第311話 「高い所は苦手ですわ」
──『一』。
「人鳥さん、お願いですわ!私を大空の彼方へと、連れて行って下さいませ!」
「ピイィィィィィ!」
人鳥はラミス姫の両肩を足で掴み、そして大空へと舞い上がる。
──『二』。
「さあ、後少しだけ持ち堪えるわよ!ミルフィー、覚悟はいーい?」
「はい、お姉様!私、頑張ります!」
「ピイィィィィィ!!」
「ピーちゃんも、お願いねー!・▽・」っ
──ブンブン!
──『三』。
人鳥と共に、天へと飛び立つラミス姫。
高く、誰よりも高く───。ラミス姫は大空へと羽ばたいて行く。
この新奥義は今のラミス姫、一人だけの力では放つ事は出来ない。
……条件は二つ。その二つとは、標的の足止めと"高さ"である。
ラミス姫が新奥義を繰り出す為には、人鳥の力を借りて大空へと羽ばたく必要があった。
「お願いしますわ、人鳥さん。限界まで飛んで下さいませ!」
「ピイィィィィ!!」
ラミス姫は勝利を掴む為に、遥か天空へと舞い上がる。
──『四』。
──ドゴォ!!
「ぐうっ!?」
牛鬼王の強烈な一撃を受け、激しく吹き飛ばされる"白虎の巫女"リン。
リンが牛鬼王の一撃を受け止める事が出来るのは、精々二回が限度であった。
一度でも攻撃を受けると立ち上がる事すら困難となり、そして二撃目を受けると瀕死の状態へと追い込まれてしまう。
「うぐっ……。」
既に牛鬼王の攻撃を二回も体に受け、力尽きて倒れる姉リン。
「お姉様、回復を!」
神々の力により、すぐに回復するリンだが……。既にミルフィーの魔力は底を突いていた。
全魔力を使い切り、気を失い倒れてしまうミルフィー。
「ミルフィー!」
妹の心配をして、名を叫ぶリンだが……。
──ドゴォ!!
「ぐうっ!?」
牛鬼王が待ってくれる筈など無い。強烈な一撃を受け、既に限界状態の姉リン。
もう一度牛鬼王の攻撃を受けるだけで、リンは力尽きてしまう事だろう。
「ぐっ……。まだなの?ラミス!もう、限界よ!!」
剣を構え、リンは震えながら懸命に立ち上がる。
──『五』。
──ズガシャーン!!
その時、突如激しい雷撃魔法が牛鬼王の体を撃ち貫く。
「助かったわ、ピーちゃん!・▽・」っ
──ブンブン!
「ピイィィィィィ!」
「ピイィィィィー!!」
人鳥女王、そして大空を埋め尽くす程の人鳥達が、牛鬼王目掛けて一斉に雷撃魔法を放つ。
「ブモッ、ブモォォオオ!!」
呻き声を上げながら、踠き苦しむ牛鬼王。
牛鬼達を全て駆逐した人鳥達が、加勢に来てくれた様である。
「何とか、いけそうじゃない?コレ!」
人鳥達の活躍に、少し安堵する姉リンだが───。
──ザシュ!!
「ピイィィィィー!?」
牛鬼王の恐ろしい一撃と共に、大地へと沈む人鳥女王。
「ブモォォオオ!!」
そして牛鬼王の刃は、大空を埋め尽くす程の人鳥達を一瞬で撃ち落としていく。
──『六』。
「させないわ!!」
人鳥達を助ける為、牛鬼王に斬りかかるリンだが───。
──ドゴォ!!
「キャアァァー!!」
牛鬼王の二撃目を受け、力尽きて倒れてしまう姉リン。
「お姉様が危険ですわ!人鳥さん、ここで私を降ろして下さいませ!」
「ピイィィー!!」
「ブモオォォ……。」
全ての人鳥達を大地へと沈め、不気味な声を上げながらリンの元へと近付いていく牛鬼王。
「ううっ……。」
……しかし既にリンは力尽き、立ち上がる力さえ失っていた。
「ブモォォォ……。」
そしてリンに止めを刺す為、牛鬼王は大剣を振りかざす。
──『七』。
「お姉様ー!!」
姉を救う為に、天より舞い降りるプリンセスラミス。
──そしてラミスの体は、今正に"雷"と化す。




