第307話 「後、一手が足りませんわ」
「ブモォォ!!」
──ガキィン!!
二体の牛鬼王が、二人の姫に襲いかかる。
「ぐっ!?」
強烈な一撃を喰らい、激しく吹き飛ばされるラミスとリン。
圧倒する二体の"王の名を持つ獣"の前に、ラミス姫達には何一つ為す術が残されていなかった。
当然ではあるがラミス姫達には、まだ二体の牛鬼王に対抗する手段を何も講じれていないのが現状である。
まだ二体の牛鬼王に自分達の実力では勝てないのだと、ラミス姫は痛い程理解していた。
……後一手、足りないのだと。
しかも今回は更に、援軍である人鳥達も居ないのである。せめて人鳥達が居れば、何とか道を切り開く事が出来たかも知れないのだが……。
「ブモォォ!!」
強烈な一撃が、姉リンに襲いかかる。
──ドゴォ!!
「……ぐうっ!?」
残念ながら二体の牛鬼王達が、フォーゲル王子を生き返らせる隙を与えてはくれなかった。
「くっ!?……ここまでなの?」
二体の牛鬼王の強烈な一撃を喰らい、既に満身創痍のラミスとリン。……頼みの綱である姉リンは、既に立ち上がる力さえ失っていた。
「せっかく謎が解けましたのに……。どうやら今回は、ここまでの様ですわね。」
苦痛に顔を歪めながら必死に立ち上がるラミス姫だが、この絶望的状況を覆す策は何一つ見当たらなかった。
人鳥がいない今回は、布陣が悪過ぎるのである。……打開策が無ければ、次回に賭けるしか無い。
次回は必ず勝てると信じ、未来に希望を託すラミス姫。
──そしてラミス姫は、その美しい瞳をそっと閉じた。
「お姉様ー!!」
突如ラミス姫の耳にミルフィーの声が聞こえ、二人の体を暖かな青色の光が包み込む。
──ぱあっ。
神々の力"治癒の力"が、ラミスとリンの体を癒して行く。
「ミルフィー!危険ですわ、早く"守護の力"の中へ───。」
死ぬのは自分だけで構わない、そうミルフィーの身を案じて叫ぶラミス。
「平気ですわ、お姉様。私には、この力がありますから。」
天へと羽ばたき、大空に舞い上がる"青龍の巫女"ミルフィー。
──カッ!
そして青龍の杖が光輝き、強い光を放つ。
「不浄なる者よ。浄化の光にて塵となり、この世から消え去るのです!滅しなさい、"浄化の力"!!」
──バシュン!
凄まじい速さの閃光が走り、辺り一帯に激しい爆風が巻き起こる。
「ブモォ!?」
「ブモォ、ブモォォオ!?」
浄化の光を喰らい、悲痛な叫びを上げる二体の牛鬼王。
「かなり効いてますわ!流石、ミルフィーですわ!」
覚醒した"青龍の巫女"の力により、ラミス姫達の活路は開かれた。
この隙にフォーゲル王子を生き返らせ、人鳥達を呼び出す事が出来れば、二体の牛鬼王に勝てる可能性があるかも知れない。
「何とかなるかも知れないわね……。ラミス、いける?」
「勿論ですわ、お姉様。ラミスは何時でもいけますわ!」
この闘いに一筋の光明が差し、起死回生の活路が開かれた。そして、ラミス姫達の反撃が……。
──今始まる。
「さあ、反撃開始と参りますわよ!」




