第284話 「ゴンしてすっきりしますわ」
──したたたたたたたたっ!
全力で疾走するラミス姫様。……そしてそれを涙目で追い掛ける、ラミス専属メイドのロクサーヌさん。
──ドカッ!!
フォーゲル王子の部屋の扉を手で開けるのではなく、お行儀良く優雅に蹴破るラミス姫様。
「おほほほほほほほ……。もう逃げられませんわよ?覚悟なさいませ、フォーゲル王子!私を怒らせた事を、後悔させてあげますわ!!」
──どやっ!!
「……あら?」
下顎に手を添え、どやりながら颯爽と登場するラミス姫様だが……。
その予想外の光景を目の当たりにし、ラミス姫は石の様に固まっていた。その円らなお目々は点になり、可愛いお口をあんぐりと開け呆然と立ち尽くすラミス姫様。
「まっ、待って下さい姫様ー!はぁー、やっと追い付きましたぁ……。って、どうなされたんですか?姫様。」
「……あれですわ。」
不思議な顔をするロクサーヌに伝える為、ラミス姫はそれに向かって指を指した。
「あれ?……何ですか?あれって、ギャアアアアアアア!!?」
それが目に入り、またしても飛び上がる程驚くロクサーヌさん。
メイドのロクサーヌが怯え、ラミス姫が固まってしまう程の物……。
それは腹部を刺され、既に冷たくなっているフォーゲル王子の姿だった。
「あらー?」
この事件の首謀者であるフォーゲル王子を思い切り殴り飛ばし、スカッとする予定だったのだが……。
張本人であるフォーゲル王子が既に亡くなっている事に、ガッカリと肩を落とすラミス姫様。
──つんつん、つんつん。
とりあえず、つんつんしてみるラミス姫様。
神妙な顔付きで、つんつんして生死を確認するラミス姫だが……。これは一体、どういう事なのだろうか?
「死んで……ますわね、コレ。」
──つんつん、つんつん。
ラミスは、この事件の首謀者をフォーゲル王子だと思っていた。……しかし、その首謀者と思われるフォーゲル王子が既に亡くなっていたのである。
フォーゲル王子が犯人で無いのなら……。王子が裏切っておらず、王子の話が真実であるのなら、真犯人は他に居ると言う事になる。
王子の話では、古の怪物達の中に牛鬼〈ミノタウルス〉は存在しなかった。
そう、所在の分からない"黄色のクリスタル"を除いては───。
つまり"黄色のクリスタル"を持つ三人の王子の一人がツインデール城に侵入し、フォーゲル王子を殺害したと言う事なのだ。
「ひ、ひえぇぇぇ……。」
怯えるメイドのロクサーヌを横目に、ラミスは真犯人が誰であるかを考えていた。
いやそれよりもフォーゲル王子を殺害した犯人を、手っ取り早く探し出す方法が一つだけある。
それは───。




