【14話目】ラブコメ映画で恋愛を学ぶけど、合ってるのかな
愛菜が観たいと言った映画は
「王道の青春ラブコメ」
とかいうジャンルのやつで、女の子の好きそうなシチュエーション? ての?
ああ、こういうのが、女の子がキュンキュンとするのかってのは勉強になった。
たまには女の子の好きそうなやつ、真面目に観てみるのも悪くなかったけど、あんなのが流行るならやっぱり俺なんかモテないし、海斗だって優しすぎて物足りねーってとこかも?
一応、ちゃんと寝ずに観たから、そのあとにカフェ入って映画の話したときにも上手いこと会話になったな。
「あんなふうな恋愛、憧れちゃいます」
愛菜が目をキラキラさせてる。
「そっか」
しか言えない。
あんな、ちょっと悪そうで、でも実は優しいとこもあって、ギリギリ顔は近づけるのに、キスとかしないんだ。
あれで、ギリギリなどきどき、キュンキュンってなるらしい。
いきなり、やったらだめだったことは、本気でわかったぞ。
やったら、嫌がられて気持ち悪がられるんだ。
「また、違う映画も見に行きたいな」
えー、またー?
と、ちょっと気が重い。
あのとき海斗と、また観に来ようって言ってたやつは、まだ公開されてた。
あの約束って、まだ果たされてねーんだけど?
海斗、覚えてんのかな?
それから野球も。
「──だよね!」
「え、ああ、そうだね」
海斗のこと考えてて、愛菜がなんて言ったのか聞き逃してたけど、適当に合わせた。
今朝出てくるとき海斗から
「夜は? 食べてくるのか?」
「そんな遅くならねーって、夜ご飯は作っといて海斗」
「そっか、何がいい?」
「うーん、ハンバーグ!」
そうなんだ、帰ったらハンバーグ。
ハンバーグをご褒美と思って、デート頑張ったんだ。
カフェで愛菜がいちごパフェ食ってるけど、俺カッコつけてブラックコーヒーなんか飲んでてさ、苦いんだけど……。
海斗といたときは
「砂糖いれる?」
聞いてくれたんだよな。
過去に愛菜と3日つきあって、そのことを
「俺、女とつきあったことあるんだ」
って言ってたんだけど、あれってさ、3日だったから続いた。
「キスしたことあるんだ」
ってのも、無理やり奪っただけだ。
3日以上となると、俺ちゃんとつきあってけるのかな?
だってさ、好きなこととか、好きな食べ物とか、全然合ってないんだよ?
彼女欲しいって思ってた。
そして愛菜はかわいいって思う。
その2つ、成立してんのに、なんか変。
なんのために、女の子とつきあうんだろ?
という、そもそも論。
つきあうって、幸せじゃなかったのかよ!
あ、そか。
まだ、イチャイチャしてねーからな!
それって、いつ?
いつならOK?
いつ、どこまでならやっていいんだろ?
「ヤバ、恋愛のことなんも知らねー」
帰ってから海斗に聞いたんだ。
「好きってなんだ?」
海斗は、しばらく考え込んでて、
「うーん? なんだって聞かれたらわかんないな、なんだろ?」
海斗も恋愛初心者なんだよな。
だって間違えて、男の俺のこと、好きとか言った。
翠だってそうだろ?
男しかだめだ、女の子に興味ないって言ってたのに、珠里とつきあった。
さっき観てきた映画によれば、好きって気持ちは、じわじわと気づくものらしい。
一緒にいたり、関わったりしてくうちに、自分の特別になるんだよな?
そか、それが「好き」なんだな。
あれ、そしたら俺、海斗が、好き?
「うわ! なんか、また間違える!」
たぶん、結論はこう。
まだ、愛菜と過ごす時間が足りてない!
一緒に図書館で勉強したらいいかな?
海斗のおかげで、期末の数学、74点取れたんだし、感謝の気持ちは芽生えるはずなんだ。
最高28点だった頃よりか、めちゃくちゃ進化したよな。
愛菜にも勉強、教えてやろっかな。
うちの高校だったら、試験受ければ受かるし、なんなら名前書けばいいんだけど、トップで受かるって目標あったらすごくね?
「海斗、もっといい点数取りたいからさ、また勉強教えて」
知らないことは、教えられねーからな、勉強頑張ろ。
「そうだな、そろそろ夏休みだけど、案外ここで差がつくって言うし、頑張るか」
「海斗、自分の勉強もやってよ」
「それなら大丈夫かな、教えてるうち、自分の復習になってるしな」
「そうゆうもんなんだな、なるほど」
勉強半分、遊びも半分、楽しい夏休みを想像してるところだけど、勉強は、やっぱり四分の一くらいでいっか。
「あ、陸、夏休みなんだけどさ、少し家に帰って来いって、親から言われてて」
海斗が、夏休みいっぱいは遊べないっていうんだ。
「何日くらい?」
「8月の盆とか? 1週間くらいかな?」
「そっか、そしたらしょうがねーか」
翠もその頃、いないかもってさ。
てことは、珠里とふたり?
「なんだ、去年と同じじゃん」
そう思ってたらさ、愛菜が
「陸先輩のとこ、泊まり行ってもいいって言われたから行きたい!」
親から許可もらったっていうけど、マジか?
愛菜の親、大丈夫なのか?
まさかと思って聞いてみた
「女の先輩って言ってね?」
「言ってませんよ、写真見せましたけど、いいよって言われたもん」
この写真です、と言って見せてくれたのは、映画の帰りに撮った愛菜とのツーショット。
「それ、ね、かわいく写ってるよな」
自分で見ても、女の子にしか見えないようなやつだった。
でもさ、愛菜のお父さんお母さん、娘さんがもしかしたら「大人」にされてしまうかもしれませんが、本当にいいんですか?
と、言いたい。
いいのかな?




