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未確認来訪者  作者: 1N0R1
第三章
30/50

臨界

「…始める前にルールも決めておきましょう。」

「分かりました。と言っても先程の2人と同じような感じでいいですよね。」

その言葉を聞いたアルタさんは少し表情を変えた。

「いえ、どちらかが立てなくなるまでやりましょう。」

その言葉で一気に空気が変わった。

「忘れましたか?これは危険度4に向けた試合ですよ。一応お互いに致命傷や後遺症になる攻撃は禁止にしておきましょう。ここで付けた傷の所為で前線に出られなかったら元も子もないですからね。」

あたかも当然のことかのように淡々と話を続ける。

「…本当にそのルールでやるんですね?」

「安心して下さい。命に関わるような攻撃でなければここで大抵治せますから。」

彼の視線がまっすぐこちらを突き刺す。

「それじゃあ始めましょうか。」

「…よろしくお願いします。」

戦いの火蓋は切られた。

腕の力を抜く。

アルタさんは一直線にこちらに向かってきた。

その姿はあまりにも無防備だった。

その隙を狙い腕を振ったが、半歩遅かった。

重心が崩れる。

その隙を容赦なく突いてくる。

距離を取ることすら許させてはくれない。

先程までとは打って変わり身体のどこを見渡しても隙が見当たらない。

アルタさんはまだ攻撃を続ける。

重くはないが軽くもない連撃が骨の髄にまで響く。

獣のような視線が僕の身体から離れない。

体勢は完全に崩さた。

倒れた僕に対してもその視線を離さない。

アルタさんはまだ攻撃を続ける。

思い浮かぶ打開策は全てルールに反した。

皮肉なことに腕にはまだ力が有り余っている。

アルタさんの攻撃は骨の髄まで伝わる。

今は耐えるしかない。

アルタさんはまだ攻撃を続ける。

徐々にスピードと威力は上がってくる。

まだ耐えるしかできない。

アルタさんはまだ攻撃を続ける。

刹那、僕の腕はアルタさんの頬のすぐ隣を貫いた。

隙ができた。

今のうちに距離を取り体勢を整える。

だが、ルールに則る有効打がない。

腕から更に力を抜く。

アルタさんはまた隙だらけでこちらに突っ込んでくる。

今度はこちらの攻撃が先に当たる。

決定打は与えられなかったがバランスは崩れる。

服を引っ張りアルタさんを地面に押し倒す。

未だ彼の目は獣のような目だった。

準備は整った。

腕に力を入れすぎないように連撃をする。

アルタさんも腕の可動域だけで抵抗をする。

お互いの攻撃は全て相殺される。

アルタさんの上がるスピードになんとか力を抑えながら着いていく。

更に攻撃は加速する。

どちらかが捌ききれなくなるまで攻撃は加速する。

スピードと共に火力も上がってくる。

力の制御も限界が近い。

一気にスピードを限界まで引き上げる。

アルタさんもそれに合わせてスピードを上げる。

捌ききれなかった攻撃がお互いの身体に当たり始める。

身体は既にボロボロだった。

砂埃が舞う。

その時間は一生にも思える程に長かった。

「終了。2人とも攻撃の手を止めてくれ。」

いきなり兄さんの声が聞こえた。

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