第285話 「再行動も可能ですわ」
「黄泉返りなさいませ、フォーゲル王子!!」
──キラキラキラ綺羅♪
「わぁ……。」
ラミス姫の美しく華麗な舞いに感嘆の声を上げ、うっとりとした表情を浮かべるメイドのロクサーヌさん。
長年に渡り躍り続け、洗練されたラミス姫の舞は───。大陸一、いや世界一と言っても過言ではない程、美の境地に達していた。
そしてラミス姫の美しい舞と共に、死者の国から舞い戻るフォーゲル王子。
そう、王子を殺害した犯人を手っ取り早く探し出す方法───。
それはフォーゲル王子を生き返らせ、直接本人に聞いて確かめれば良いだけの話である。
そこには名探偵も、名推理も必要など無い。……流石は神々の力"蘇生の力"である。
「あ、あれ?僕は一体……。」
神々の力"蘇生の力"にて息を吹き返し、目を覚ますフォーゲル王子。
「気が付きましたわね、一体何があったのです?フォーゲル王子。」
「ラミス姫!?……何故、ここに?」
生き返った直後の所為か、フォーゲル王子は少し混乱し取り乱していた。
「貴方は、ここで何者かに殺害されたのです。それを私が神々の力によって、甦らせたのですわ。それで……。フォーゲル王子、犯人の顔は憶えていらっしゃいます?」
「……えっ!?さっ、殺害!?神々の力だって!?」
ラミスは落ち着いて、ゆっくりと今までの経緯や出来事等をフォーゲル王子に説明した。
神々の力の事。フォーゲル王子が腹部をナイフで刺され、何者かに殺害されていた事……。フォーゲル王子を落ち着かせ、ラミス姫は分かりやすく丁寧に説明をしていった。
「…………。」
ラミス姫の話に驚きはしたものの……。すぐに冷静さを取り戻し、フォーゲル王子は先程部屋で起こった出来事を話し始めた。
「悪いけど、あまり良く憶えてはいないんだ。僕の部屋に、側近のアベルが入って来た所までは憶えているんだけど……。それ以降の記憶が、何故か綺麗に抜けているんだ。」
死ぬ直前の記憶が失われている事は、今までにも幾つかあった事である。残念ながらフォーゲル王子は、当事の状況を良く憶えてはいない様だ。
「……アベル?」
犯人が分からず、がっかりした表情を浮かべるラミス姫だが……。フォーゲル王子は何かを思い出した様に、側近のアベルの名を口にした。
「まさか……。」
何かに気が付くフォーゲル王子。
「いや、しかし……。そんな筈は───。」
フォーゲル王子は何やらブツブツと呟きながら、必死に考えを巡らせていた。……王子には、何か心当たりがありそうである。
「話して頂けますかしら?……フォーゲル王子。」
真剣な表情で見つめるラミス姫の問いに、フォーゲル王子は可能性を一つずつ潰して行った末、辿り着いた答えを思い切って話す事にした。
「すまない……。君達には関係の無い話だと思って、そこだけ話していなかったんだ。実は居るんだ……。僕の率いる二万の軍の中に、クリスタルから古の怪物達を呼び寄せる事が出来る王子が一人───。」
「えっ……!?」
フォーゲル王子の言葉に、驚きの表情を見せるラミス姫とメイドのロクサーヌ。
「そう、それはヘルニア帝国の第八王子……。名前は───。」




