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未確認来訪者  作者: 1N0R1
第三章
26/50

過去

未だ兄さんの言葉が頭の中に残っている。

兄さんはもう力を使いすぎた。

今からあの力を研究し始めても手遅れだろう。

手元にある実験器具と研究施設の匂いが今でもあの時を思い出させる。



---***---



「兄さん。測定するから結果をパソコンに入れていって。」

2人だけの研究所に僕の声が静かに響く。

「了解。理論計測もやっておいたからこれを基に測定して。」

今度は兄さんの声が研究所に響く。

「分かった。じゃあまずパターンA-01から。思考回数は?」

「255回」

「了解。環境は?」

「問題ない。パターンA-01からね。」

「うん、サクサクやるよ」

実験による反応を見る。

今は極限まで人間に似せたマネキンを使って人体への負荷を計測している。

「検証完了。それぞれの部位への負荷は?」

「全部正常値範囲内。パターンA-01は問題無さそう。」

「じゃあついでにパターンE-22もそこから理論計測しておくね。」

「了解」

僕たちは今、ARCの今後に関わるレベルの研究をしている。

この研究が上手くいけばARCはもっと能力者の被害を少なくできる。

「まだできていないのってどのパターン?」

「理論計測はE-36とG-42だけ。実験はB群とC群とD群が終わっている。全部正常値範囲内。」

「B-21とD-03のデータお願い。あとE-20の理論計測のデータもお願い。」

まだやることは山積みのようにあるが2人でやっているにしてはかなり早いペースでできている。

残りの数値が全て正常値範囲内なら次はようやく試験導入ができる。

「兄さんは本当に現場部隊に行っちゃうの?」

「あぁ、でなければ他に誰を試験導入の被験体として使うんだい?」

「僕で試験導入したらダメなの?」

「どちらか片方でも生きていれば後世に意思を継げるだろ。それに、私たちはまだノヴァから全てを学べた訳じゃない。」

「兄さんが行く理由にはならないよ。」

「勘違いするな。私は研究者として生の能力者をこの目で観察したいだけだ。」

「……次は受かれそう?」

「さぁね、何せ実技試験はどうも苦手で。」

「次の試験は9ヶ月後。研究は間に合う。」

それに間に合えば兄さんの身体に研究の成果を入れることができる。

「兄さん。僕も被験体になる。」

「現場部隊で戦うつもりかい?」

珍しく兄さんが直接的な物言いをした。

「勘違いしないで。データが多い方がいいと思っただけだから。」

「……分かった。ならせめてノヴァの近くにいてくれ。お互いノヴァの後継を名乗れるようにする為にな。」

「分かった。所で理論計測もできたよ。2つとも正常値範囲内だった。」

「君は凄いよね。理論計測のスピードが他の人とは比にならない程早い。」

「兄さんのお陰だよ。」

そんな雑談をしながら僕らは2人で研究をした。

見落としは無いと信じながら。

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