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剣も魔法も全く使えない姫なので、物理〈拳〉で乗りきるしかありません!【プリンセス無双】さあ、優雅〈エレガント〉に参りますわよ!!  作者: 魔神
神の名を冠する獣編

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310/316

第310話 「旋風を巻き起こしますわ」

……それは、一瞬の出来事だった。

敗れ去った青牛鬼王(ブルーミノタウルスキング)の目には、ラミス姫が()()()()()()()()すら見えていなかった事だろう。


それ程までにラミス姫の技は速く、そして凄まじい威力だった。


──プリンセス神拳最終奥義百八式、プリンセス"暴風(ストーム)"。

この技は人狼王(ウェアウルフキング)第四形態〈獣神モード〉を討つ為に、ラミス姫が編み出した"最終奥義"である。

……百八ある内の全ての技に()いて、ラミス姫の最強かつ最後の奥義なのである。


この奥義はラミス姫の速度を一瞬だけ極限まで上昇させ、戦場(そこ)に凄まじい"暴風"を巻き起こす。


その凄まじい速さの前に、たとえ"王の名を持つ獣"であろうとも、ラミス姫の動きを捉える事すら出来ず敗れ去る事だろう。


「…………。」

青牛鬼王(ブルーミノタウルスキング)をプリンセス"暴風(ストーム)"で()じ伏せ、次なる標的である赤牛鬼王(レッドミノタウルスキング)の姿を(にら)み付ける"拳神"ラミス。


ラミス姫は遂に、"拳神"の称号を手に入れるまで成長を遂げていた。


……しかし、ラミス姫は理解していた。この技では、まだ赤牛鬼王(レッドミノタウルスキング)を倒せない事を───。


……それは、この奥義が()()()()()()()だからである。


(わたくし)も、まだまだですわね……。」

──ギリッ。

ラミス姫は拳を強く握り締め、悔しさに体を震わせた。


「……必ず、(わたくし)の手で完成させてみせますわ。」

……そう心に、強く誓うラミス。


そしてラミス姫が、この技を完成させた時───。

全ての"王の名を持つ獣"を打ち倒し、ヘルニア帝国を打倒する日が訪れる事だろう。



──ドゴォ!!

「ぐうっ!?」

牛鬼王(ミノタウルスキング)の刃により、激しく吹き飛ばされる"白虎の巫女"リン。


「お姉様っ!?まっ、不味(まず)いですわ……。」


「ううっ……。」

牛鬼王(ミノタウルスキング)の直撃を喰らい、致命傷を負う姉リン。


「お姉様ー!」

すぐに神々の力"治癒の力"で回復させるミルフィーだが……。既に魔力が切れ"浄化の力"を使用する事が出来ず、"治癒の力"を僅かに使える程度しか魔力が残されてはいなかった。


「ブモォォォオオオ!!」

"白虎の巫女""青龍の巫女"そして人鳥女王(ハーピークイーン)の三人()かりですら全く歯が立たない、"王の名を持つ獣"赤牛鬼王〈レッドミノタウルスキング〉。


それは正に圧倒的な強さを誇る、真の化け物だった。

ミルフィーの魔力が尽き、絶望的な状況へと追い込まれるラミス姫達。


……ラミス姫には分かっていた。

たとえ四人()かりで戦ったとしても、青牛鬼王(ブルーミノタウルスキング)をも打ち破る最終奥義を使ったとしても───。


赤牛鬼王(レッドミノタウルスキング)を倒す事など決して敵わない事を、ラミスは理解していた。


既に限界の三人と一匹。このままでは後数分……。いや数秒すら持たず、ラミス姫達は赤牛鬼王(レッドミノタウルスキング)の前に敗れ去る事だろう。


「お姉様、"あれ"を使いますわ!!」

だが、()()()()の奥義なら話は別である。


「分かったわ、ラミス!貴女に賭けるわ!!」

ラミス姫は勝利を掴む為に、二つ目の方法を試みる。


「お姉様!ミルフィー!後、七秒だけ耐えて下さいませ!」


「七秒ね、了解よラミス!必ず、耐え(しの)いでみせるわ!!」

「分かりました!きっと耐えてみせますわ、お姉様!」


──だっ!

そしてラミスは、勝利に向かって走り出した。

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