小豆がないから
甘もろこし
ベースはコンポタージュ。
ただし、大量の砂糖により甘くなり半溶けの餅がねっとりしている。
お汁粉のトウモロコシ版である。
「…こらうまいのぅ」
「餅喉に詰まらないようにしっかり噛んでから飲み込んでおくれ?」
身震いもせず雪に埋もれていた爺は割と元気そうだ。
「…俺の食らった雪玉に石入ってたみたいなんだけど、雪投げってかなり気をつけないと危険なんだな」
深く窪んだ鎧をマジマジと眺める騎士風の男達。
「…雪ってーか氷玉でしたけどね」
「鎧着てなかったら死んでませんかソレ」
「氷系列の魔法でもソコまでは凹みませんよ。次は盾役がいたらどうですかね」
「そもそも、あれを投げてるお嬢さんがおかしいんだ。二メートルの壁をぶち抜いて隠れたヤツに当たるんだから」
隊長さんとやらは、半眼でシャドを指差している。
「「「確かに…」」」
指差された当人は『甘もろこし』の配給に忙しいらしく全く気がついていないが、その行動と容姿も相まってスラムに配給をするシスターに見えなくもない。
それにしても盾役か、昔は肉壁のお陰でかなり防御力ありましたが今の私はどうなんでしょうか?
軽くなりすぎて不安です。
「リゼさんそっち持って~」
シャドが巨大な寸胴の片方を持って呼んでいる。
なるほど、重たいんですね?
「今行きます。なんですか軽いじゃないですか」
「…いや、軽くないよ」
シャドがポカ~ンと見ておりますが、昔愛用していた鉄扉のような盾の方がまだ重いくらいです。
「軽く70キロはあるはずだし…」
「シャドも男なら、コレくらい一人で運んでください」
「無理無理無理無理?!」
パタパタと手を振るシャドから鍋を受け取り持ち上げると周りから「ぁおっ!?」とか変な声が上がりました。
シャドが「リゼさんも大概ですね」なんて言いましたが、私は壁や天井を走ったりなんかできませんよ?




