第308話 「ミルフィーが活躍して嬉しいですわ」
──バシュ、バシュン!
青龍の杖が聖なる輝きを放ち、浄化の光が牛鬼王の体を焼き尽くす。
「ブモォ、ブモォォオオ!?」
体を焼かれ、悲痛な叫び上げる牛鬼王。
二度、三度───。何度も"浄化の力"を使い、一気に畳み掛ける"青龍の巫女"ミルフィー。
……この機を逃す手は無い。ラミス姫は勝利を掴む為、華麗なる舞と共に死せるフォーゲル王子の魂を再び現世に黄泉返らせる。
「さあ、フォーゲル王子!私の華麗なる舞と共に、今現在に舞い戻るのです!」
──くるくるくるー♪
「ううっ……。あれ?僕は一体……?」
ラミス姫による洗練された美麗な舞により、眩い光に包まれ再び現世に甦るフォーゲル王子。
──ズガガガガガガガガガガッ!!
ミルフィーが"浄化の力"で赤牛鬼王を押さえ込んでいる間に、青牛鬼王を討つべく死闘を繰り広げる"白虎の巫女"リン。
「このっ!こいつも、かなり手強いわね!」
善戦はしているものの……。弱い方である筈の青牛鬼王は"白虎の巫女"である姉リンに、匹敵する程の強さを持っていた。
「…………。」
赤牛鬼王の方はミルフィーが押さえ込んでいる。……しかしミルフィーの表情からは、一切の余裕が感じられなかった。
"浄化の力"だけでは牛鬼王を倒せない事を、術者本人であるミルフィーが一番理解していたからである。
「ブモッ、ブモォォオオ!?」
浄化の光で焼かれ、苦しみながら呻き声を上げる赤牛鬼王。……しかし牛鬼王が倒れる事は一切無く、その体は恐ろしい速さで再生して行く。
「このままでは……。」
時間稼ぎにしかならないのだと、ミルフィーは酷く焦りを感じていた。……そして残された魔力が後僅かである事に、底知れない絶望を感じていた。
ラミス姫達の置かれている状況は、依然不利のままである。
赤牛鬼王を押さえ込んでいるのは、時間の問題である事をラミス姫も感じ取っていた。
ラミス姫達に勝機があるとすれば───。人鳥女王の力を借り、リンとミルフィーの二人が力尽きる前に、ラミス姫が二体の牛鬼王を倒さねばならないのである。
──その為には。
「フォーゲル王子、クリスタルを!!」
急ぎフォーゲル王子の元へ駆け付け、ラミス姫はクリスタルを手渡した。
「分かった!」
ラミス姫からクリスタルを受け取り、フォーゲルはクリスタルを天に翳す。
「出でよ、人鳥女王〈ハーピークイーン〉!!」
そして出現する、大空を埋め尽くす程の人鳥達。
「お姉様!ミルフィー!人鳥さん達と後少しだけ、持ち堪えて下さいませですわ!」
「分かったわ、ラミス!何か考えがあるのね!!」
「分かりました、お姉様!私は、お姉様を信じます!」
ラミスを信じ、その想いに答えるリンとミルフィー。
「人鳥さん、二人を頼みましたわ!」
「ピイィィィィ!!」
ラミス姫は姉妹達ににっこりと微笑み掛け、そして勝利を目指し駆け出して行った。




