第288話 「返して欲しいですわ」
「ブモオォォォォォォォ!!」
青牛鬼王の刃がラミス姫に高速で襲いかかる。
「えっ……!?」
しかしラミス姫の目にある物が映り、ラミスは身動きが取れない程の恐怖に陥れられていた。
ラミス姫が恐怖に陥った理由……。それは二体の怪物、牛鬼王が持つ武器が目に入ったからである。
ラミス姫は二体の怪物牛鬼王が持つ武器に驚愕し、そして絶望に駆られていた。
その二体の怪物牛鬼王が持つ武器は斧では無く、ラミス姫が良く知っている大剣を振りかざしていたのである。
「バラン……将軍……。」
ラミス姫は驚き、呼吸をする事さえ忘れていた。
その二体の怪物牛鬼王が持つ武器は間違いなく、ツインデール公国が誇る二人の英雄、バラン将軍とクリストフ将軍の剣だったのだから───。
「そ、そんな……。バラン将軍とクリストフ将軍が!?」
ツインデール公国が誇る二人の英雄が、恐ろしい怪物の姿へと変えられてしまった事を知り、絶望に打ち拉がれるラミス姫。
赤牛鬼王がバラン将軍の大剣を、青牛鬼王がクリストフ将軍の剣を携えていた。
……残念ながら、二人が牛鬼王に姿を変えられているのは間違い無いだろう。
驚きのあまり頭が真っ白になったラミス姫は、振り下ろされる青牛鬼王の刃に反応する事さえ忘れていた。
……そして無情にも、その刃はラミス姫に振り下ろされる。
──ガキィン!
辺り一面に、鈍い金属音が鳴り響く。
「何してるの、ラミス!死にたいの!?」
間一髪の所で青牛鬼王の刃を防いだのは───。
「……お姉様?ご無事でしたのね、お姉様!!」
それは四姉妹の長女、"白虎の巫女"リンの姿だった。
──頼れるリンお姉ちゃん、見参!
「私はねー。それより、アンタの方が無事じゃ無さそうだけどね。早くミルフィーの力で、回復して貰いなさい。」
──!?
「ミルフィー!?ミルフィーも無事なのですか?お姉様!!」
「無事よー。"守護の力"で隠れていて今は見えないけど、二人共その辺に居るわ。」
二人が無事である事に、安堵するラミス。そして姉と妹を守ってくれた神々の力、"守護の力"に感謝するラミス姫だった。
「お姉様ー!!」
姉の名を呼びながら、必死に駆け寄ってくるミルフィー。
「ミルフィー。早速で悪いのですけれど神々の力で回復を、お願いしますわ。」
「はい、お姉様!」
──パアッ!
"青龍の巫女"ミルフィーの手が光輝き、神々の力"治癒の力"で全回復するラミス姫。
これで準備は整った。拳と剣を構えながら、古の怪物二体の前に悠然と佇む二人の姫君。
「ブモオオォォォォォォ!!」
古の時代より、呪われしクリスタルによって現世に黄泉返った二体の"王の名を持つ獣"。
──赤牛鬼王〈レッドミノタウルスキング〉。
──青牛鬼王〈ブルーミノタウルスキング〉。
対するは───。
──プリンセス神拳伝承者、ツインデール公国第三公女"朱雀の巫女"拳王ラミス。
──四神の力を覚醒させ、真の力を解放した。ツインデール公国第一公女"白虎の巫女"剣神リン。
「さてと……。お姉様、共闘〈タッグマッチ〉と参りますわ。準備はよろしくて?」
「勿論よ、ラミス。いつでも行けるわ!」
巫女達と"王の名を持つ獣"との新たな闘いが、今始まる───。




