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思い出は増える一方です

「なにはともあれ、祭りが無事に開けたこと。そしてみんな無事であること。これが達成できたのが何よりの喜びだ。今日は思う存分楽しんでくれ――乾杯っ!!」


海瞳さんの音頭で花見が始まった。急いで料理に手を付ける人、談笑している人、辺りを探索している人、いろんな人がいるけどぼくは……。


「――えーっ! 真弓ちゃんって自分で小説を書いたりもするのー! すごいね!」


「そんなことないです……。私、文章を書くの下手ですし……」


「自分が好きでやってることなんだからもっと胸を張りなさいな。誰かと比べる必要なんてないわ。自分が満足できるものかどうか、それが大事なのよ」


「みみちゃんの言う通りだよ!」」


「みっ……みみちゃん!?」


花梨と真弓さんが上手く話せるのか少し不安だったけど、花梨に加えて安居院さんがいてくれるからか彼女らの話は大いに弾んでいた。安居院さんは少し我がままなお嬢様ってイメージがあったけど、人の気持ちをくみ取れる優しい子なんだって思った。ま、飲み物を山本先輩に()がせているからわがままなのはまちがいじゃないんだけどね。


「ぐっ、ぐるしいっ……」


「もう……食べれないわ」


勢いよく料理を食べていた駿英と姉だけど、さすがに量が多いのか横になって休んでた。この二人ほんとよく食べるな……。


「それで、駿英のまわりには恋愛的な噂はないワケ?」


「おれっスか? いやー、ないっス。今はサッカー一筋なんで」


「性格までカッコいいじゃない! あんたゼッタイに将来女を泣かすわね」


「そんなこと言わないでくださいよー。そういうかえでさんは良い人いないんスか?」


「……いたらここには来てないわい!!」


ああ…勢いよく起き上がった姉が駿英のこめかみを拳でぐりぐりしてる……。駿英はお腹がいっぱいで逃げることが出来ないみたいだ。


「アイツ……ほんと、楽しそうだな」


「楓が楽しそうじゃなかったときあるかい? 練習がしんどい陸上部で活動してるときでも彼女は楽しんでいるように見えるよ」


レジャーシートの端っこで食いしん坊たちの騒ぎを達観している様子の山本先輩と海瞳さん。ふたりとも、あいつらを(さかな)に飲み物飲んでるよ……恐ろしい。


「ツバキ、お前もこっちに来いよ。あとユウリ、お前もだ」


「誰があなたの言葉なん――」


「ゆうり、こっちで一緒に話そう」


「うん! 今行く!!」


「お前なぁ……」


 こうして、ぼくたちの花見はさらに盛り上がっていった。七月に入ってから怪文書を見つけて、図書館に閉じ込められて、山の中で追いかけっこをして、祭りで盗みの実行犯を捕まえて……濃い時間が終わっていく。でもそれはまた、新しい時間の始まりでもある。まだわかりきってないことはいくつもある。全部が解明されるまでにどれくらい経つのか、今のぼくらにはわからない。でもぼくはみんなと出会ってからいろんなことを知った、聞いた、わかった、体験した。この経験はきっとこれからの人生で役に立つことになるだろう。とりあえずは明日からは夏休みまで少しだけ学校がある。そこで返されるテストで……一位になってるといいな!!

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