【13話目】愛菜をみんなに紹介したけどあんまりいい反応じゃなくて
流しそうめんって言うと、上のほうから誰かがそうめん流すやつってイメージあるかもしれないけど、うちのは『回転型』なんだ。
流れるプールみたいなやつ。
ぐるぐるそうめんが回ってる。
たまに、トマトとかキュウリとかも、ぐるぐる回る。
だから平和な流しそうめん。
愛菜を近くの駅まで迎え行って、うちに連れてきて、みんなに紹介したところまでは良かった。
「みなさん自由で楽しそう」
愛菜はたぶん、何も悪意はなかったはずなのに
「自由だからなんの悩みもないってわけじゃないの」
そう言ったのは、珠里。
「みんな、家庭が複雑だし、事情があってこうしてるんだから」
「そうなんですね、わたしなにも知らなくてすみません…」
愛菜がしょんぼりしちゃったじゃんか!
「いや、だってさ、そりゃそうだろ? 見たまんまだったら楽しそうだし、楽しいよな?」
海斗に同意を求めようって思ったんだけど、なぜか海斗まで
「俺は、家族の許可もらってここにいるけど、みんな事情あるのは確か」
「みんなみんなって、あれ、翠もだっけ、翠ってところで何で住んでる?」
珠里は家族に追い出されてるみたいなもんだけど、翠も?
「いや、俺は、家族普通にいるけど、なんとなくここにいるだけ」
一番自由なの、俺かもって翠が言ってる。
「何となくだったのか、そか。俺だって好きでここにいるんだもんな、愛菜、気にすんな、珠里も海斗も大げさなんだから」
なんだよ珠里も海斗も、年下の中学生相手に、そんな言わなくてもいいじゃん?
しかも、初対面。
海斗が何か言うかなって予想はしてたけど、まさか珠里が意地悪言うとは。
ん? 意地悪なのか?
「で、うちの高校受験するんですって?」
「あ、はい」
「うち来ても、学校にいる女子は、陸と話すの禁止になってんのよ」
「え、禁止って?」
「いや、まて珠里、おまえが勝手に決めてるだけだろ? っていうかその禁止令って早く解いてよ」
「だめよ、悪い女から陸を守るのが目的なのに」
「珠里は陸が好きなんだね」
翠が、ふって感じで笑ってるのを見て、珠里が慌てて打ち消す。
「え、やだ違うよ、翠」
「女の子と話すの禁止なんて、そんなの独占欲? 人の自由を奪うの? 珠里は」
「だから、そうじゃなくて、あーもういい! 好きに話せばいいじゃん? 陸の自由に」
そして翠を連れて部屋に戻ってしまった。
3人、リビングに取り残された図。
「なんだ珠里、あいつ感じ悪っ!」
ごめんな。って愛菜に代わりに言っておく。
「海斗も! 事情あるの珠里だけなのに、みんなわけありみたいに言ってさ!」
海斗に向かって文句いうと、海斗は気まずそうに目を泳がせた。
「ごめん、陸」
「俺に謝るんじゃなくて、愛菜に謝って! 初めてきたのに、あんな怖がらせてさ」
「あの、陸先輩、わたし大丈夫ですから、もう気にしてないし」
愛菜が、私こそごめんなさいって、頭下げてる。
「いや、こっちこそ、悪かったです、すみません」
海斗は愛菜に言うと、海斗まで部屋に戻ってしまった!
「なんだよみんなして、感じ悪いよ」
「あの、わたし帰りますね」
それはそうなるよな、居心地悪すぎ?
愛菜はなにも悪くないのに、俺がここに連れてきたばかりに、こんなことになった?
「今度からさ、ここじゃなく、外で会おう」
「……会ってもらえるの?」
「え、うん。もうみんなに紹介したし、別にここでみんな仲良くしなくてもいいんだし」
「わたし、みんなに嫌われたって感じたし、あんな子と会うなって、ことかなって、思ったのに」
愛菜は申し訳なさそうな顔して見てる。
「あいつら、俺が女の子と仲良くするのが気に食わないだけって思うよ」
きっと、どんな子連れてきても、そうなる気がする。
翠がいなかったら、もっとぐちゃぐちゃになってたかも?
と思うと、翠ナイス! だったな。
そんなわけで愛菜を駅まで送ってくことになったんだけど、歩きながら愛菜が嬉しいことを言ってくれたんだ。
「陸先輩、背が伸びて、前もカッコよかったけど、もっと素敵になってて、わたし嬉しいです」
だって!
海斗からは、かわいいとか女の子扱いされたけど、なんだよ、ちゃんと女の子からは、カッコいいって認められたじゃんかよ。
「あれから、あの、陸先輩とだめになってから、何人か男の子から告白とかあったけど、全然無理で、それで後悔してたから、また会えて良かった」
「無理って?」
「あ、顔が、その、どうしても先輩と比べてしまって無理でした!」
「……ああ、顔、ね」
顔、ばっか。
まあ、ブサイクだなって言われるよりか、いいんだろうなって思うけど、それだけ?
ってどうしても思ってしまう。
身長と顔ってさ、そんな大事?
確かに、背が高くなったって言われたのは嬉しかった。
コンプレックスだったから、そこをクリアできてきたのは、シンプルに嬉しいんだ。
あ、でも俺も同じかな。
愛菜、かわいかったけど、変わらずかわいいなって思っちゃったから。
152cmくらいだったっけ?
あの頃より小さく見えるのは、俺が大きくなったから?
顔もな、小さい。
俺のまわり、男ばっかりでみんなデカいんだもんな。
小さいのは、かわいい。
だから海斗からみたら、俺はかわいい?
そういう理屈なんだろうな。
大きいのは、カッコいい?
女の子から見たらそれは、恋愛対象としてのカッコいいだけど、男同士だもんな。
と、俺はまた男同士の恋愛なんか無理だなと再確認するんだ。
「送ってくれてありがとうございました」
ぺこりとお辞儀する愛菜、それもかわいい。
「あ、明日、日曜日だし、どっか行く?」
誘ってみた。
「映画とかでも、いいですか?」
「うん、じゃあ明日、ここで待ち合わせしよ」
そういって、愛菜と別れた。
帰り道ひとり、考えてた。
女の子の好きそうな映画って、なんかやってたっけ?
そしたらふと、海斗と初めてみた映画をおもいだした。
「あー、女の子の好きなやつ、眠くなるんだった……」
ん? 映画デートって、あれ、楽しいんだっけ?




