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身代わり女装がバレたのに「男同士でもいい」と言われました〜絶対無理なので全力拒絶中  作者: 水波瀬 凪


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16/21

【16話目】夜になって花火をした、非日常の夜がヤバかった

みんながいるせいもあるのかな。


いつもみたいに、部屋に海斗とふたりの時間があれば、ちょっとくらいわだかまるようなことがあっても、何となく元通りになるんだ。


ちょっとだけ、心の距離を感じたまま、夜はみんなで花火をして遊んだんだけど、やっぱり海斗はどこかさみしそう。


「ね、陸くん、線香花火しよう」


美海ちゃんが線香花火を手渡してきた。


「あ、うん、いいよ」


あれ、さっきはそんなにすぐ懐かないって言ったけど、案外、距離近くね?


線香花火に火をつけて、目の前でぱちぱちと火花が飛び散るのを眺める。


「線香花火って、最後の一瞬、ぽとって落ちるでしょ? これ、人間の一生を表してるんだって、本に書いてあった」


だからなんか、切なくて寂しいのね、だって。


「そんなこと知ってるの、すごいね」


「うん、最後ギリギリまで、耐えるんだよ、丸い赤いの」


そんな風に語ってる美海の横顔は、しっかり女の子だなって感じた。


こんなこと、俺だったら気づきもしない。


線香花火なんてさ、地味でつまんねーってくらいしか、思ったことない。


手も、線香の匂いになるしな。


こういうとこ、海斗が見たらまたなんか言うのかも。


って思って海斗のほうを見た。


あれ、さっきまでそこにいたのに、どこ行った?


花火やってんの、俺と美海と美海の両親だけだった。


海斗も珠里も翠もいなーい。


なんだよみんな、自由行動?






花火が終わってログハウスに戻った。


海斗は、寝てた。


なんだ、疲れちゃったのかな、それとも俺が遊んでやれなくて、つまんなかったのかもって思って、ごめん。


珠里も翠も、いつもみたいにイヤホンで音楽、たぶん音楽だよな、聴いてる。


そんなんばっかり、ここに来てまで、いつもと変わんないことやって、楽しいのかなって思っちゃう。


キャンプに来てる意味ねーって思った。


もっとみんな楽しんでわいわいやるのかって思ってたから、なんとなく期待外れ。



そんなふうだから、必然的に美海としゃべってしまうじゃん。


「陸くんと話すの、楽しいよ」


ほら、だんだん本気で懐いてきたぞ?


寝てていいのか、海斗。


「トランプ持ってきたから、やろ」


ババ抜き、二人でやっても面白くないね。


それが終わったら、スマホゲームさせられた。


「ね、陸くんもこれインストールしてよ」


「恋庭」ってやつ、させられた。


これね、ゲームでつきあうやつなんだよ。


「え、そんなゲーム?」


「ちゃんと毎日ログインしてね」


強力して庭造りするらしいけど、えっとなんかめんどくさそう。


無理に連れてこられたって言ってた美海が、もしかして一番楽しんでるんじゃないかって思った。


俺が優しくしてやってるからだろ、良かったな。





美海の両親を見ると、そこもふたりでお酒なんかのんびり飲んでて、美海のこと全然かまってねーんだよな。


非日常を大人の楽しみで満喫してるんだな。


お酒っておいしい?





ログハウスにはシャワーブースがついてて、シャワーもできる。


その後、交代でみんなシャワーして、俺は美海がシャワーで離れたすきに、海斗のところに行ってみた。


「海斗、大丈夫なのか」


まだ寝てる海斗をつんつんしてみる。


「大丈夫って、なんだよ、別にただ眠いだけだし」


相手してくんねー、つまんねー。


ってか、本当に眠いの?


ふてくされてるだけじゃね?


意味わかんね。


だからもう、ロフトの上にあがって、寝転がってスマホゲームしてた。


もう夜も遅いし、寝たっていい時間。


うとうとしてたら、隣にもぞもぞ、気配を感じて薄目を開けた。


「え、だれ?」


「や、見つかっちゃうから静かにして」


なんで! 美海が!


「なにしてんの、ここ俺の寝るとこ、ここで寝たいの?」


「違うの、まだ一緒にいたいの」


最近の中学生は、積極的だな、びっくり。


海斗いいのか、これ完全に懐かれたぞ。


親はなにしてんだ。


これ、監督不行き届き? だっけ、それじゃん。


一緒に来てる意味なくね?


「ちょっ…そんなとこ触ったら、わ、ダメだってば」


「わたしのも触っていいよ」


「いや、そういうことじゃなくて」


思ってたより、声が出てて、こっそりなんてできるわけなかった。


「おい、なにしてる?」


海斗のお父さんに、見つかってしまった。


こういう場合ってさ、美海から来たんだけど、やっぱり怒られるのって俺のほうだよな。



こんなときばっか、男って言われるのって、まじで腑に落ちない。




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