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君を好きになるのは、何度目だろう。 ~親愛度100で記憶を共有したヒロインたちと、一週間ループを攻略する〜  作者: 月雲 天音
第3章

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第27話 止まらない思い出話

 翌、火曜日。オレは夜の公園のベンチで優花さんを待っていた。

 夏休みで、実家に帰省している子が多く、今週は金曜日まで毎日バイトを入れていると、昨日聞き、  

「なら、毎日話そう」とオレが提案すると、優花さんは快諾した。


 スマホを見ながら優花さんを待つ。


 ふいに、両頬に冷たい感触がした。


「冷たっ!」


「うふふ、びっくりした?はい、奏多くんは、こっちの甘いカフェオレね?」


 優花さんはベンチの後ろから、右手に持っていたカフェオレを差し出す。


「ありがとう。でも、なんか子ども扱いしてない?」


「なら、こっちのにがーい方のコーヒーにする?」


「いや、カフェオレでいいです」


「うふふ、素直でよろしい」


 優花さんは隣に座ると、バッグからドーナツを二個取り出した。


「どっちがいい?こっちがココナッツで、こっちがプレーン」


「ココナッツで」


「うふふ、ほんとに甘いのが好きね」


「あ、また子ども扱いした!」


「えー、ほんとのこと言っただけだよ」


 カフェオレとドーナツを食べながら、昨日の夏祭りの話の続きをした。


「そー言えば、夏祭りっていつの間にかなくなったよね?」


「今もあるよ?」


「そうなの?」


 オレは尋ねる。


「うん、あるよ。でも、今は9月になって、名前も秋祭りに変わったよ」


「そうなんだね。秋なら少しは涼しいかもね」


「うーーん、9月だとあんまり変わらないかも。まだまだ暑いよ」


「そうなのかぁ。久しぶりに行ってみようかな」


「お、いいね。私は高校生までは毎年行ってたよ。去年はバイトで行けなかったけど」


「良かったら、お姉ちゃんと一緒に行きたいな……なんてね」


「あ、さっきは子ども扱い嫌がったクセに!」


 優花さんはくすくすと笑ったあと、笑顔のまま答える。


「いいよ、バイト空けなきゃなー」


「いいの?やったー!」


「喜び方が子どもなのよ」


 またくすくすと笑う。笑顔が可愛い。


 きっと、秋祭りの頃には優花さんを攻略することに成功しているはずだ。


 火曜日も、楽しく会話が弾み、夜が更けて行った。


――――――――――


 水曜日は、ドーナツと炭酸ジュースをもらった。


 水曜日も会話が盛り上がる。


 ふと、優花さんが切り出した。


「そう言えば、奏多くん、身長伸びたよねー。今何センチ?」


「今、173ぐらい。まだ伸びてるかな」


「うわぁ、そんなに大きくなったんだ。昔は見下ろしてたのになぁ」


「優花さんに追いついたのいつぐらいだったんだろ?」


「奏多くんが中2の時だよ」


「え?覚えてるの?」


「覚えてるよー。ずっと見てたから」


 その言葉にドキリとする。


「けっこうショックだったんだよねー、奏多くんに追いつかれた時……出会った時は、こーーんなに小さかったのに」


 地面から30センチぐらいの高さまで手を下げて言った。


「いやいや、小さすぎでしょ、それ!」


「うふふ、それにしても、本当に大きくなったねぇ。私が164センチだから、ほぼ10センチ差だよ。信じられないなぁ」


「まぁ、現実を受け入れたまえ」



――――――――――



 木曜日は、切り離して半分にするシャーベットのアイスを買ってきてくれた。


「話はまだまだ尽きないわよ」


 優花さんは今日も楽しそうに話す。


「今日はどんな話?」


「今日は……そうだね……あの話をしよう」


「あの話?」


「そう、あの話」


 優花さんは懐かしそうに目を細める。


「奏多くん、中学校まで野球やってたでしょ?」


「うん、してた」


「奏多くんさ、野球の試合で負けて帰ってきた後、いつも廊下にいてさ」


「廊下の手すりに顎を乗せて、くやしそーーな顔でいつまでも空を眺めてた」


「げ!そんなところ見てたの?」


「見てたよ。いつもユニフォーム姿のままで、長い時は、2時間も3時間も……その時の、悔しそうな顔……今でも思い出すなぁ」


 優花さんが、そんなにオレのことを見ていてくれたことに、オレは驚いた。


「でも、野球しなかったんだね、高校では」


「うん、大学目指すことにしたから。今は勉強がんばってるよ」


「そか、将来に向けてがんばってるんだねー。えらい、えらい」


 優花さんはオレの頭をなでる。

 人に頭をなでられるのなんて何年ぶりだろう。

 心地よかった。


「あ、また子ども扱いしてる」


「うふふ。私にとっては、奏多くんはずっと小さい時のままだよ。弟みたいな存在」


 オレはいじけた顔をしてみせる。


「それ、なんか嫌だなぁ」


「えー、何で?」


「何ででも!」



――――――――――


 金曜日は、ジュースをもらった。


 この日は、オレが家族で外食から戻って来た時の嬉しそうな顔について、優花さんは熱く語った。


「あー、一週間楽しかったな。溜めてたもの全部、吐き出した感じだよ」


「オレも楽しかったよ。たくさん話してくれてありがとう」


「いえいえ、私の方こそありがとうだよ。勉強もあるのに、毎日ありがとうございました」


 優花さんはわざとらしくお辞儀をした。


 その優花さんの頭上を見る。


 黄色い『50』という数字が浮かんでいた。


――『50』か……


 手応え的には、『70』ぐらい行ってるんじゃないかと思っていたから、少し拍子抜けした。


 でも、今回の周回では、話を聞くことに集中したからこんなものか。

 自分の中でそう納得して、金曜日の夜を終えた。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

33話まで毎日夜9時に投稿します。引き続き、お読みいただければ嬉しいです。

ブックマーク、リアクション、評価、感想等、とても励みになります。いただけたら有難いです。

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