可能性が強くなった。」
「確かにそれなら血縁がいるのも普通の能力者とあまり違いがないのも納得できるね。」
「まだ多少作られた存在である可能性はあるが、元々人間だったと言う前提で研究しても問題はなさそうと判断した。」
「でももしそうだとしたら、多分誰かが情報を操作しているんでしょ?」
「それも考えたが、他の仮説と同等程度の信憑性しかない。だから次に調べたいのは身元不明になった理由と幻影の関係だな。幻影の方が早いだろうけどね。」
「分かった。幻影について調べておくよ。」
アークが席を立って部屋を出ようとした。
「一ついいか?」
一拍置いて呼吸を整える。
「ガルドに予言者と合わせて欲しいと伝えてくれ。」




