表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君を好きになるのは、何度目だろう。 ~親愛度100で記憶を共有したヒロインたちと、一週間ループを攻略する〜  作者: 月雲 天音
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/39

第34話 宣戦布告

 月曜日の夜からも、いつもと同じように、優花さんと近所の公園で会った。


 毎日、少しずつ『この世界』について説明した。

 優花さんは、疑問に思ったことは質問を返しながら、話をゆっくり受け入れていく。


 そして、優花さんで攻略した女性が3人目であることも伝えた。

 最初こそ、「まぁ!」と驚いた様子を見せたが、程なくして事実を受け入れ、自分以外の2人について、聞いてきた。


 そんなやりとりを経て迎えた木曜日の夜、明日の『ドゥ・アメール』に誘った。

 優花さんは、快諾した。



――――――――――



 金曜日の放課後、オレと凛と彩芽は、駅の裏にある喫茶店へ向かった。

 『Doux-amer ドゥ・アメール』と書かれた金属の看板の下に、古びた木製の扉がある。

 その扉を開けて、オレを先頭に店の中に入る。


 いつものようにコーヒーの香りと落ち着いたジャズの音楽が3人を迎え入れる。


 でも、いつもと違う。


 オレたちの指定席には、先に一人の女性が座っていた。


 3人に気付くとその女性は立ち上がる。

 

 3人が近づくと、その女性は、体の前で手を重ね、ペコリと小さく丁寧におじぎをした。


「はじめまして。白草(しらくさ)優花です。よろしくお願いします」


「り、凛、じゃなくて。水無瀬凜です。よ、よろしくお願いします」


「風野彩芽でーす。あなたが噂の優花さんね、よろしくお願いします」



 凛は緊張した様子で、彩芽はいつもと変わらない感じで挨拶を返した。


「ま、まぁ座ろうか」


 座るのを促しながら、気付いた。


 この状況だと、オレが優花さんの隣に座り、凛と彩芽が並んで座るのが自然だよな。


 それでいいんだよな?


 少し考えていると、彩芽が動いた。


「優花さん、お隣、失礼しますね」


「ええ、どうぞ」


「なら私は、こっちに座る、ね」


 奥の席に、優花さん、彩芽が並んで座り、優花さんの正面に凜、隣にオレが座った。


 座ったところで、改めて優花さんを見る。


――き、気合いが入ってる。


 まず、髪色がブラウンだが、昨日までよりも少し明るい色になっている。

 そして、耳の上から後ろにかけて大きく編み込んであり、耳が見えてすっきりして美しい。

 服装も秋先取りのブラウンとグレーのチェック柄のウールジャケットに、ブラウンのロングスカートで合わせている。

 おしゃれで可愛らしくも上品な美しさがあった。

 メイクも言わずもがな、ばっちりきまっている。


 9月後半でも、未だ夏服の高校生3人とは世界が違って見えた。


「さて、どんなお話しましょうかね、奏多くん」


「え?オレ?」


「それは、そうでしょ。かなたんを中心に集まった4人なんだから」


「奏多にまかせる、よ」


「えーーっと。何話そう?考えてなかった」


「そんなことだと思ってたよ。私から議題があるけどいい?」


 彩芽の提案を受け入れる。


「いいよ。何?」


「まず、優花さんの呼び方を決めない?あ、その前に優花さん、あたし、敬語じゃなくてもいい?」


「もちろん、いいわよ。同じハーレムメンバーですものね」


「「「ハーレムメンバー!?」」」


 3人の声が重なる。


「うふふ、だってそうでしょ?奏多くんの三人の恋人。それはもう立派なハーレムよ」


「……そ、そうなのかな」


「確かにそう、だね」


「あたしもこの現実を受けいるしかないか……ここにいるのは、かなたんとそのハーレムたち」


「うふふ、現状把握はおしまいね。それで、呼び方っていうのは?」


 優花さんが話を戻す。


「奏多はかなたん、凛はりんりん、なの」


「それで呼んでるのあやちゃんだけだけどな」


「余計なこと言わなくていいの、かなたん。優花さんだから、ゆうかんかな?」


「ぶはっ。センスなっ!」


「ゆうかんは無い、ね」


「ゆうかんって呼ばれるのは新鮮だわ」


「却下!」


 オレは却下した。


「えー、なら他に何か候補はある?」


「ゆうゆう、ゆうかたん、辺り、かな」


「ゆうかたん、いいけど、少し語呂がねー。あ、ゆかたんはどう?」


「いいと思う、よ」


「私も、ゆかたんで、構わないよ。あやむん」


「あーー!!ゆうかさ……じゃなくて、ゆかたんまで!!かなたん、話したな!!」


 オレはカフェオレを飲みながら目を逸らす。


 その後も賑やかに話し、3人の顔合わせは無事、終了した。



―――――――――



 その日の夜も、優花さんと二人でいつもの公園に来ていた。


「優花さん、今日めちゃおしゃれできれい。美容室も行ったんだね」


「そりゃあ、もう。気合い入れたから」


「そ、そうなの?」


「だって、若い子たちに負けてられないじゃない。相手は奏多くんの同級生二人よ、しかも、私より記憶が戻ってから時間も経ってるし」


「あはは、オレはきれいな優花さん見れて目の保養になりました」


「うふふ、奏多くんが喜んでくれるなら、毎日でもオシャレしちゃうよ」


「毎日は、大変だろうから。時々おねがいしようかな」


「わかった。そうするね」


 優花さんは、一度月を眺める。今夜は満月に近い。


「ねぇ、奏多くん?」


「なーに、優花さん?」


「奏多くんはー……3人の中で誰が一番好き?」


「え?」


「ねぇ、誰が一番?」


 優花さんが、顔を覗き込んで来る。


「ち、近いです」


「うふふ、答えてくれないの?」


 優花さんは、顔を離さなかった。



――それどころか


 顔はそこから、どんどん近づく。


 優花さんは、目を細め、ついには閉じる。


 オレは、金縛りにあったかのように、固まって動けない。


 そして、ついに……



 優花さんの唇が、そっと触れた。


 優しく触れるだけの、短いキスだった。


 柔らかい唇の感触が伝わって来た。


 唇を離した優花さんは、オレに抱き着き、耳元で囁く。


「私、負けないから。若い子たち二人にも、まだ恋人になっていない残りの二人にも。優花は負けません」


 抱き返すべきか、戸惑いながら、そっと優花さんの背中に手を回した。

少し迷った後、優しく抱きしめ返す。



「これからは、奏多くんがちゃんと私を見ててね。私だけ、奏多くんを見てるのは、おしまい。ちゃんと、見てないと、お姉さん、許さないからね」


 優花さんに圧倒されながらも、オレは抱きしめる手に少し力を込める。



「うん、これからずっと、優花さんを見続けるよ」



 月は優しく二人を照らし続けていた。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

第3章はここで完結です。5章のうち、一番不安を抱えて書き始めた章ですが、今では一番のお気に入りです。第4章も引き続き、お読みいただけたら嬉しいです。

次話は、少し空いて6月8日から投稿します。


ブックマーク、リアクション、評価、感想等、とても励みになります。いただけたら有難いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ