群青
「…あの2人がそんな簡単に捕まる訳がないだろう?」
「2人?何を言っている?お前の仲間は4人もいただろ?」
マズいな、アーク達も捕まってる。
距離的に助けに行くのは無理だろう。
足が震える。
「……情報はそれだけか?」
「まだ立場は優位だと思っているのか?お前は想像以上に浅はかなんだな。」
「神を信仰するなら布教のチャンスだろ?」
「確かに本来ならそうだが、お前達だけは殺すように言われているからな。」
足に力が入る。
「……これ以上は情報は吐くつもりはないと?」
「これから死ぬ物に態々教えることなど何もない。せいぜいあの世で神を拝んでいろ。」
足に力をありったけ注ぎ込む。
「最後に言うことはあるか?」
多分、これでもう私は戦えなくなるだろう。
「じゃあ、最後にこれだけは言わせてくれ。」
能力者の目を見上げる。
疲弊し切った足に、未完成だった私達の能力を注ぎ込む。
力は貯まった。
覚悟も決まった。
だから、この一撃に全てを賭ける。
一生にも思える一瞬で私は全てを預けた。
「君のデータは実に興味深い!」
本当に一瞬だった。
一瞬で私の足は結晶を砕き、能力者の首を刎ねた。
振り上げた足に遅れて轟音が鳴り響いた。
首を飛ばした後に私の足は力を失った。
気づけば辺りの結晶は破片となって輝いて消えた。
とても綺麗だった。
ふと我に返り辺りを見渡す。
「2人とも無事だったかい?」
どうやら私はもう立つこともままならないらしい。
這うようにしてゼノンとガルドの方に向かう。
「あぁ、済まない。最後まで戦えなかった。」
「俺も面目ねぇな。お前がこんなになるまで戦わせてしまってよ。」
「気にするな。この研究を始めた時からこうなることは覚悟の上さ。」
ガルドの手がいつもより大きく感じる。
「済まないが、私と能力者の遺体を研究所まで運んでくれないか?」
「寧ろそれくらいはやらせてくれ。」
申し訳無さそうにするゼノンに少し胸が痛くなる。
「ありがとう。君たちにはいつも感謝しているよ。」
「こちらこそ。それじゃあいくぞ。」
ゼノンの背中はとても暖かかった。
「ナイさん!大丈夫ですか?」
「まぁ大丈夫ではないな。前線にはもう出ることはできない。」
「そんな…」
アルタの寂しそうな目を見てこちらまで悲しくなってきた。
「……兄さん。」
「アーク、君にこの力の研究を託すことになってしまったね。」
「安心して。僕が関わったからには収穫0で終わらせないから。」
いつも一緒にいた筈のアークに懐かしさを感じる。
「やっぱり君は頼もしいな。」
自然と表情が緩む。
今日の青空は一段と澄んでいた。




