第292話 「何だか、とても久し振りか気がしますわ」
『42634回目』
「何だか、久し振りの牢の中ですわねぇ……。」
牛鬼王に敗れ、再び薄暗い牢の中へと戻されるラミス姫様。……だがラミス姫の瞳には、一切の曇りなど有りはしなかった。
それはラミス姫が、次為すすべき事が決まっているからである。
確かに"王の名を持つ獣"二体の牛鬼王は、かなりの強敵なのかも知れない。……しかしその恐ろしい怪物達を呼び出される前に、犯人を見つけ出して捕まえれば良いのである。
──そして、その犯人の名はアベル。
フォーゲル王子の側近であり、ツインデール公国に侵攻を目論むヘルニア帝国の第八王子である。
「ふっふっふ……。見てなさいですわぁ、アベル王子!」
ツインデール公国の人々を恐ろしい怪物の姿へと変えた、憎きアベル王子を断じて許す訳にはいかない。
「たっぷりと、お仕置きして差し上げますわぁ……。」
何度も死に戻り、未来を知る事の出来るラミス姫には、どの様な企みも通用しないのである。
──そう、犯人は既に判っているのだから。
「すぐに、ゴンして差し上げますわぁ……。」
頬に手を添えながら、不適な笑みを浮かべるラミス姫様。
……そう、アベル王子がクリスタルから怪物達を呼び出す前に、殴ってポイすれば良いだけの話である。
「出会ってすぐ、ゴンすれば全て解決しますわー!!」
……おほほほほほほほほほ。
楽しそうに笑いながら、外へと駆け出していくラミス姫様であった。
──ズガシャーン!!
戦場に修羅を出現させ、次々とヘルニア兵達を蹴散らしていく豪快極まりないラミス姫様。
そして勢い余って、豚王にも殴りに行ってしまうラミス姫だった。
「……あら?」
豚王に烈火の如く攻撃を浴びせる、ラミス姫様だが……。その途中でラミスは、ある違和感に気が付く。
「プギィ、プギィィィィィィ……。」
何故か、豚王が痛みを感じているのである。
「あらー?」
いや確かにラミスの拳は何時もの様に砕け、豚王の傷は大した事が無いのかも知れない。
……しかしラミスは今まで一度も、豚王の硬い外皮を貫けなかったのである。
「あらあらあらあら?」
頬に手を添えながら不思議そうに……。いや、楽しそうに首を傾げるラミス姫様。
「あらー。」
そしてラミス姫は楽しそうに笑いながら、全力で豚王に殴りかかって行った。
──ズガガガガガガガガガッ!!
「おほほほほほほほほほほほ!!」
ラミス姫の放つ怒涛の連撃が、豚王に流星の如く降り注ぐ。
「いけますわー!!」
つい楽しくて夢中になって豚さんを、お殴りに遊ばせるラミス姫様。
「楽しいですわー!!」
初めて豚王に攻撃が通り、とても楽しそうなラミス姫様だった。




