第291話 「人鳥〈ハーピー〉さんを全力で応援しますわ」
「いっけーっ、ですわー!!」
大活躍を見せる人鳥女王〈ハーピークイーン〉に、きゃっきゃっと飛び上がって喜びながら応援するラミス姫様。
この大量の人鳥達……。大空を征し、遥か上空の安全圏からの攻撃。
──そして人鳥女王の放つ、極大雷撃魔法。
「やって御仕舞いなさいですわー!!」
人鳥達の活躍振りに、この戦いの勝利を確信するラミス姫様だが───。
「ブモォォォォォォォォー!!」
牛鬼王は、全くの無傷だった。
「……あら?」
……いや、ある程度の攻撃は喰らっている。
業火の炎で身を焼かれた牛鬼王は何とか雷撃魔法を耐え凌ぎ、激しい怒りを露にして人鳥女王を睨み付けていた。
「ブモォ!ブモォォオオオオオオオ!!」
そして受けた火傷は瞬時に回復し、人鳥女王を打つべく力を溜める牛鬼王。
「ブモォォォォオオオ!!」
牛鬼王は力を溜めて振りかぶり、その凄まじい筋肉を更に膨張させていた。
「いやいや……。そんな上空までは、流石に届きませんわよね?」
流石に大丈夫だろうと考えるラミス姫だが、相手は"王の名を持つ獣"なのだ。
人鳥女王の放つ雷撃魔法は、二体の牛鬼王も十分通用している。
……ここは安全圏から至急、人鳥女王に雷撃魔法を連発して貰った方が良さそうである。
「人鳥女王さん!もう一度雷撃魔法を、お願い致しますわ!!」
「ピイィィィィィィィィー!!」
ラミス姫の声と共に人鳥女王は更に上空へと舞い上がり、地上の牛鬼王目掛けて極大雷撃魔法を撃ち込んだ。
対する"王の名を持つ獣"牛鬼王は激しい咆哮を上げ、天空に飛び立つ人鳥女王目掛けて凄まじい斬撃を放つ。
──ザシュ!!
「ピイィィィィィィィィー!?」
……それは、正に一瞬だった。
牛鬼王の放った凄まじい斬撃は、天から降り注ぐ雷ごと斬り裂き、遥か上空を舞う人鳥女王の体を真っ二つに斬り裂いていた。
「は……?」
ズシンと音を立て、大地へと沈む"王の名を持つ獣"人鳥女王〈ハーピークイーン〉。
「ブモォォオオオオオオオ!!」
そしてニヤリと薄気味悪い笑みを浮かべながら、勝利の雄叫びを上げる古の怪物牛鬼王〈ミノタウルスキング〉。
その圧倒的強さを誇る二体の牛鬼王に、ラミスは絶望に体を震わせる事しか出来なかった。
──ガキィン!
「くっ、この……。」
何とか必死に抗い、牛鬼王に斬りかかる姉リンだが───。
「ブモォォォォォォォォ!!」
──ドゴォ!
軽々と防がれ、リンは弾き飛ばされてしまう。
「が、がはっ……。」
圧倒的強さを誇る二体の牛鬼王の前に、ラミス達には何一つ為す術が無かった。
……そしてラミス姫は再び、薄暗い牢の中へと戻される事となった。




