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君を好きになるのは、何度目だろう。 ~一週間ループの先に待っているのは、ハーレム天国!?それとも……~  作者: 月雲 天音
第4章

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第45話 『甘えろ』

「うまく行ってるみたい、だね」


 コーヒーを飲みながら、真央とやりとりする奏多を見守っていた凜が声を掛けた。


「うん、でもまだ何か隠してる気がする」


「さっき話しかけてた、『木曜日の秘密』?」


 彩芽がメロンフロートのアイスをすくって食べながら、尋ねてきた。


「うん。一番はそれだね。木曜日にどこで何をしてるのか……」


「話さないのはまだ心を開いていないから、かも」


 凛が推理する。


「そうだね。次の周は水曜日までにもう少し踏み込んでみようかな」


「だねー。先週私も見たけど、あの苦しそうな顔、かなたんも何度も見たくないよね?」


「うん、早く解放してあげたい」


「女の子の正体はまだ秘密、かな?」


「うーん、そろそろ話してもいいかな……誰にも内緒だよ」


 凛と彩芽に顔を寄せるように言い、オレは小声で話す。

 今攻略している女の子が、星野真央、Re:inのボーカルのMaoであることを二人に明かした。


「え、あのMaoちゃん?」


「奏多の大好きなMaoちゃんだよ、ね?」


「うん、最初はオレも驚いた」


「すごいことになってたんだね!今めっちゃ人気のRe:inのメンバーが攻略対象とか、凄すぎる」


「しかも、奏多の大好きなMaoちゃん」


 凛は対象がMaoであることにかなりこだわっているように聞こえる。


 凛はスマホで調べる。


「Re:in、来週末から全国ツアーが始まる、よ。最初は隣の県」


「そうなんだ……」


「早く攻略しないと月曜日の登校もなくなるかもね……」


 彩芽が思案顔で言った。


「ループがどうなるかは、わからない。でも、それに関係なく、オレは少しでも早く真央を救いたい」


 あの苦しみから早く真央を解放したい。

 

 その後、少し話した後、作戦会議はお開きとなった。


 週末は、凛、彩芽とデートをする中、真央とのメッセージのやりとりもした。

 真央は忙しそうでメッセージは少な目だった。


――――――――――


 真央と出会い4周目の月曜日を迎えた。


 優花さんとの『おはよう』、凛と彩芽との登校、凛とのお弁当を楽しみ、放課後を迎える。

 彩芽は離れた場所で見守る。

 オレは、正門左で、苦しそうな真央と出会う。


 これで終わりにしたい、そう願いながら真央に声を掛け、助ける。


 連絡先を交換して、別れる。


 彩芽が心配そうな顔をして近づくが、声を掛けられずにいる。

 それだけ、オレの顔が険しくなっていたのだろう。


 オレは、意識して表情を穏やかにし、彩芽と一緒に家路に着いた。


 この周では、夜8時からネットで全国ツアーの宣伝を兼ねたRe:inの生配信がネットであった。

 真央がいつもどおり力強く繊細な歌声で歌い、その後明るい表情で配信を盛り上げていた。オレはその姿に安堵した。


 その後、いつもの時間にメッセージが来て、通話した。



 火曜日は、『修行僧』のやりとりと夜のやりとりを前の周と繰り返して終えた。


 水曜日。

 朝と昼のやりとりは、2周目、3周目と同じやりとりをした。

 そして、夜11時半のやりとりを迎えた。


『自主練、終わりました』


『は?11時半だよ!今まで自主練してたの?』


『今日は早めに切り上げました』


『全然早くないし!働きすぎ!』


『自主練は仕事じゃないですよ、先輩』


『いやいやいや……体壊さないようにね』


『大丈夫です。先輩からのメッセージがあれば頑張れます』


 ここから返事を変える。


『本当に大丈夫?』


『いきなり何ですか?大丈夫に決まってます』


『無理をしてるの見え見えだぞ』


『無理をしなきゃ、Re:inのメンバーとしてついて行けません。』


『でも、今のままだと心も体も壊れてしまわない?』


『……』


『一人で抱え込むな』


『私はRe:inですから』


『違う』


『?』


『今は真央だろ?』


『……』


『オレの前では甘えろ』


『え?』


『オレの前では、普通の16歳に戻れ』


『……』


『真央?』


『先輩』


『うん』


『私』

『ずっと頑張らなきゃって思ってました』


『うん』


『もう頑張れないって言ったら幻滅しますか?』


『しない。するわけない』

『甘えろ』


『出会って間もない人にそんなこと言われるとは思ってませんでした。(笑)』

『でも、涙が止まりません』


『涙が止まるまで一緒にいる』


『ダメです』


『何で?』


『涙が止まってからも、一緒にいてください』



 オレは文字を打つ代わりに、通話ボタンを押した。


 真央はすぐに通話に出た。


 ぐすん、ぐすん、と泣きすする声が聞こえる。


 しだいに嗚咽に変わる。


 オレはずっと聞いていた。

 スマホを通して、真央の横に寄り添った。


 真央が泣き止み、


「もう大丈夫です、先輩」


 と、言ったのは、日を跨いで1時過ぎだった。


「デモは聴かずにすぐ休め」


「何でそんなこと知ってるんですか?……隠しカメラでも仕掛けてますか?」


「なんとなくそんな気がしただけだよ。もう遅いから今日は休め」


「先輩、さっきからずっと偉そうなのに、優しいですね……今日はもう寝ます。新曲覚えられなかったら、先輩のせいにしますからね」


「ああ、いくらでもオレのせいにしてくれ」


「そうします…おやすみなさい、先輩。……ありがとうございました」


「うん、いいよ、気にしなくて。これからも、いくらでも甘えてくれ」


「そうします……おやすみなさい、先輩」


「おやすみ」



 こうして、水曜日の夜を終えた。


 真央が隠し続けていた『秘密の木曜日』を迎える。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

月曜日と木曜日の21時に投稿します。引き続き、お読みいただければ嬉しいです。

ブックマーク、リアクション、評価、感想等、とても励みになります。いただけたら有難いです。

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