第305話 「とても迷う所ですわ」
「皆、落ち着いて良く聞いて。確かに犯人はフォーゲル王子なのだけれど……。全ては、この呪いのクリスタルの所為なの。」
そしてナコッタ姫は膝を突き、泣き崩れるフォーゲル王子に優しい声で話し掛けた。
「だから……。貴方は悪くないのよ。フォーゲル王子。」
「……呪いのクリスタル!?」
呪われたクリスタルの存在を知り、驚くラミス姫達。
「そう、これは本当は"黄色"のクリスタルなのよ。ある事が切っ掛けで、色が"黒色"へと変化してしまっていたの。」
「"黄色"のクリスタル!?では、そのクリスタルを砕けば、もう手強い牛さん達は出てこないのですか?お姉様!」
「……ええ、その通りよ。」
どうやら今回は、本当に解決の模様である。
そして"黒色"のクリスタルさえ砕いてしまえば、古の怪物牛鬼達が現れず、無駄な戦闘をしなくて済むのである。
「……それなら、一安心ですわね。」
神々の力"鑑定の力"で全てが解決し、安堵の声を漏らすラミス姫達。
「それと、もう一つ。落ち着いて聞いて欲しいのだけど……。ヘルニア帝国の王宮であった毒殺未遂事件。……あれも全て、この呪いのクリスタルが原因なの。」
「えっ……。」
「何だって!?」
衝撃の事実を知り、驚きの声を上げるフォーゲル王子とアベル王子。
フォーゲル王子は呪いのクリスタルの影響により、自分の意思とは関係無く兄弟達に毒を盛っていたのである。
……アベルにも、そして自分自身にも毒を盛っていたフォーゲル。
その事実を知り、フォーゲルは涙を流しながらアベルに謝罪をした。
「許してくれ、アベル。僕は本当に、何も知らなかったんだ……。」
自分の意思と、無関係ではあるものの……。大切な友であり、また弟でもあるアベル王子に毒を盛っていた事を知り、自責の念に苛まされるフォーゲル王子。
「いいんだ、フォーゲル。君が悪い訳じゃない。」
泣き崩れる兄に、アベルは優しく手を差し伸べた。
美しい兄弟愛と、涙ぐましい友情に……。一同は、その光景を微笑ましそうに見つめていた。
「お姉様、お姉様……。・△・」っ
……ぷるぷるぷる。
「あら、どうしたの?ラミス。」
ぷるぷると小刻み震える妹に、不思議そうな表情で尋ねる姉ナコッタ。
「ここは、やはりばちこーんするべき所なのでしょうか?お姉様。」
……ぷるぷるぷる。
「はーい、ラミスちゃーん。もう少し、我慢しましょうねー。」
……にこにこ。
無事、事件は解決したものの……。難しい話が理解出来ず、やはり何処か暴れたり無いラミス姫様であった。




