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身代わり女装がバレたのに「男同士でもいい」と言われました〜絶対無理なので全力拒絶中  作者: 水波瀬 凪


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【3話目】打ち明ける前にバレたのに、まだ好きとか言ってて大丈夫なのか?

どういう風に打ち明ければいいか、どういう切り出し方をすればいいか、なんどもシミュレーションしたはずなのに、頭の中は真っ白。


「ずっと言わなきゃって思ってたけど、言いにくいことで」


「俺だってまださくらちゃんにいえてねーことあるよ、秘密くらいある。でもそれって絶対に言わなきゃいけないこと?」


「いけないと思う」


海斗は俺の体を離したけど、まだ両方の手で俺の両腕をつかんでる。


まっすぐ見据えられて目が合わせられない。


「俺さ、さくらちゃんの笑顔好きだし、最初はおとなしい子かって思ってたけど実はすげー明るいし、それに守ってやんなきゃって思えたけど、実は俺のほうが引っ張られるときとかあるし、女の子なのに頼もしいなって思ったり。そういうの全部いいなって思えてさ、だから秘密がどんなんかわかんねーけど、聞いたって気持ちは変わんねーよ、言わなきゃなんなくて言わなきゃ答えられないなら、言ってくれて全然OK」


海斗は言いたいことを一気に言ったあと、受け止める自信あるから! なんて言いやがった。


「無理、と思う。言ったら海斗、怒る。きっと、つきあおうなんて絶対思えなくなる」


こわくなってきた。


海斗が俺のことすげー好きらしい分、言ってしまったときの反応がこわい。


そしてきっと傷つけるって思うと。


けどもしこのままつづけても、関係は進めない。


仮に進んでしまっても、裸にされたらすぐばれる。


いや、それ以前にキスとかなったとき、俺、できるか?


海斗のことは好きだけど、恋じゃない。


「それはさくらちゃんがそう思い込んでるだけだ。さくらちゃんは俺がそんなに心のせまい男だと思ってんのか?」


そうは思わないけど、俺の秘密はやっぱり受け止めきれねーだろ?


「もしかして、男いるのか?」


「え」


そうきたか、けどその程度のことじゃないいんだよ。


「そうなのか? だから俺とは友達でいたいのかよ」


がくがくと体を揺さぶられる。


「ひでーよ、こんな、俺、好きにさせといて、ひどいじゃん」


男がいるってことにしてもいいんじゃないかと思ってきた。


「会わせろよ!」


「え」


「男いるなら、会わせろよ、今すぐここに呼べよ」


そりゃあ無理だ。そんなやついないんだから。


「呼べない、男なんかいないもん」


正直に言うしかない、嘘はすぐばれる。


「ほんとにいないのか?」


「男いたら土日に海斗と遊べるわけねーじゃん」


海斗はホッとしたのか、笑みを漏らす


ホッとしてる場合じゃねーのに。


「じゃあ、整形とか?」


「してない」


「そっか、じゃあ実はまだ中学生とか?」


「違う」


「じゃあなんだろ、あ、もしかして身体的な悩みか?」


「そう、かも」


体の一部の悩みっていうより、体そのものが悩み?


いやいや、特に悩んでないんだけどな。


「あの、違ってたらごめん」


何を言い出すんだとどきどきした


「俺、気にしねーよ、別に。小さくても俺、別に」


海斗がなんのことを言ってるのか、すぐに視線でわかった


小さい以前の問題なんだけどな


「胸、なくても平気?」


海斗と同じ。ぺったんこだ。


「いいよ、そんなの」


胸はなくていいかもしれないけど、下についてちゃまずいよな?


「でもやっぱり無理、ごめん海斗」


俺は逃げるように部屋に入った。


本当のことはやっぱり言えない。


早く言ってさよならすべきなのに、曖昧にして逃げるしかできなかった。



めちゃくちゃ胸が痛かった。


好きじゃない、さよならっていう経験はあるし、女の子を泣かせたこともあったけど、胸なんか痛くなかった。


逆に、うぜって思ったりしてた。


海斗との場合って、好きとか嫌いという以前の問題で、やっぱり隠し事してだましてるっていうのが心痛む原因だよなって思う。


詐欺だろ、これ。


っていうか、なんで男だって気づかないんだ?


そんなに俺って女っぽい?


んなわけねーか。


女っぽいのは、顔だけだ。


女っぽくねーとこに、海斗は惹かれてるみたいだもんな。


女じゃねーってわかれば、別の意味で引かれる。


楽しかったんだけど、もう会えねーな。


都合よすぎだけど、男友達として、遊べたら良かった。


釣りとか、野球観戦とか、キャッチボールもやったな。


ショッピングセンターで見るのは、服やアクセじゃなくて、本屋で立ち読みとかゲーセン入り浸り。


女の子相手じゃだめなデートコースなんだろうけど、俺だから楽しめた。





月曜の放課後、下校しようとして俺はフリーズ。


校門のところに、海斗の姿を見つけたからだ。


お互い、会うのは週末だけで、制服姿を見るのも、見せるのも初めてだった。


俺は、男子用の制服だ。


当たり前なんだけど、私服はごまかせても、これはもうごまかせねーな。


裏門とかないから、俺は顔を伏せつつ、人波に紛れるように、こそこそと海斗の横を通り過ぎようとした。


顔さえ見られなきゃ、見つかんねーだろって思ってた。


「さくらちゃん!」


あ、ばれた。


でも俺は知らんぷりして、逃げようとしたが、後ろから海斗に腕をつかまれた。


「こっち向けよ」


声がこわい、怒ってる。


俺は、おそるおそる振り向いた。


まじまじと上から下まで、顔から、体から、海斗に見られる。


「話がある、ついてこい」


腕をつかまれ、引っ張って行かれる。


有無を言わさないって感じで、俺はついていくしかなかった。


つれてこられたのは、海斗のうちだった。


家にはお母さんがいて、海斗に「ともだち」って紹介されて、俺も頭をさげた。


海斗の部屋に入れられて、突き飛ばすように、体を押された。


危うく倒れそうになったが、どうにか踏ん張る。


海斗はじっと俺を見てる。


やっぱり、怒ってるみたいだ。


「ほんとに、男なんだ?」


どこでバレたんだろって、そうだよな、制服。


「俺、納得いかなくて、さくらちゃんの秘密、ほかにあるのかって悩んでさ、和泉ちゃん通して珠里ちゃんに聞いた。おまえが男だって」


信じられなかったんだけど、と海斗は言ってから


「さくらちゃん、いや陸、俺にいえなくて悩んだんだろ?」


「ごめん、海斗」


自分の口からじゃなく、ほかからバレて、めちゃくちゃカッコ悪い。


「いま、男だってバレて、陸、どう? まだ俺とつきあえない?」


秘密もなくなったんだし、いいだろ? って海斗は言うけど、それって逆じゃね?


「いや、無理だろつきあえねーよ、俺、男だってば」


「性別なんか、関係ないね」


「か、関係あるだろ! なに言ってんだ」


まさか男とわかっても、付き合いたいだなんて、言われると思ってなかった。


まったくもって、計算外というか、予想を大きく上回って一回転。


「俺のこと、だましてたんだし、悪いと思ってんだろ?」


「そりゃ思ってたよ」


「じゃあ責任取ってつきあえよ」


「脅迫すんの?」


「こんなに好きにさせといて、男だからってくらいの理由でさよならできるかよっ」


男だからってくらいって、そんなもん?


性別にこだわる俺が変?


混乱してる俺を、海斗が急に抱きしめてきた。


「陸、好きだ、好きなんだ!」


「うわ、海斗、あの、頭冷やせよ、冷静になれっ」


海斗の腕のなかで、じたばたもがく。


油断も隙もないって、こういうことだよな。



「陸こそ、俺のこと嫌いじゃないって言ってくれたじゃん、好きってことだろ?」


ぐいっと両手で顔をはさまれ、上を向かせられた。


「ちょ、海斗、おまえなに考えて…」


暴れたんだけど、俺の口は海斗にふさがれちゃった。


「は、バカやろ! 離せよ!」


どんっと俺は海斗の体を突き飛ばした。


俺も過去、女の子に今みたいに無理やりキスして泣かれたことがあった。


あのときの女の子の気持ち、いまわかった。


「こわいよ、ヤバいよ海斗」


俺、泣きそう。


しかも、体ふるえる。


「悪い、陸、つい…暴走した」


海斗が俺の目線にまで下がって、顔を覗き込む。


そして、頭をなでられた。


は? なんだ? それ、完璧に女扱いだろ?


「急に変なことばっかすんなよ!」


バシッと海斗の頬を叩いた。


海斗は、叩かれた頬に手を当て、怒るかと思ったのになぜか、へらっと笑った。


なんだこいつ、気持ち悪いな、マゾじゃねーだろーな。


ちょと後ずさった。




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