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君を好きになるのは、何度目だろう。 ~一週間ループの先に待っているのは、ハーレム天国!?それとも……~  作者: 月雲 天音
第4章

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第52話 早めのクリスマス会(後編)

 宅配ピザが届き、いよいよパーティーが始まる。

 

 部屋は赤や金のモールで華やかに彩られている。

 クリスマスツリーの電気も点灯している。

 窓側の壁には、彩芽が作った横断幕が飾られている。

 

 そんな中、4人の女性がサンタの衣装でテーブルを囲んでいる。ふわふわした衣装に、帽子もお揃いだ。

 恥ずかしそうにしている凛と真央も、すっかりその気になっている優花さんと彩芽も、4人とも本当に可愛かった。



 そして、4人に囲まれたオレは、トナカイの着ぐるみを着ていた。


「かなたんのトナカイ、最高なんだけどーー!」


 言いながら彩芽が写真を何枚も撮る。


「赤鼻、外したらダメ、だよ」


 凛は笑いをこらえながら、変な念押しをしてきた。


「先輩、似合っています!エンターテイナーです!」


 真央はテンションが上がっているのか、よくわからないことを言っている。


「うふふ。私のチョイス、良かったでしょ?さぁ、パーティーを始めましょ」


 


 オレたちのグラスにシャンメリーが注がれていく。大人用の甘さ控えめのやつだ。

 そして、優花さんのグラスにだけ、本物のシャンパンが注がれる。


「それでは、『ちょっと早いけど、まおまおおかえり!クリスマスパーティー』の始まりー!」


「「「「「メリークリスマース!!」」」」」


 5人の声が重なり、その後、グラスを合わせる音がした。


 オレたち4人は、グラスに口を添える。フルーティーで甘さ控えめでおいしい。

 一方の優花さんは、勢いよくシャンパンを飲み干した。


「うふふ、奏多くん、おかわり注いでくれるかしら」


「優花さん、早いよ」


「だって、このシャンパン、おいしいんだもん」


 可愛く甘える優花さんのグラスにオレは、二杯目を注いだ。


 テーブルを彩る料理に目を向ける。一人一人の皿にてりやきローストチキン、ポテトサラダ、添え野菜がのっている。コンソメスープ、グラタンもある。中央にはピザが置かれている。


「このお肉、おいひい」


 彩芽が、チキンにかぶりつきながら言う。


「ポテトサラダ、いつもと味が違うね」


「今日は、優花さんに隠し味を教えてもらったから、ね」


「そうなんだね、おいしいよ」


「……良かった」


 凛は安堵の声を漏らしながら、グラスの飲み物に口を付ける。


「先輩、楽しいです。こんなクリスマス会初めてです。本当に皆さんに感謝です」


「うん、楽しいね。改めて、真央、おかえりなさい」


「ただいまです、先輩。しばらくは、ゆっくりトレーニングや受診をしていくので、のんびりやっていきます。たまには会ってくださいね」


「がんばって世間の目をかいくぐるよ」



 そんな会話を真央と交わしていると、三杯目のシャンパンを飲み干した優花さんが、頬を染め、目をとろんとさせて声をかけてくる。


「奏多くん、楽しんでいるかしら?」


「うん、楽しいよ。料理も美味しいし、みんなのサンタ姿も可愛い」


「あら、それは良かったわ……ところで、奏多くん?」


「ん?」


「奏多くん、誰のサンタクロースが一番可愛い?」


 赤鼻のトナカイ姿のまま、オレは突然の質問にシャンメリーを吹き出してしまった。


 優花さんは、妖艶に微笑んだまま、返事を待っている。


 いつの間にか、女性陣みんなが注目している。


「かなたん、あたしも聞きたいなー」

「聞きたい、ね」

「先輩、私も気になります」


「ねぇ、奏多くん、早く答えて。誰のサンタが一番可愛い?」


 4人の可愛いサンタクロースがじりじりと迫ってくる。


 赤鼻のトナカイは追い詰められていく。


 に、逃げ場がない。



「こ」


 オレは、やっとの思いで声を出す。


「答えられないよーー!!」


 オレは叫んだ。



ーーーーーーーーーー



 食事を終えて、テーブルを一度片付けた。

 さっきの場面は、サンタたちが大爆笑して、収まった。


 お皿とスプーン、あったかい紅茶が運ばれる。

 最後に彩芽がケーキを持ってくる。

 

 ケーキが箱から出される。


 大きなリース型のクリスマスケーキが出てくる。

 真っ白なムースの輪の上に、真っ赤なイチゴやラズベリー、ブルーベリーが彩りよく並ぶ。リース型の中央には笑顔のサンタクロースが座り、雪の結晶のチョコレートが飾られている。

 

「すごい、ね」

「わぁ、ほんと綺麗なケーキね」

「樫木さん、マジ、ナイスすぎーー!」

「あとで樫木さんに伝えておきます」


 優花さんが、ケーキの周りに並べられた5つのキャンドルに火を灯していく。


 凛が部屋の照明を落とす。


 部屋がオレンジ色の灯りだけになる。

 五つのキャンドルが、5人それぞれの顔を照らす。


 しばし、火の揺らめきにみんな魅入る。

 誰も言葉を発さない静かな時間が流れる。

 

 その静寂を破るように、真央が静かに歌い始める。


 そっと英語の歌詞を口ずさむ。

 英語版の『サンタが街にやってくる』だった。


 真央の繊細な歌声がみんなを包む。

 透明感のある歌声が、キャンドルの火と重なる。


 すごい。

 

 英語の歌詞は自然と部屋へ溶け込む。

 聞く人の心を惹き込む、温かい歌声だった。


 4人とも真央の歌声に浸る。



 真央が歌い終わる。


 誰もすぐには言葉が出なかった。

 遅れて、大きな拍手が部屋いっぱいに広がった。



 真央は照れ笑いしながら、


「あっ、火を消さないといけないです」


 と言った。



「じゃあ、みんなで消すよ」


 彩芽が号令をかける。


「せーの!」


「「「「「ふーーっ!!」」」」」


 部屋は真っ黒になった後、すぐに凛が照明を点けた。


「「「「「メリークリスマス!!」」」」」


 紅茶のカップを持ち、みんなで声を掛け合った。


 ケーキを食べた終えると、自然と合唱会が始まった。


 定番のクリスマスソングをみんなで歌った。

 歌の途中、彩芽がタンバリンを叩き始めた。


「先輩、ほんとにタンバリン用意してたんですね」

「もちろんよー。パーティーには必須でしょ」

「あやむんなら、普通、だよ」 


 そんな会話を挟んだ後も、タンバリンのリズムに乗りながら、みんなで歌った。


 みんな笑顔だった。

 可愛い4人のサンタクロース、オレ一人、赤鼻のトナカイ。

 

 笑いながら、楽しく歌う。

 

 真央の再出発を祝いながら。


 5人の幸福を願いながら。


 夜は更けていった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

第4章完結です。次の第5章が最後の章になります。最後までこの作品を楽しんでいただけると有り難いです。


月曜日と木曜日の21時に投稿します。

ブックマーク、リアクション、評価、感想等、とても励みになります。いただけたら有難いです。

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